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知識を蓄え、将来の進学目標を具体的に達成する「見える学力」と、教養・多様性・判断力・コミュニケーション力などの「見えない学力」。成立学園中学・高等学校(以下、成立学園)は、両方の学力を伸ばすための教育を展開しています。今回は「見えない学力」に注目。どのようにしてその力を育てていくのでしょうか。成立学園の取り組みをご紹介します。

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校外学習で育てる「見えない学力」

教養や判断力、コミュニケーション力などの「見えない学力」をはぐくむため、成立学園では校外学習に力を入れています。校外学習の目的や成果について3人の先生にお話しを聞きました。

英語と社会の2教科を学ぶ鎌倉自主研修

インターエデュ(以下、エデュ):校外学習の一つである鎌倉自主研修の目的を教えてください。

阿部先生
英語科を担当する阿部先生。優しい眼差しで生徒を見守る様子は、先生と生徒の信頼関係を大切にしている成立学園らしさを感じさせます。

阿部先生:3つの目的があって、1つ目は、翌年の中3で「アース・ツアー」として屋久島・種子島、そして鹿児島市内に行くのですが、鹿児島市内では生徒たちが事前調査をしたうえで交通費やルートを決めて動きます。鎌倉はその練習という意味合いがあります。2つ目は、歴史の授業で学んだ鎌倉幕府の名残を現地で体感するという目的があります。3つ目は、英語の授業でのスピーキングの成果を試す目的もあります。

ブレント先生
日本語が堪能なブレント先生。5名のネイティブ教員のまとめ役として、スピーキングとヒアリングの授業で活躍しています。

エデュ:社会と英語の教科横断型の校外学習なのですね。ブレント先生も、英語の担当として鎌倉に行かれたそうですね。

ブレント先生:私を含めてネイティブ教員4人も行きました。観光で来日した外国人に英語で話しかけるというミッションがあるのですが、生徒たちはみんな明るく積極的に話しかけていましたね。知らない人と話すことはハードルが高いと思いますが、良い練習になったと思います。

エデュ:外国の方に話しかけるのは、大人でも勇気が必要ですね。

阿部先生:生徒自身が臨機応変に会話の内容を考えなければいけません。また、一緒に写真を撮ってもらうというミッションも課したのですが、中1でやった富士山チャレンジキャンプでも外国人観光客とコミュニケーションを取っていたので、心配はなかったですね。

ブレント先生:今回の鎌倉では、会話の内容を理解できるかどうかを重視しました。まずは、たくさんの外国人に気軽に話しかける生徒たちの姿が見られました。

鎌倉
鎌倉では予想以上に多くの外国人で賑わっていました。勇気を出して声をかけられたかな?

阿部先生:道案内をするときには、教科書そのままの表現でなく、相手の立場になって考える必要があるので、校内では身につかない英語力が育つと思います。外国人に話しかける際になかなか勇気が出せない生徒たちもいましたが、一度話しかけてしまえば会話も弾んでいるようでしたし、写真を何枚も撮っていたグループもいました。
研修が終わった後で、生徒一人ひとりに1枚の「自分新聞」を作ってまとめさせたのですが、「好きな日本語は何ですか」というような独自の質問もしていたようで、ユニークな新聞が仕上がりました。

プレゼン力も鍛えられる海のフィールドワーク

エデュ:そのほかにも海のフィールドワークを実施しているのですね。

高宮先生
理科を担当する高宮先生。自然の不思議を観察することで、好奇心を持ったり、いつもと違う視点に気づくことが大事だと話していただきました。

高宮先生:7月中旬に千葉県館山市にある研究施設で2泊3日の体験活動を実施しました。今回初めて、グループごとに予め設定したテーマで磯採集をしたのですが、採れた生物の観察にほとんどの日程を費やしました。

