日本伝統文化を体験しながら学ぶ「日本学」

日本伝統文化を体験しながら学ぶ「日本学」

inter-edu’s eye

グローバル社会に活躍する女性の育成を目指す淑徳SC中等部・高等部(以下、淑徳SC)では、総合学習「日本学(Japanology)」において茶道や華道、さらに能楽の体験授業を行います。まず自国を知ったうえで、異文化を受け入れる広い視野を持つことが大切と考えるからです。今回は能楽を学び、文化の理解を深めた高校1年生にお話をうかがいました。

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広いネットワークを駆使した淑徳SCならではの体験学習

前回の連載でもご紹介しましたが、淑徳SCでは広い人脈を駆使した外部講師による授業が多く取り入れられ、日本学でも同様に能楽は能楽師、華道は池坊の講師を招いたプロによる直接指導を実践しています。
中でも高校1年生が行う能楽の授業では8月の「サマースクール」で発表会が行われるため、生徒たちも学びに力が入ります。発表は生徒が本物の能舞台で能楽師の皆さんと一緒に演目の一部を実演する本格的なもの。学年全員が参加する独特な節回しの“謡(うたい)”や代表者による“舞”の披露など盛りだくさんの内容です。

能楽の装束を着用する生徒。座学だけではなく、実際に”謡”や”舞”にも挑戦して日本文化に触れます。
能楽の装束を着用する生徒。座学だけではなく、実際に”謡”や”舞”にも挑戦して日本文化に触れます。
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能楽を通じて日本文化の奥深さを知る

「サマースクール」の能楽発表会で“舞”を担当するのは、自ら立候補をした生徒たち。クラスごとの謡の発表の前に、1人で舞台に立ち“舞”を披露します。今回はこの“舞”に挑戦した生徒4名にインタビューを行いました。
(記事の最後には発表会で生徒が「吉野静」を演じた動画もありますので、ぜひご覧ください!)

インターエデュ(以下、エデュ):能楽を学ぶ前と後では、どんな変化がありましたか?

栃木さん:初めはただ難しそうだなと興味を持てずにいたのですが、能楽の基本となる“舞”を構成する“型”の意味や物語の背景を学んでいくうちに、能楽の奥深さに心惹かれるようになりました。そして実際に体験したことで、能楽が身近に感じられるようになりました。

中島さん:能楽では美しい姿勢が求められるのですが、衣装を着てしまうと自分が背筋を伸ばしているつもりでもきれいな姿勢が保てずに苦戦しました。その経験から、姿勢を正すことを意識するようになりました。

加山さん:重い衣装や面をつけても転ばないためには重心を意識して歩くことが大切なのですが、私は先生から外側重心になっていると指摘され、歩き方の癖を直しました。

谷ツ田さん:能楽のおもしろさを知ってから、テレビでも日本の文化や歴史についての番組があると観るようになりました。私自身の興味の幅が広がったと思います。

「“舞”を習得するために放課後や夏休みには、五反田にある能舞台や学校、伝通院の和室を借りながら、たくさん練習をしました」と話す栃木ななこさん(左)と中島令子さん(右)。
「“舞”を習得するために放課後や夏休みには、五反田にある能舞台や学校、伝通院の和室を借りながら、たくさん練習をしました」と話す栃木ななこさん(左)と中島令子さん(右)。
「サマースクール後も先生のお弟子さんたちと同じ舞台に少しだけ参加させていただくなど、とても貴重な体験ができました」とうれしそうに話す加山千愛さん(左)と谷ツ田彩奈さん(右)。
「サマースクール後も先生のお弟子さんたちと同じ舞台に少しだけ参加させていただくなど、とても貴重な体験ができました」とうれしそうに話す加山千愛さん(左)と谷ツ田彩奈さん(右)。

エデュ:専門用語や独特の作法があって難しい能楽ですが、どんなときに楽しさやおもしろさを感じましたか?

