掲載日:
足立学園中学校・高等学校(以下、足立学園)は国内の中学校・高校で初めて「Microsoft Showcase School」に認定されたICT教育先進校です。新型コロナウィルス感染拡大が進む中、3月にはオンライン授業への移行に着手し、クラウド上で生徒が交流して学び合うこともすでに当たり前になっています。今回は、そんな未来志向の学校環境をはじめとする足立学園の「志共育」について、その理念を校長の井上実先生に、そしてICT教育の実践について御担当の杉山直輝先生にお聞きしました。
「志共育」を掲げる理由を教えてください
井上先生
現在、日本の教育現場では、高い偏差値の大学に入ることに重きが置かれています。たしかに受験に向けて努力するのは素晴らしいことです。しかし、子どもが自らの「志」を明確にしていないと、実社会に出てから活躍できるようにはなれません。しっかりとした目標意識を持ち、挫折に耐え、自ら動く人材が求められているからです。本校では、そうした資質を育てることで、生徒の将来までを見据えた本当の教育成果を上げたいのです。「共育」としているのは、教員側が一方的に教えるのではなく生徒がもともと持っているものを引き出し、共に育むことを意識しているからです。
そうした理念を具体化する取り組みを教えてください
井上先生
直近の入試から「志入試」という基礎学力と面接による入学者選抜を始めています。将来に強い思いを抱くお子さんに来てもらうことが狙いです。「志入試」による入学生はとても意欲的で、学力も予想より伸びていて驚いています。また、生徒たちは学問的な研究を体験する「課題探究」、自らの将来を探る「進路探究」で素晴らしい結果を出しています。教員側は一般社団法人教育再生実行連絡協議会でコーチングスキルを学び、意欲を引き出す指導方法を身に付けています。生徒に対する言葉遣いから、独りの人間として向き合う姿勢が見えるようになりました。
そして、本校の強みでもある「ICT教育」が挙げられます。体育館以外はWi-Fiを完備し、1人1台のデバイスがある環境で、Microsoftのアプリケーション全般を学校生活のたくさんの場面で活用してきました。同社の製品を採用したのは、実社会で最も広く普及しているものを生徒に使ってもらうためです。
今春、新型コロナウィルス感染拡大が進む中、ICT環境はどのように活かされましたか
井上先生
緊急事態宣言が発出された直後の職員会議で、オンラインでホームルームと授業を行うことを即決定しました。ホームルームではテレビ会議システムを使い、不安な情勢の中で生徒への声掛けを大切にしました。さらに一歩進んで、オンライン2者面談も行ったのですが、新入生が教員を知るいい機会になったと振り返っています。
授業は各家庭の通信環境を配慮して、教員がつくった授業動画を配信するスタイルで進めました。チャット機能などを使って、生徒同士で学習について話し合う姿も目立ち、コミュニケーションの場を保てたと感じています。
6月には完全登校を開始されましたが、休校を経て学校はどのように変わりましたか
井上先生
ICT教育に関して、さらに大きな進歩を遂げたと言えるでしょう。各教員がオンラインで意見交換しながら、アイデアを出し合ったからこそ乗り越えられました。また、保護者が取り組みを理解し、受け入れてくれたことに深く感謝しています。そして、生徒の中には、あの状況であっても「医療関係の仕事に就きたい」といった夢を持つ子が出て驚いているところです。「この危機も心の成長に何とかしてつなげたい」と願いながら、「志共育」を進めてまいります。
足立学園が認定された「Microsoft Showcase School」とは何ですか
杉山先生
Microsoft社が認定するICT教育の先進校で、全世界で約200校しかなく、日本の中学校・高校では足立学園が初めてです。2020年3月に同社と調印しました。本校が評価されたポイントはWord、Excel、Power Pointをはじめとするアプリケーションを含むサービス「Office365」の活用方法です。特に、会議・通話用のアプリ「Teams」を使い、そうした機能全体を教育活動に統合しながら取り入れた点が決め手になりました。
足立学園では「Office365」導入により、どのような教育を実践していますか
杉山先生
授業での資料提示や小テストをデジタル配信に切り替え、生徒の取り組み状況もデータとして記録・分析することを可能としています。宿題なども同様です。また、オンラインでのホームルームは、以前出張中に行ったことがあったので、容易にできました。
ほかの学校にはない足立学園のICT教育の強みは何ですか
杉山先生
ICTの「C」の部分、つまり「コミュニケーション」の充実度です。本校では、生徒たちにチャット・通話をほぼ自由にさせています。他校では生徒指導に関する懸念から、そこまで踏み切るのは難しいでしょう。しかし、足立学園では注意すべきところは注意しつつも、失敗から学んでほしいという思いで制限しすぎないようにしています。
