高校レベルを超えた理数教育で世界を舞台にチャレンジ

高校レベルを超えた理数教育で世界を舞台にチャレンジ

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茗溪学園中学校高等学校(以下、茗溪学園)は、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に2期連続で指定を受けるなど理数教育の質の高さが認められています。その結果、超難関大学への合格者を輩出するだけでなく、全国レベルの研究論文をまとめる生徒が増えています。今回は、個人課題研究の結果が国内コンテストで認められ、世界の舞台で発表することになった生徒にインタビュー。茗溪学園の充実した理数教育で培った学びがコンテストに活かされた様子に迫ります。

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全員必修の個人課題研究から始まったユニークな研究

全国の高校生と高等専門学校生を対象に、2003年から実施されている科学技術の自由研究コンテスト「JSEC(高校生科学技術チャレンジ)」。2018年度は全国から247の研究が応募されました。幅広い分野から募られた研究作品は、専門家による書類審査とプレゼンテーション審査で選考されます。このうち、グランドアワードと呼ばれるトップ3位までの受賞をした参加者は、世界中から高校生が集まる「ISEF(国際学生科学技術フェア)」に出場することができます。このISEFに見事参加する栄誉を獲得した高3生の森さん。本人へのインタビューを通して、JSEC・ISEF出場を振り返ってもらいました。

森さん

国内の自由研究コンテスト「JSEC」において247の研究作品から選考され、グランドアワードとなる科学技術振興機構賞を受賞した森さん。

どのような研究論文を発表したのでしょうか。

森さん:高2から着手した個人課題研究の成果をJSECに向けて発表しました。研究のタイトルは「四つ葉のクローバーを発生させる条件とは」です。元々、私は長野県出身で自然の中で育ったので、小さな頃からクローバーを見て「どのように発生するんだろう」と不思議に思っていたんです。高2で個人課題研究に取り組む際に、クローバーをテーマにしようと思い研究を始めました。

個人課題研究とは、どのような流れで進められるのですか。

森さん:各個人で興味を持った課題(テーマ)を決めて、生物・物理・化学といった分野別の内容を指導してくれる先生からのアドバイスをもとに、約1年間にわたって調査・研究を進めます。最終的には、提出した論文を校内発表会でプレゼンテーションします。研究自体は、先生のアドバイスのおかげで順調に進められました。私の場合は茗溪寮で生活しているので、時間を効率的に研究活動へ費やしたり、先生に意見を求めやすかったということもありますね。
(≫「茗溪寮」を紹介している過去記事はこちら)

そもそもJSECに応募しようと思ったいきさつを教えてください。

森さん:学内で募集しているポスターを見て、チャレンジしてみようかなと軽い気持ちで応募したのがきっかけです。担当の先生のアドバイスもあり、クローバーの研究に一定の成果が見られたこともまた、背中を押してくれました。ただし、全国大会に出場するまでに書類審査と一次審査会があるので、まさか全国大会となる最終審査会に出場することになるとは思ってもいませんでした
所属している体操部での活動や、個人課題研究で提出する論文の作成も同時進行で、とにかく大変な日々の連続でした。寮ではほぼ毎日「沈黙の時間」という自習時間が設けられているのですが、この時間も使ってJSECの準備を進めていきました。

茗溪学園のSSH関連情報 ≫

JSEC・ISEFへの出場で見えてきた世界レベルの理数研究

実際にJSECの最終審査会に出場していかがでしたか。

森さん:出場者の研究作品はどれも素晴らしくて刺激を受けました。最終審査会に残った研究発表者には茗溪学園と同じSSH指定校の生徒たちも多かったのですが、学校によってさまざまな研究方法があることを知って勉強になりました。私自身は、最初はポスター発表でのプレゼンテーションが不安だったのですが、学内外で何度もチャレンジしてきた経験があったからこそ、専門家である審査員の皆さんに研究成果をしっかりと伝えることができたのだと思います。

オーキシンという植物ホルモンを投与して育てたクローバー

オーキシンという植物ホルモンを投与して育てたクローバー。森さんはプランターから刈り取った5,000本を手作業で数えたとのことです!

グランドアワード(科学技術振興機構賞)に選ばれていかがでしたか。

森さん:とにかく驚きました。最終審査会まで絞り込まれた30作品のうち、いずれの研究も素晴らしかったので、私が選ばれるとは思っていませんでした。茗溪学園ではプレゼンテーションする先輩の姿を見たり、田代校長から直接指導を受けるなどの機会があったので、本番で活かせました。
(≫ 田代校長のメッセージを紹介しているページはこちら)

ISEFに出場した感想を教えてください。

森さん:やっぱり研究論文を英語に直すのが大変でした。世界標準の論文に仕上げなければいけないので、海外の論文はもちろん、参考文献の表記方法にも目を通しました。アメリカのアリゾナ州フェニックスで開催されたISEF会場では、世界中から選抜された高校生の研究論文を見る機会もありました。医療系やロボットなど社会で役に立つ論文が多くあり、日本国内では想像もつかないような世界レベルのアイデアや研究成果の数々に圧倒されました。プレゼンテーションの内容も面白く、私自身が参加していることも忘れてしまうくらい楽しませてもらいました。

アメリカでも評価を受けた研究内容 ≫

将来の夢につながった貴重な学びの機会

JSECやISEFに参加して良かったことは何ですか。

森さん:いろいろな人と関われたことですね。ISEF出場経験者の大学生や筑波大学の研究室の方などからクローバーの研究にアドバイスをもらえて、たくさんの気づきがありました。自分の限界に挑戦するような論文作成に挑戦したのも良い思い出になります。また、研究だけでなく部活動や勉強にも忙しい毎日を支えてくれた先生方にも感謝しています。

森さんがJSECに応募した研究の要約

森さんがJSECに応募した研究の要約(アブストラクト)。この書類と研究レポートが予備審査、一次審査を通過した後に最終審査会へと進むことができます。2018年度は、247の応募から最終審査会まで30の研究が選考されました。
≫ 研究の要約(アブストラクト)PDFはこちら

今後の夢や目標はありますか。

森さん:海外で先進的な研究論文や発表の数々を見ることができたので、大学に行ったら世界に貢献できるような意義のある研究をしたいという意欲がわきました。農学部のある有名国立大学に興味があるので、進学を目指して頑張っていきます。

編集者から見たポイント

校内で発表する論文を作成していたつもりが、いつの間にか日本を飛び越えてアメリカでの世界的プレゼン大会にまで発展した森さんの個人課題研究。「校内の最新の機器を使って実験ができたから研究成果を出すことができた」と満足した様子でした。自分の興味のあることに対して深掘りして研究できる環境と文化は、探究心が尊重されるSSH指定校の茗溪学園ならではの特長。同じように個人課題研究に励む友人の姿も刺激や励みになったそうです。一般的な高校のレベルを超えた研究ができるだけでなく、論文の書き方やプレゼンテーションまで本格的に学べる本気の教育現場が息づいている。それが世界で活躍できる人材を育む茗溪学園の魅力ではないでしょうか。

2019年度の学校説明会・公開行事 ≫

イベント日程

イベント名 日時 備考
茗溪学園美術展2019 2019年10月16日(水)~20日(日)
9:30~17:00
会場:つくば美術館
※最終日は14時終了
学園説明会(中学・高校入試説明会) 2019年10月26日(土)
14:30~16:30
※要予約
※保護者対象
国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)説明会 2019年10月26日(土)
17:00~予定
※要予約

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