探究クラスで学べる「見えない学力」

探究クラスで学べる「見えない学力」

inter-edu’s eye

主に一般入試で進学目標を実現するための知識習得型である「見える学力」と、幅広い教養や発信力を育成する「見えない学力」の2つを教育指針に掲げる成立学園中学・高等学校(以下、成立学園)。中学生の段階で学ぶ見えない学力は、そのまま高校での探究学習に繋がっているといいます。中高一貫教育のメリットを活かした新たなクラス制について、先生方のお話を通して詳しくご紹介します。

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高校「探究クラス」の誕生

高校2年からの選択が可能になった新設の「探究クラス」について、田中大樹先生と西内啓先生からお話をうかがいました。

探究クラス設立の経緯や学習目標について教えてください。

田中先生:探究クラスの設立が決まってからは、私自身も勉強することがとてもたくさんありました。教員同士でディスカッションを重ねながら、保護者や生徒が納得できるコンセプトを形作っていくうちに、探究という言葉の意味は、自分で問題を見つけ出し、それに対して答えを見つけようと試行錯誤することの繰り返しであるという結論に至りました。
探究クラスでは、海外留学や語学研修、起業家精神を養う活動を通して学んでいくことが多いのですが、最終的な目標は、社会や世界中の問題に目を向け、他者との対話を重ねて問題の本質を理解し、その上で明確に自分の意見を述べることができる教養を身につけることです。そのためには、教室内の授業で知識を蓄える段階を超えて、学内外での体験から学び、社会にアクションを起こせるレベルに引き上げていく必要性があると考えています。

田中先生
探究クラスの中心メンバーとして、学外の教育関係者との連携やキャリア教育の充実といった新たな試みを提案してきた田中大樹先生。

西内先生:これからの時代は、文系理系の枠にとらわれない横断的な学びが必要とされてきます。探究クラスでは、見えない学力、すなわち教養を身につけるための活動や教科学習が繰り返されることで、物事を幅広く学ぶことが可能になりました。
本校では中学校の段階で「アース・プロジェクト」や「ナショジオ学習」といった独自の学びを実施しています。単なる先取り学習ではないところがポイントで、こうした独自の学びの延長線上にあるのが探究クラスの学習と言えます。世界を知り、社会を変えていけるような行動力を持つ人に育ってほしいという願いが、探究クラス設立の根底にあるんです。

西内先生
ユニークな数学授業で楽しく学べる探究学習を実践している西内啓先生。
進路で選べる2コース・5クラス制 ≫

具体的な活動例を教えてください。

田中先生:社会人講師を招聘してワークショップを開催した際は、ただ話を聞くだけでなく生徒たちも一緒に巻き込んで「働く」ということについて全員でじっくり対話をしました。さらに自分自身のこれまでの体験を振り返りながらその時々の心の揺れ動きを書き起こすワークに取り組み、自分の価値観と向き合い、将来のイメージづくりへとつなげていきました。
また、写真家として活躍する卒業生の特別講座では、写真撮影の技術的な講義に加えて有名写真家の作品を鑑賞したり体験型ワークを行ったりして学びを深め、最後には生徒それぞれがテーマを決めて撮影した写真を仲間と共に相互鑑質しました。想像力の感度を高めたり新たな見方を発見したりするとても充実した機会となりました。
さらに、「総合的な探究の時間」を中心に個人プロジェクトを進めています。探究クラスではこの授業専用のテキストも用意し、探究学習のサイクルを基礎からしっかり学んでいきます。その土台の上に自らテーマを設定し、自らの手で学びを深め、最終的には「ほんの少しでも社会を変えるアクション」を起こすことを目標に、日々継続的に取り組んでいます。

ワークショップの様子
生徒同士が異なる視点から意見を寄せ合って、新しい発見をしていく独自のグループワークを行っています。
生徒の発表資料
ジェンダーに関する「無意識の偏見」に焦点を当てたという生徒の発表資料。