新型コロナウィルス感染拡大が続いた今春、これまでの取り組みはどう活かされましたか
杉山先生
3月にはオンライン授業を開始することができました。生徒側も積極的で、クラウド上で学習について相談し合ったり、勉強会を開いたりする姿を見て、とても嬉しく感じました。部活動も休止になりましたが、各部が新入生勧誘用の映像を制作・配信する動きが広がるなど、交流の場が保たれたことも成果の一つです。
コロナ禍への対応に関して、重視したことは何ですか
杉山先生
学習に大きな遅れを出さないことをもちろんですが、生徒のストレス軽減を何よりも大切にしました。テレビ会議システムでよく話をしたほか、検温に合わせて少しでもメッセージを投稿させて生徒の調子を知ろうとしてきました。
ICT教育の成果を教えてください
杉山先生
一般的な学校では、教室での発言力が強い子が授業でも学校生活でもメインになってしまいますが、足立学園ではコミュニケーション・ツールを通して意思表示ができるので引っ込み思案な生徒でも活躍できることが大きいと思います。また、生徒の情報収集力が高く、探究活動の中で有識者の方と交流する敷居を低くできました。教科書にない学びを生徒たちが自分から実践して限界を次々と超えていると感じています。
ICT教育を今後、どのように発展させたいと考えていますか
杉山先生
Microsoft社のICT教育についての認定資格「Microsoft認定イノベーター」の取得者を増やしたいと考えています。また、「Microsoft Showcase School」になってから、全国各地のICT教育先進校との情報交換も盛んになりました。この状況を活かして、足立学園としても、さらに研究を深めていくことが目標です。
生徒さんの成長をどのように見ていますか
井上先生
ICTの使い方に関しては、教員を超えそうな生徒も少なくありません。制限をかけすぎない指導が功を奏しているのではないでしょうか。ICTにはさまざまなリスクがあるのも事実です。しかし、これからの社会に出る生徒にとってICTは欠かせないことを考えると、教員が抑えつけてしまうのは適切ではないでしょう。
受験生にメッセージをお願いします
井上先生
ぜひ、足立学園に入り、自分だけの「志」を見つけてほしいと思います。本校では、失敗しただけで叱り飛ばすような指導はしていません。ぜひ、たくさんのことに挑戦してください。そして、教員を超えてください。私たちも学び続けています。足立学園は「教育」ではなく、共に育む「共育」を実践しています。
中学校
ハイブリッド説明会 | 2020年9月5日(土) 14:00~16:00 |
動画配信(教育方針・教育内容・入試について・校内ツアー・授業や部活動) ご来校(部活動体験・個別相談・校内見学) |
---|---|---|
学校説明会 | 2020年10月17日(土) 10:00~12:00 |
授業見学・入試問題説明 |
2020年11月4日(水) 18:00~19:00 |
校内見学と個別相談はありません | |
2020年11月21日(土) 14:00~16:00 |
入試問題説明・個別相談 | |
2020年12月2日(水) 18:00~19:00 |
校内見学と個別相談はありません | |
入試直前対策 | 2021年1月16日(土) 2科・適性 14:00~15:10 4科 14:00~15:50 |
お子様が講座を受講の間、パネルディスカッションや入試の心得などをお聞きいただけます |
小4・5対象中学校体験会 | 2021年2月20日(土) 14:00~16:00 |
パネルディスカッション・体験・懇談・校内見学 |
高等学校
学校説明会 | 2020年10月17日(土) 14:00~16:30 |
校内見学・個別相談 |
---|---|---|
2020年11月11日(水) 18:00~19:00 |
校内見学と個別相談はありません | |
2020年11月28日(土) 14:00~16:30 |
校内見学・個別相談 | |
ハイブリッド説明会 | 2020年8月29日(土) 11:00~16:00 |
動画配信(教育方針・教育内容・進学指導・入試について・校内ツアー・探究授業や部活) ご来校(部活体験・個別相談・校内見学) |
入試相談会 | 2020年10月17日(土) 14:00~16:30 |
15分ごとの予約制です |
2020年11月28日(土) 14:00~16:30 |
15分ごとの予約制です | |
2020年12月12日(土) 14:00~16:30 |
15分ごとの予約制です | |
2020年12月26日(木) 10:00~12:00 |
埼玉のみ 15分ごとの予約制です |
「志共育」とはどのような教育を意味していますか
井上先生
「生徒が『何のために学ぶのか』『自分は何がしたいのか』を自覚できるようにする教育」を指します。言い換えれば、足立学園では生徒が将来の目標・理想といった「志」に気づくよう促すことを重視しているのです。そのために、教員一人ひとりが生徒を100%承認し、前向きに挑戦できる環境をつくっています。