300人の実行委員で創る「芝の学園祭」
inter-edu’s eye
実行委員300人が準備に1年をかけ、毎年来場者数を増やしている芝中学校・芝高等学校(以下、芝)の学園祭。第72回となる今年の学園祭のテーマは「Re:painting」。一大イベントを大成功に導いた実行委員長と先生方にインタビューを行いました。
これぞ芝!生徒が運営したくなる学園祭
実行委員が300人という芝の学園祭。その運営スタイルは独特です。総務部、広報部など多くの部署に分かれていて、その構図はまるで大企業のよう。新しくやりたいことがあればまずは企画書を作成し、実行委員や先生に提案。様々な審査や手続きを経て承認される企画だからこそ、来場者に楽しんでもらえるものになります。
また、多くの学校とは異なり、芝の出し物はクラスではなく部活や有志の参加。「やりたくなければやらなくてよい」というスタンスなのに、毎年多くの出し物が企画され、実行委員への希望者も増加しています。生徒会係主任の小室先生は「勉強に熱意を向けながらも運営側にまわって学園祭に参加したいと手を挙げる。そんな雰囲気が芝らしいと思います」と語っていました。
イメージしたのは背中で語る中小企業の社長
学園祭実行委員長として奔走した大口裕人くん。学園祭の余韻が残るなか、インタビューに答えてくれました。
インターエデュ(以下、エデュ):実行委員長になろうと思ったきっかけを教えてください。
大口くん:去年は実行委員として参加しました。後夜祭の後、フィナーレで先輩たちが泣いている姿を見て心を打たれ、みんなが感動できる学園祭を作りたいと思ったのがきっかけです。
エデュ:運営するなかで苦労したことは何ですか。
大口くん:300人の実行委員をまとめることですね。幹部だけじゃなく、全員に学園祭の一員と思ってほしかったんです。生徒間で指示を出し合うのは難しいし、ただ指示するだけではついてきてもらえないと思いました。だから中小企業の社長をイメージして、自分から動いて背中を見せることを意識しました。
エデュ:フィナーレはどんな思いで迎えましたか。
大口くん:ステージに上がる前、幹部と話そうと思ったときにはもう泣きそうだったんです。そのあと、1年前に前委員長から言われた「来年は君に任せます」という言葉を思い出したら感極まってしまいました。
エデュ:ステージではどんな話をされたんですか。
大口くん:この日のために1年間頑張ってきたんだという思いと、応援してくれた友達、先生、そして親への感謝です。それからフィナーレを見て1年前の僕と同じように感じる人がいるかもしれないので、「来年は責任も増えて大変だろうけど、学園祭への思いを大事にしてほしい」と伝えました。
学園祭は生徒の情熱を発信する場
生徒会係主任の小室先生と学年主任の池之上先生にお話をうかがいました。
エデュ:大口くんはどんな委員長でしたか。
小室先生:大口くんは常に一定以上の仕事ができる委員長でした。高校生は普通、波があるものなんですけどね。辛抱強い性格なのでしょうか。新しい企画も生徒たちの不平不満もうまくまとめて交渉してくれたので、安心して任せられました。
池之上先生:近隣にあいさつまわりをしたときも、身振り手振りで一生懸命話す誠実な委員長です。後夜祭でも大泣きしていたので、後輩たちと一緒に私ももらい泣きしてしまいました。「来年は俺たちが」という思いが受け継がれていくのは良いですよね。
エデュ:芝にとって、学園祭とは何でしょうか。
小室先生:芝の校訓「遵法自治(法に従い自らを治めること)」を体現する場ですね。
池之上先生:生徒が発信する情熱で、来てくれた人を笑顔にする。「情熱発信の場」だと思います。
芝の校訓について ≫編集者から見たポイント
芝の今年のテーマは「Re:painting」。その意味について大口くんは「代々の先輩や先生たちが作ったものにのっとりつつ、自分たちの新しい色を見せる」と語ります。
生徒たちの情熱とそれを見守る先生たち。年を追うごとに来場者が増えるのにも納得です。代々の委員長の思いを受け継ぎ、歴史を重ねていく芝の学園祭。今後の飛躍も楽しみです。
その他の連載コンテンツ
第4回100%異文化体験!! 芝生に人気のベトナム研修
近年、参加希望者が定員を大きく上回るという芝中高のベトナム研修。一体どんな内容なのか、生徒と先生へインタビューを行いました。記事を読む≫
第2回今年から始動!手塩にかける「芝漬ゼミ」とは
今年から始まった「芝漬ゼミ」。その知られざる実態を解き明かすべく、エデュスタッフが潜入!芝ならではの学びをたっぷり体験してきました。記事を読む≫
第1回生徒主体の一大イベント!先生たちが見守る芝伝統の大運動会
生徒主体で伝統が受け継がれてきた芝の大運動会。その運営から見えてくる芝生の輝きを、実行委員長と先生方のインタビューからお届けします!記事を読む≫