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1年かけて才能の芽を伸ばす 千葉明徳の「課題研究論文」

inter-edu’s eye

広く深い知識を身につけるとともに、これからの人生をどう過ごすのかを見据えた「生き方教育」を実践している千葉明徳中学校・高等学校(以下、千葉明徳)。中高一貫で指導を進めるなか、中学の集大成と位置付けているのが「課題研究論文」です。生徒たちはどのような過程を経て論文をまとめていくのでしょうか。

学校公式ページ

「行動する哲人」を育てる6年間

2025年に開校100周年を迎える千葉明徳は、京成千葉駅よりわずか10分。京成電鉄千原線の学園前駅が玄関口となりアクセスは抜群のうえ、県内最大級の運動場があるなど学習環境も充実しています。高い知識と見識のもとで、独自の主張や判断力を持ち、行動に移していける「行動する哲人」の育成を目指す千葉明徳の学びの基本は「まとめて・書いて・発表する」こと。中学入学後、総合的な学習を通してアウトプットを重ねることで、表現力や発信力、より深い理解力を身につけていきます。

そしてその集大成ともいえるのが「課題研究論文」です。段階を踏みながら学んだことを土台に、中学最終学年には一人ひとりがテーマを多角的に見出し、1年間をかけてグループゼミで研究を進めていきます。その結果を約10,000字の論文にまとめ、プレゼンテーションで自分の考えを発表する実践的な学びと言えます。

思考の本質に迫る論文のつくりかた

生徒たちはどのように「課題研究論文」を進め、またどのような成長を見せるのでしょうか。中学教務主任で国語科の清水綾乃先生にお話をうかがいました。

清水先生

課題研究論文のねらいや活動内容を教えてください。

清水先生

千葉明徳では、「まとめて・書いて・発表する」を教育の基本として中学3年間をかけてさまざまな力を身につけていきます。それらをまとめ上げた最終形が課題研究論文で、中3生が1年間かけて取り組む総合学習活動です。学習テーマの制限が無く、自分自身で研究対象を決めることができ、ゼミ形式で課題を研究・開発しながら、論文にまとめていき、最後には10分間のプレゼンテーションで成果を問うという学びです。

中1・2生では、どのような活動を行うのでしょうか。

清水先生

「土と生命の学習」で日本を知ることをテーマに活動します。中1生は校舎の敷地内に田んぼを作り、苗の栽培から収穫まで生徒自らが行います。中2生は野菜を育て、またそこから課題を見つけ、文化祭では中1・2生混合のグループでポスターセッション形式による発表を行います。

中3生はどのようなテーマを設定しているのでしょうか。

清水先生

興味のあるテーマを自由に選んでいるので、アレルギーや乗り物酔いといった身近なテーマから、医療関連や社会問題まで幅広いですね。昨年の論文テーマには「効率の良い給食の準備」など面白いものがありました。ちなみに最優秀賞は地元の小弓城址で発掘調査をした論文でした。歴史好きな生徒が興味関心を伸ばしていった結果だと思いますね。

課題研究論文発表会の様子
学年横断でプレゼンテーションから質疑応答まで行われる課題研究論文発表会の様子。ユニークな論文テーマが次々と繰り出されます。

指導をするうえで心掛けていることはありますか。

清水先生

経験を重ねることを重視しています。望ましい成長は、質問し合ったり感想を述べたりするだけでなく、互いの立場から意見交換が出来るようになること。中学生の段階ではいろいろな経験の機会を与えたいと考えています。千葉明徳には期待に応えられるプログラムが用意されています。中高一貫生が高校生になったら、考えるだけではなく、さらに行動することで、卒業後にも社会のなかで「生きる力」が身についていくと考えています。

土と生命(いのち)の学習
稲作や農業体験から得た知識を知恵に昇華させる「土と生命(いのち)の学習」で、課題発見力を身につけます。
6年一貫教育のプログラム

研究を終えて実感できた成長

「課題研究論文」に挑んだ生徒たちは、中学3年間でどのような成長を実感したのでしょうか。プレゼンテーションを終えたばかりの高山さんと池田さんに話を聞きました。

池田さん
高山さん

論文のテーマについて教えてください。

高山さん

私は「『たばこ』の煙を減らすために必要な取り組み」がテーマです。街を歩いていると、喫煙スペースから煙が上がっているのを見てとても気になっていたんです。煙を減らすための対策はないかなと思ったのがテーマを決めた理由です。

池田さん

私のテーマは「信号機は本当に安全か」。車に乗っているときや歩いているときに交通事故に遭遇したことがあり、日本の交通安全対策は万全なのかなと思ったのがきっかけで、いつも当たり前に見ている信号機に着目しようと考えました。

質疑応答の様子
プレゼンテーションの場では必ず質疑応答が盛り込まれます。事前の準備や理解度が試されます!

研究自体はどのように進めていきましたか。

高山さん

タバコの文献がなかなか見つからなかったのですが、いくつか図書館をめぐって司書の方に相談して参考になる文献を見つけることができました。

池田さん

私も千葉県警のホームページや交通白書を読んで調べました。ゼミのメンバーでは全校のみんなを対象にアンケートを取った子もいました。

行き詰まったときにはどうやって問題を解決しましたか。

高山さん

論文の書き方で悩んだときがありました。先生やお母さんにアドバイスをもらってまとめることができたし、ゼミで意見交換できたこともよかったです。

池田さん

研究を進めていくうえでアイデアに困ったときは、お父さんに相談しました。

プレゼンテーションはいかがでしたか。

高山さん

10分の持ち時間だけで言いたいことを伝えるにはどうしたらいいか悩みました。プレゼンに向けて準備をしていたので、本番では失敗することなくできたと思います。

池田さん

伝えたい内容に優先順位をつけるのが難しかったです。練習ではプレゼンの時間が余っていたのですが、先生のアドバイスを受け、スライドの見せ方を工夫した結果、本番はしっかりできました。

表彰式
表彰された生徒はもちろんですが、どの生徒の論文発表も自由で夢のある内容でした。

作成を通して成長を実感したことはありますか。

高山さん

1つの方向ではなく、いろいろな視点から物事を見ることができるようになりました。中2の後半からずっと研究を進めていたので、論文を作成し終えて達成感があります。また、人前で話すことが苦手だったのですが、プレゼンを通して苦手意識が薄れてきたと実感しています。

池田さん

どんな小さなことでも疑問を持てるようになったことです。日常を過ごすちょっとした時間でも論文のアイディアが湧いたり、ヒントを見つけたりできるようになったのは成長した点だと自信を持っています。

高校に進級してからの目標を教えてください。

高山さん

海外に行く機会が増えるので、もっと視野を広げてコミュニケーション能力を高めたいです。そして、将来やりたい職業や夢を見つけたいです。

池田さん

カンボジアをはじめとした海外のボランティアに興味があるので、英語をしっかり学んで挑戦したいです。

過去3年間の大学合格実績

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:千葉明徳中学校・高等学校