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礎は150年の伝統 跡見の将来構想プロジェクト

2020年新入生保護者アンケート
『入学を決めた理由』

  • 伝統があるから
  • 学校の雰囲気がよかったから
  • 格式の高さと伝統に惹かれたから
  • 伝統校でありながら、特待生制度を導入し、大学受験やその先を見据えた変化を実行しているから
  • 面倒見がよさそうだから

inter-edu’s eye

2025年の創立150周年に向けて「将来構想プロジェクト」を立ち上げた跡見学園中学校高等学校(以下、跡見)。一方で、新入生保護者アンケートでは跡見の伝統に多くの支持が集まったことが分かりました。新たなプロジェクトを打ち立てることで、受け継いできた伝統はどうなるのでしょうか。プロジェクトご担当の先生にうかがいます。

2020年度始動 将来構想プロジェクト

鈴木先生と秋元先生

将来構想プロジェクトとは何か、そして保護者から高い支持を得ている跡見の伝統は今後どうなるのか。プロジェクトリーダーの鈴木真人先生と、副校長の秋元世史子先生にうかがいます。

(左)鈴木真人先生。英語科。中学1年学年主任。将来構想プロジェクトリーダー。

(右)秋元世史子先生。副校長。英語科。

プロジェクトの目的

鈴木先生

インターエデュ(以下、エデュ):今年度からスタートした将来構想プロジェクトとは、一体どんなものなのでしょうか

鈴木先生創立150周年を迎えるにあたり、今後目指すべき学校像・教員像・生徒像のそれぞれのビジョンを定め、実現に向けて動く長期的なプロジェクトです。2018年に立ち上げ、どのような学校・教員であるべきか、どのような生徒を育てていきたいかを明確にするべく議論を重ねました。目指す生徒像を「自らの美意識のもとに新たな価値を生み出し、周りを幸せにする女性」とし、その実現のための教育を「跡見流リベラルアーツ」「本物の美の探求」「探究型創造学習」の3つにまとめました。

───ここでいう「美意識」とは何ですか

鈴木先生どういった事柄や行いを美しいと感じ、どういうことを恥ずかしいと感じるのか。そういった考え方や生き方に関わる価値観です。

───それぞれのビジョンは、これまで目指していたものと大きく変わったのでしょうか

鈴木先生いいえ。当プロジェクトはゼロから生まれた新しいものではありません。これまで各教員が続けてきたこと、他校にない本校の強みなどを再認識して拾い集め、さらに今後必要になる能力を盛り込んだ内容になっています。ビジョンを定め、長い伝統の中に息づいていたものを分かりやすい言葉で形にすることで、学校のぶれない軸となり、全教員の拠りどころになると考えました。

秋元先生

秋元先生これからの時代に向けて、生徒が自分で考え、他者の意見を受け入れ、協働して新しい方向性を見つけていく力を学校で育てていかなければなりません。この意識統一のきっかけを、将来構想プロジェクトが作ってくれました。

───では、受け継がれ、多くの方に支持されている「伝統」を大切にする姿勢は変わらないと

鈴木先生はい。教育の土台となる「跡見流リベラルアーツ」は、本校の伝統文化です。

跡見流リベラルアーツ

教育ビジョンの実現へ求める成長の流れ

───跡見流リベラルアーツについて教えてください

鈴木先生本校で学ぶ幅広い教養を跡見流リベラルアーツとし、3つの型に分けて学びます。1つは「跡見で学ぶ美しい生活の型」、次に「跡見に息づく培われた型」、最後が「型を破る方法を学ぶ型」です。
「跡見で学ぶ美しい生活の型」とは、ごきげんようの挨拶、身だしなみ、人との接し方などで、日々の生活指導・生徒指導で伝えているものです。

秋元先生「跡見に息づく培われた型」は本校の伝統文化です。中学校では定期的に「お作法の時間」を設けて、作法室でふすまの開け方やお茶のいただき方、挨拶の仕方を学び、日本人として恥ずかしくない型を学んできました。

お作法の時間
お作法の時間

鈴木先生また、学祖・跡見花蹊は書家でもあるので、中学校には習字の授業があります。今後は習字の時間に伝統文化を学ぶプログラムを取り入れていきます。

秋元先生今年度は日本の伝統文化を知ることをテーマに、折形(※)を学びます。作ってみて終わりではなく、「なぜ折形が日本に文化として存在するのか」と背景を学び、日本人としてのアイデンティティを生徒に伝えていきます。
(※)折形:贈り物に付ける紙飾りや、和紙で品物を包む手法などの総称。古くから伝わる礼法の1つ。

───では、「型を破る方法を学ぶ型」とは

鈴木先生道徳の時間を利用して、今年度から始める学びです。“型を破る”とは、正しい型を学んだ上で、そこから一歩踏み込んで自分だけのスタイルを作ること。型を破る方法として思考スキルを身につけます。例えば「理想の跡見生とは」といった議題を、「ブレスト手法」「ピラミッドストラクチャー」などロジカルシンキングに必要な手法を用いて話し合います。

