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“変わる明星”のスローガンの下、改革を行っている明星中学校・高等学校(以下、明星)。連載ではこれまで、MGSクラスICT教育などの新たな取り組みを追ってきました。進路指導にも大きな変化があり、新体制での取り組みが2015年度より始まっています。今回は、刷新された明星の進路指導に迫ります。

学校全体で生徒の進路をサポート

2015年度から2016年度にかけて、早慶上理の合格者を3倍に増やすなど、短期間に大学合格率を上げている明星。生徒や担任の努力はもちろんですが、進路指導シニアアドバイザーの福本副校長をはじめとした進路スタッフの新たな取り組みが成功の理由です。進路指導部主任の藤井先生に、改革の経緯をうかがいました。

藤井先生:従来、進路指導は担任に任されていました。しかし、担任の経験が豊富でも進級後の引継ぎが行われていなかったり、生徒が大学の知識に乏しかったり、学校として国公立大や理系への対策が不十分だったことから、一時、難関大学への進学実績が落ち込み、学校は危機感を覚えました。そこで、2015年に福本先生(現・副校長)が進路指導シニアアドバイザーに就任し、改革に着手。個人の裁量にまかせず、一組織として生徒の情報を共有することで、学校全体で生徒の進路をサポートする体制が整いました。

進路指導部主任 藤井泉浩先生
進路指導部主任 藤井泉浩先生
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生徒の可能性を最大限に広げる進路指導

新体制へと舵を切ることになった進路指導部。目指したのは、生徒の可能性を最大限に広げる指導です。

学力を数値化して共有

進路指導部がまず行ったことは、基準作りです。これまでは担任によってデータの基となる模試が異なっていましたが、情報源を進研模試の結果に絞り、GTZ(学習到達ゾーン)を15段階に分け、生徒の学力を数値化・視覚化して共有できるようにしました。これにより、生徒は自身の学力状況や目指すレベルを意識し、1年で2段階のレベルアップなど、具体的な目標を持てるようになっています。

生徒一人ひとり、中学1年から学力をデータ化
生徒一人ひとり、中学1年から学力をデータ化

進路指導部では、進路検討会や進路分析会を設け、生徒について担任にヒアリングし、一人ひとりの進路の可能性を探ります。データを基に、担任だけでなく、異なる観点を持った他者の意見を取り入れることで、生徒の選択肢を広げることにつながっています。

理系・国公立大対策の本格化

改革以前、明星に不足していたのは理系や国公立大への進学実績でした。国公立大を希望する生徒がいても、カリキュラムが対策万全のレベルに達していなかったのです。その問題を打破したのが、難関国公立大を目指すMGSクラスの新設。既存の本科クラスが私大向けの3科対応であるのに対し、MGSクラスは5科対応で、国公立大に照準を合わせたカリキュラムが組まれています。これにより、2016年度には国立大学医学部への合格者が出たほか、MGSクラスに触発された本科クラスの成績が上昇し、目指す学校のレベルも底上げされたという、うれしい連鎖が起きています。

理科の特別授業では校長も白衣を着て指導
理科の特別授業では校長も白衣を着て指導

並行して、2016年12月からは、センター試験対策の講座を実施。試験前日までは午前中に演習・解説を行い、試験後は個別大学対策期間として講座や個別対応を行います。また、2020年度からの大学入学共通テストに関しては、ベネッセと教材研究をしながら対応策を授業に取り入れています。

戦略的な補助学習の実施

かつて、夏・冬休みの補助学習の時間割は、国語と英語が重なるなど、選択する生徒にとって非効率なものでした。そこで、年間5000時間もあった講座から本当に必要なものを厳選し、受験形態や学部学科系統に合わせて効率よく選択できるよう時間割を工夫。その結果、講座数が減ったにもかかわらず、模試の成績が上昇し、教師や生徒の負担も減りました。生徒の支持を受け、現在、夏期講習の受講率はほぼ100%となっています。

キャリア教育の強化

単発のイベントで終わっていた明星大学との連携を、高校生が毎年大学へ足を運ぶプログラムへと再編。高校1年ではオープンキャンパスで大学の雰囲気をつかみ、2年では一歩踏み込んで大学の学びに触れ、3年では特別推薦入試の説明などを聞きます。受験に向けてどう頑張ればいいのかと手探り状態の生徒が、進路への疑問や不安を一つずつ解消していけるようにプログラムが組まれています。

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“生徒に寄り添う”変わらない明星の指導

今後の進路指導について、藤井先生にうかがいました。

藤井先生:付属の幼稚園や小学校、中学、高校のどこからでも、明星に入学した生徒の可能性を引き出し、確かな進路へ導くことは学校の必須命題です。私たちが変わらず目指すのは、“生徒一人ひとりに寄り添う進路指導”です。そのために学力のデータは必要で、さらに生徒の個性やバックグラウンドを考慮して、より多くの選択肢を与えてあげたい。時間はかかりますが、大切なことだと思っています。

次の目標は、ほぼ達成可能なGMARCH合格100人超えや、進学希望の生徒がいる東大・一橋大への合格。また、推薦入試の希望者が多いため、明星大学と連携して面接対策にも取り組みます。
MGSクラスが3年目となり、国公立大対策も大学入学共通テストへの対策も整っているので、受験生の皆さんには、ぜひ期待して入学してほしいと思います。

進学実績
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注目のイベント日程

イベント 日程 時間
第7回 高等学校説明会 12月2日(土) 14:00~
第9回 中学校説明会 12月3日(日) 10:30~
高等学校入試相談 12月15日(金)・12月16日(土) 8:30~
第8回 高等学校説明会 1月7日(日) 10:30~
第10回 中学校説明会 1月13日(土) 14:00~

編集者から見たポイント

短期間での進学実績向上は、明星の確かな教育があってこその現象です。そこへ効率的なシステムが加わった今、進学実績向上の勢いが続くことは想像に難くありません。生徒に寄り添うことを忘れない明星なら、実績だけを追う進路指導に走る心配はなく、最後までお子さんの成長を見守ってくれることでしょう。