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2017年11月、芝中学校・芝高等学校(以下、芝中高)の中学3年生は、修学旅行で京都と奈良を訪れました。生徒も教師も楽しむ“芝流”秋の校外学習の紹介に続き、今回は3泊4日の修学旅行にスポットを当てます。引率した先生から、旅先での生徒のようすや、事前・事後学習についてお話をうかがいます。

生徒自らで決める調査テーマと訪問コース

今回の修学旅行の目的は「触れる・伝える・協力する」です。3泊4日の滞在中、生徒は学年全体で寺院を2か所訪れ、そのほかは班別で自主行動をします。

知恩院で鐘楼を拝観

芝中高は浄土宗の仏教校であるため、修学旅行では毎年、生徒全員で浄土宗総本山の知恩院を訪れます。そして、一般には公開されていない鐘楼を特別に拝観します。また、今年は奈良の薬師寺で法話を聞くなど、普段はできない貴重な体験ができました。
フィールドワークを通して、日本の歴史や本物の文化に「触れる」実体験となりました。

鐘楼を特別に見学

特別な鐘楼を触ったり、中にもぐってみたり、みんなと記念撮影したりと、興味津々な生徒たち。

自主行動のポイント

生徒が自分たちで考え、行動する班別での自主行動。旅行前には事前学習として、班ごとに調査テーマを決め、現地でのコースや時間を考慮した行程表を作ります。

引率した登丸(とまる)先生は、「建物の高さをテーマにして、高い建物を巡るツアーを考えた班があれば、乗り物をテーマに鉄道博物館の見学やトロッコ体験を入れた班もありました。京都と奈良の文化をテーマに茶道体験を取り入れた班もありましたね。
現地滞在中は、街で班行動している生徒に会うと、事前に調べた寺院や見学した場所のことを私たちに教えてくれて、みなとても楽しそうにしていました」と語ります。

五重塔をバックに!

高さのある仏教寺院といえば、法隆寺の五重塔。とても良い角度で記念撮影していますね!

事後学習はクラス対抗プレゼン大会

事後学習では、同じ班のメンバーと京都奈良1泊2日のツアープランを作成し、パワーポイントを使って5分程度のプレゼンテーションをします。班の中でプレゼン担当やパワーポイント担当など役割分担をし、メンバーが互いに協力して発表会に臨みます。
その発表会で、クラスの代表となる上位2班を選出。3学期に講堂で決勝発表会が行われ、全7クラスの代表14班が優勝を競います。
このように事後学習を通して、自らの体験を他人に「伝える」力を養います。

仲の良いみんなと一緒に!

薬師寺も興味深いけれども、仲の良いみんなと一緒にいるのが一番楽しそう?

年間の校外行事はなにがあるの? ▶

凝ったしおりからテーマソングが誕生

学年全員に配布される“修学旅行のしおり”には、生徒が描いた修学旅行のイメージキャラクター「ざっぜん。(座禅)」が登場。引率した池之上(いけのうえ)先生は、「これは他校なら却下されるでしょう」と笑います。このほか、仏像に詳しい生徒による仏像の解説ページや、クロスワードパズルのページ、実行委員による編集後記まであり、遊び心満載のしおりからは、“何事も仲間と一緒に楽しもう!”という芝中高ならではの雰囲気が伝わってきました。

さらに、生徒が歌詞を考え、吹奏楽部の生徒が作曲した修学旅行のオリジナルテーマソングも完成。この曲はパソコンで加工され、滞在先のホテルで生徒の起床時に流されたそうです。
楽しい思い出を積み重ねながらも、仲間と歩みを共にして「協力する」ことの大切さに気づくことが、校外学習の大切な目的のひとつです。

「修学旅行も学園祭と同様に、生徒が持つ特技や個性を引き出す行事の1つ。彼らは本当に、いろいろなことを知っています」と、池之上先生は誇らしげに語ってくださいました。

生徒が描いた修学旅行のイメージキャラクター「ざっぜん」

ざっぜん。について、美術の新海先生からのコメントは「さらっと一筆書きで人智を超えた御仏の神秘的な魅力をうまく表現していると思います」。

共生(ともいき)できる社会を目指す指導方 ▶

先生に聞く芝中高の魅力とは

引率した先生方から、修学旅行に限らない「芝中高ならではの魅力」についてのコメントをいただきました。

名内(なうち)先生:勉強面ではしっかりしている生徒が多いです。普段の生活や行事の中で失敗した際に、どういったリカバリーができるのかを指導することを大事にしている学校です。次回チャレンジした際に、どうしたら失敗の経験を活かせるのかを考えることが校外学習の意義であると考えています。

登丸先生:入学してくる生徒はみな個性が強く、学校にも“生徒はこう成長すべき”という考えがないため、個性が伸ばせる学校環境だと思います。今回も、生徒が個性を出し、それが認められた修学旅行になったのではないかと思います。

個性が伸ばせる学校環境

志を同じくする仲間たちと一緒に、楽しい思い出を重ねて成長していく芝中高の生徒たち。次年度の学校レポートにご期待ください!

池之上先生:心穏やかな生徒が多く、安心して見ていられる学校です。中高の6年間を通して、人との繋がりを大事にする人間性を育てることを意識しています。芝中高であれば、同じ理想を持った仲間同士、自然と高みに上ることができるでしょう。

錚々たるOBたちからのメッセージ ▶