数学ではどのように授業を進めていますか。

西内先生:公式を覚えるといった教科書通りの授業はしていません。また、国公立大や難関私大への進学を目的とした難関クラスでの授業とは異なる進め方をしていますね。手作りの教材を使用したグループワークで、生徒自身が解き方を発見していけるような問題を出すことが多いです。話し合いの中から納得できる最適解を導く学び方をした結果、初めは数学に苦手意識を持っていた生徒が楽しんで授業を受けるように変わりました。
例えば、グループ内で方程式を考えて他のメンバーが答えを解いたり、決めた数字が答えになる方程式を別グループが考えるといった授業を行っています。各自が今までに習った公式を用いてさまざまな法則性を見出していくことができますし、グループ内外に説明することで、正確に意図を伝える情報発信の難しさを知ったり、自信を身につけることができるようになってきます。数学は掘り下げて学ぶほどに面白くなってくる教科なんですよ。

英語の授業にも力を入れているそうですね。

田中先生:ネイティブ教員によるオールイングリッシュの授業を週6コマ実施しています。リスニングやスピーキングはもちろんですが、IELTSの試験対策や時事的な話題についてのディスカッションなども充実しています。大学入試のためにやってきた従来の英語学習の枠を越えて、広い視野を持って幅広い進路に対応できる英語教育を実践しています。

教科指導の特徴 ≫

探究クラスにかける思い

2020年度から始まったばかりの探究クラスでの指導にかける思いをお聞かせいただきました。

どのような生徒に向いたクラスだと思われますか。

田中先生:保護者の皆さまからは、英語のスコアアップといった目に見える学力の向上や、卒業後の進路の保証といった要望が寄せられています。それらを踏まえたうえで、教員は生徒に寄り添って個性に合った進路を選べるように手助けしていく必要があります。探究クラスを選択した生徒には、中学や高1の間に本来の自分を見出すことができなかったという生徒がいれば、海外に強い興味を持って語学力を向上させたいという生徒もいます。今までとは異なる学び方を通して、夢に向かって自分自身をより良く変えていきたいという強い志を持った生徒に相応しいクラスですね。

西内先生:まさに、従来の一辺倒な内容ではなく、能動的に考える学び方を取り入れた点が探究クラスの特長と言えます。このクラスの学び方を通して、少しでも多くの生徒に数学と日常生活の関わりを意識してもらい、奥深さを知ってもらいたいと思います。
くわえて、自分の頭を使って問題を発見する感動を体験できたら、次は実際に行動して解決に取り組むことができるようになります。いざという時に実力を発揮できるよう、各自の個性を伸ばしながらも、受け身ではない姿勢を養ってもらいたいですね。その姿勢こそが、本校が大切にしてきた「見えない学力」を伸ばすことに繋がっていきます。

特別講演会
“アジアNo.1の英語教師”嶋津幸樹氏の特別講演会の様子。積極的に質問をしていました。
授業の様子
学校説明会では、参加してくれた受験生のみなさんに分かりやすいように工夫を凝らした授業を展開しました。

最後に、中学受験にチャレンジする受験生や家族の皆さまへの応援メッセージをお願いします。

田中先生:受験勉強は知識を身につけるだけでなく、先生や家族、そして自分自身と向き合い、対話する貴重な機会でもあります。合格通知を受け取った後にも必ずプラスになります。この大きな成長のチャンスに、たくさんの人とともに思い切り頑張り切ってほしいと思います。

西内先生:今は辛くても、最後まで努力を重ねてやり抜くことで、あなたを逞しく成長させてくれるのが受験というものです。努力して為せないことはない、と信じて頑張り続けてください。来春の入学式で皆さんの笑顔を見られることを楽しみにしています。

保護者の皆さまへのお知らせ ≫

編集者から見たポイント

成立学園の教育理念をその学び方で体現した探究クラスの設立は、変化の激しい社会情勢が要請する新たな教育内容への挑戦のように感じられました。難関大学への進学実績を伸ばしている成立学園の中高一貫教育の魅力を、家族一緒に参加できる説明会や公開行事で確かめてみてはいかがでしょうか。

イベント日程

イベント名 日時
中学校説明会 2020年10月3日(土)
10:00~12:00
個別相談会 2020年10月10日(土)
13:00~16:00
中学校説明会 2020年10月31日(土)
10:00~12:00
ミニ説明会 2020年11月7日(土)
14:00~15:00
ミニ説明会 2020年11月21日(土)
14:00~15:00
個別相談会 2020年11月28日(土)
13:00~16:00
個別相談会 2020年12月5日(土)
13:00~16:00
わかるテスト(そっくり模試) 2020年12月5日(土)
13:30~17:30
個別相談会 2020年12月12日(土)
13:00~16:00
2020年度の学校説明会・個別相談会 ≫

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