阿部先生:生徒たちは、海のフィールドワークで体験して調べた内容を、写真だけでなく動画や音楽も使用して、堂々と自信を持って発表していました。

採集風景
採集や観察だけでなく、グループごとにテーマが定められた実験室でのプレゼンテーションが待っています。

高宮先生:毎年11月に実施されるナショジオ発表会に向けてプレゼンテーションの練習になりますし、中学最後にある卒論発表会にもつながります。これら一連の活動が、「見えない学力」を伸ばすことにつながっています。
中1の富士山チャレンジキャンプからiPadを使った発表が始まりますが、発表するのが好きな生徒が多いですね。中2の今は、言われたままに行動するのではなく、自分たちで新たな発表方法を提案できるようになった点で成長を感じられます。宿泊施設で共同生活することで、周りを見て行動できるようにもなりました。

初めての鎌倉で英会話にチャレンジ!

観光する外国人に英語で話すミッションがあったり、鎌倉幕府時代の歴史を頭に入れて現地を歩いたり、教室から飛び出して本物の体験をした生徒たちは、この研修で何を感じ取ったのでしょうか。二人の中2生にお話しを聞きました。

エデュ:研修本番に備えて、どのような準備をしたのですか。

生徒たち
鎌倉自主研修と海のフィールドワークの両方を体験した中2のJ.Kくん(左)とK.Sさん(右)。勉強はもちろん、体験学習や部活動も全力で取り組んでいます!

J.Kくん:みんなで意見を出し合い、鎌倉八幡宮から源頼朝の墓、江ノ電で大仏まで移動するルートを考えました。決められた時間内で帰って来られるように、電車や徒歩で何分かかるのかを逆算するようにしました。

K.Sさん:外国人に英語で話しかける際には、失礼がないように一声かける言葉を考えていました。それに、祖父が鎌倉に行った時の話を聞いて、当日の参考にしました。

記念写真
鶴岡八幡宮と鎌倉大仏の2ポイント以外はどこを巡っても構わないという、生徒の興味を前提とした自主研修でした。

エデュ:実際に鎌倉に行ってみていかがでしたか。

K.Sさん:鎌倉自体が初めての場所だったので楽しめました。外国人には積極的に声をかけたのですが、驚かせてしまったこともありました。ネイティブの先生方と話すことは慣れているはずなのに、自由に英語を話すことは難しかったです。将来はアメリカ留学をしたいと考えているので、良い勉強になりました。

J.Kくん:ぼくは3組に声をかけました。想像では簡単に話しかけられると思っていたのに、実際はなかなかできなくて。英語でのコミュニケーションは難しかったのですが、ジェスチャーを交えて意図を伝えました。計画通りに活動できたし、昔の建築物や歴史自体が好きなので、とっても楽しめました。

エデュ:「自分新聞」にはどのような成果をまとめたのですか。

K.Sさん:地名や建物の由来を調べたり、鎌倉八幡宮の警備員さんには外国人観光客の数が去年と変わったかなど、他のメンバーと同じにならない内容でインタビューしたりしました。

J.Kくん:一番印象に残ったのが源頼朝の墓だったので丁寧にまとめました。成立祭(文化祭)でみんなに見てもらえるように、新聞は手抜きしないようにしっかりと作りました。

編集者から見たポイント

教科書だけでは学べないことを体験する校外学習。生徒たちは、自ら活動内容を考え、先生からの課題もクリアすることで大きな達成感を味わったことでしょう。楽しそうに鎌倉と館山の話をしてくれた生徒たちのいきいきした表情がとても印象的でした。学校生活での自信も一緒に身につけることができる「見えない学力」は、2020年の大学入試改革で求められる力そのものと言えるでしょう。
編集部がさらに注目するポイントは、「ナショジオ入試」が新たに開始される点です。2枚の写真を見て、感じることやテーマについて考察し、論述したり表現するといった出題内容によって、受験生の問題意識や関心といった“目に見えない”要素が試されることになります。気になる方は、学校公式サイトのイベント一覧ページにて詳細な内容や体験会日程をご確認ください。

注目のイベント

イベント名 日時
わかるテスト(入試対策説明会)
※6年生対象
(適性検査型/2教科/4教科)
12月17日(日) 8:30~12:30
学校説明会 12月17日(日) 10:00~12:00