中島さん:泣いている様子を表しているなど、“型”の一つひとつに意味があると分かると、登場人物の気持ちや場面、話の流れが理解できるようになって、おもしろいと思いました。

加山さん:“舞”ができるようになって楽しさを感じたのはもちろんですが、プロの公演を観賞した際、自分の覚えた“型”と同じ動きをしていることにとても感激しました。

エデュ:能舞台で発表をしてみてどうでしたか?

栃木さん:学年の生徒全員に見られているのですごく緊張しました。それでも厳粛な雰囲気の中、きれいな装束や貴重な面を身につけて“舞”ができたことは、本当にうれしく、胸がいっぱいになりました。

谷ツ田さん:本番は緊張で頭が真っ白になりましたが、たくさん練習を重ねた分、体が自然と動きました。私の”舞”と先生の”謡”が一体となったのが分かってとても気持ちよかったです。

発表前、舞台上で面をつける生徒。「面を受け取るときの張り詰めた空気は、特別なものをつける感動と緊張の瞬間でした」と谷ツ田さん。
発表前、舞台上で面をつける生徒。「面を受け取るときの張り詰めた空気は、特別なものをつける感動と緊張の瞬間でした」と谷ツ田さん。
面をつけたらいざ本番へ。先生のお弟子さんの謡に合わせて生徒が“舞”を披露します。
面をつけたらいざ本番へ。先生のお弟子さんの”謡”に合わせて生徒が“舞”を披露します。

エデュ:能楽の体験で学んだことをこの先どのように活かしていきたいですか?

加山さん:これからも先生のもとで能楽を続けていきたいと思っています。私はニュージーランドの語学研修にも参加する予定なので、日本文化のよさをホームステイ先でも伝えられたらと思います。

谷ツ田さん:今回能楽で学んだ美しい姿勢や歩き方、声の出し方などを忘れずに、これからも実践していきたいです。

生徒たちの興味をそそる仕掛けで成長を促したい

高校1年生の担任を務め、生徒たちの成長を身近で見守ってきた西塔優里先生にお話をうかがいました。

「日本学はキャリア教育の一環として取り入れているのですが、まずはグローバル社会で必要な自国の文化を知り、海外に発信する力を磨くことを目的としています。伝統文化を肌で感じられる体験が、深い理解に繋がるのです。また、淑徳SCでは生徒にさまざまな出会いを与えることを大切にしており、今回の日本学であれば日本文化に興味がありそうな生徒に教員から声をかけ、“舞”に立候補するよう促したりしています。少人数制なので生徒の“やりたい! ”の声があがれば、一歩先の挑戦を応援することもできるのです。学年によってできることを見極めながら内容も調整しています。生徒に一つでも多く興味を持てる何かを見つけてほしいですね」。

編集者から見たポイント

私自身もホームステイの経験があり、自己紹介をする際に日本文化を紹介できることがどれだけ豊かなコミュニケーションを生むのかを実感しました。海外に行けば日本人が日本を知っているのは当たり前のことなのです。生徒たちには日本学で学ぶ日本文化のいろはを海外で発信できる国際人になってほしいです。

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2020年度入試要項

入試区分 入試日程 出願期間
【中等部】適性検査型入試① 2月1日(土) 1月10日(金)~1月31日(金)
【中等部】適性検査型入試② 2月2日(日)
【中等部】適性検査型入試③ 2月11日(火・祝) 1月10日(金)~2月10日(月)
【中等部】4科&英語3科入試① 2月1日(土) 1月10日(金)~1月31日(金)
【中等部】4科&英語3科入試② 2月2日(日)
【中等部】4科&英語3科入試③ 2月3日(月)
【中等部】2科入試① 2月1日(土) 午前 1月10日(金)~1月31日(金)
【中等部】2科入試② 2月1日(土) 午後
【中等部】2科入試③ 2月2日(日) 午前
【中等部】2科入試④ 2月2日(日) 午後
【中等部】2科入試⑤ 2月3日(月) 午前
【中等部】2科入試⑥ 2月5日(水) 午前 1月10日(金)~2月4日(火)
高等部入試① 2月10日(月) 1月25日(土)~
高等部入試② 2月11日(火・祝)
高等部入試③ 2月13日(木)
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