本物の美の探求と探究型創造学習

本物の美の探求「音楽会」
本物の美の探求「音楽会」

───本物の美の探求は、どういった学びですか

鈴木先生校外学習や、本物に触れることを大切にしている教科教育です。今後はすべての校外学習において、専用のワークシートで「美」をテーマに振り返りを行い、生徒が自身の考えを書き込みます。行事で自分が共感したこと、いいなと思ったことを「美」として、生徒にとっての「よいこと・正しいこと」を考え集めさせることが狙いです。

───本物に触れる学びとは、具体的にどんなものですか

鈴木先生国語科では能狂言・歌舞伎・文楽・雅楽を鑑賞しますし、理科なら実験を重視しています。

秋元先生社会科では中学3年次に刑事裁判を傍聴します。卒業生が「中高時代、いかに多くの本物に触れてきたかを実感しています」「お茶の飲み方一つにしても、正しい作法を知っていることが社会に出てからの自分の余裕につながっています」と言ってくれるたび、本校の学びが生徒の人生の肥やしになってくれていると、うれしくなりますね。

探究型創造学習
探究型創造学習

───3本柱の3つ目「探究型創造学習」の内容は

鈴木先生これまでの宿泊研修に、探究と創造の要素を加えた学びです。中学1・2年次に行う自然教室は「サイエンス探究教室」に変わり、行先はそのままで学び方をブラッシュアップします。中学3年次の広島修学旅行は世界規模の課題を考え、主体的に取り組む「SDGs探究旅行」に、高校2年次の研修旅行は「セルフプロデュース旅行」となり、生徒たち自身で探究旅行プログラムを考えます。

───将来構想プロジェクトが、伝統やこれまでの教育を大切にしながら、生徒自身に考えさせる新たな学びを増やしていることが分かりました。

秋元先生説明会でプロジェクトについて語ると、多くの保護者の方から「分かりやすい」「共感する」という感想をいただきます。

───新入生保護者アンケートでは、先生の面倒見のよさも入学の決め手になったようです。この点についてはいかがですか。

鈴木先生生徒へのきめ細かな対応は、他校を知る教員が「ここまでやるか」と驚くほどです。学習面では、定期考査で成績が振るわなかった生徒を集めて補習を行い、次の定期考査までチームティーチングをします。最初は受け身の姿勢で参加していた生徒も、補習で学び方を覚えると、高校で主体的に学ぶようになりますね。

秋元先生そう。中学では補習の常連だった生徒が、慶應や早稲田に行ったりするんですよ。6年間の生徒の伸び方は測り知れません。

───最後に、受験生にひと言をお願いします。

鈴木先生受験生や保護者の皆さまが期待しているような伝統や情操教育を大切にして、一方で、これからの時代に求められる新しいことにも積極的にチャレンジする学校であり、教職員であり続けます。跡見で待っています。

先生から受験生へのメッセージ

峯先生(英語・中1担任)
峯先生(英語・中1担任)
「英語の学びは『自己理解』『他者理解』へとつながります。多様な価値観に触れ、心を磨きましょう」
杉本先生(保健体育・中1担任)
杉本先生(保健体育・中1担任)
「『型破り』は、まず『型』を心・技・体でしっかりと身につけることから始まります」
足立先生(理科・中1担任)
足立先生(理科・中1担任)
「サイエンス探究教室は、実際の自然の中に行って、実物を見ながら楽しむプログラム。本物を体験しよう!」
石井先生(数学・中2担当)
石井先生(数学・中2担当)
「中2では、SDGsを通じて世界の問題を調べ、まずは自分たちができることを考え、実行にうつすことを学びます」
梅澤先生(数学・中1担当)
梅澤先生(数学・中1担当)
「多角的に考え、失敗を恐れず、試行錯誤できる跡見生を少人数によるきめ細かな指導で育成していきたいと思います」
峯先生(英語・中1担任)
杉本先生(保健体育・中1担任)
足立先生(理科・中1担任)
石井先生(数学・中2担当)
梅澤先生(数学・中1担当)

編集者から見たポイント

2020年入試では全日程において受験者数が増加した跡見。アンケートには、「今年は倍率がかなり上がり、午前での合格が叶わず焦りました。無事に合格できてよかったです」という喜びの回答があったほどです。秋元先生によると、コロナ禍対応のオンライン説明会に加えて感染収束状況を見ながら、人数を限定した学校説明会の開催を検討しているとのこと。毎年人気のキャンパスツアーや説明会で、150年の伝統を肌で感じられる日が早く来るといいですね。

7月以降のイベント・説明会等はHPでお知らせします

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:跡見学園中学校高等学校