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inter-edu’s eye

創立135年を超える伝統校である獨協中学校・獨協高等学校(以下、獨協)。前身は、ドイツ文化の摂取移入の目的で設立された獨逸学協会が創立した獨逸学協会学校です。ドイツと深いつながりのある獨協では、希望者を対象に毎年ドイツ研修を行っています。今回は、ドイツ研修に参加した生徒4人にインタビュー。ドイツでの思い出や学んだことなどを振り返ってもらいました。

10代の感性で文化に直接触れる ドイツ研修

創立当時からドイツ文化と深いつながりのある獨協にとって、グローバル教育を進めるのは当然のことといえます。中でもドイツ研修は、獨協生からの人気が高いプログラム。夏休みの約10日間を使って、ハノーファー、ベルリン、ミュンヘン、トリアなどの都市を訪れ、環境教育施設や学校でドイツの教育を受けます。滞在中は、ホームステイでドイツの生活も体験します。

ドイツでの生活を満喫! 生徒インタビュー

実際にドイツ研修に参加した生徒はどのようなことを学んだのでしょうか。高1生3人と、中3生1人にお話を聞きました。

左から、高1のD.Sくん、A.Iくん、M.Sくん、中3のR.Nくん
左から、高1のD.Sくん、A.Iくん
M.Sくん、中3のR.Nくん

──ドイツ研修に参加したいと思ったきっかけを教えてください

D.Sくん
D.Sくん

入学してドイツ語同好会に入り、ドイツ語を学ぶようになったのがきっかけです。ヨーロッパのサッカーが好きなのも参加した理由です。

A.Iくん
A.Iくん

ぼくもサッカーが好きであることと、サッカーのドイツ代表の選手の休日の過ごし方に密着したテレビ番組を観てドイツの生活に興味を持ったのがきっかけです。

M.Sくん
M.Sくん

中3のとき、ペットの殺処分をテーマに研究論文を書いたので、動物保護の先進国であるドイツでの取り組みを知りたいと思い希望しました。

R.Nくん
R.Nくん

ぼくは今、研究論文で「人種差別」について調べています。ナチスの歴史からドイツがどのように変わったのかを調べたいと思ったのがきっかけです。

D.SくんとA.Iくん

──実際に参加していかがでしたか

D.Sくん
D.Sくん

ホームステイをしてホストファミリーの方と過ごしたのがよい思い出です。週末には、ブンデスリーガの試合を観に行きました。日本とは比べ物にならないくらい盛り上がっていて、一体感がすごかったです。

A.Iくん
A.Iくん

ドイツ人の生活スタイルが印象的でした。みんな夕方には仕事を終えて、その後の時間は自分のために使っていました。とても充実していて有意義な過ごし方だなと感じました。

M.Sくん
M.Sくん

高校生が中心に行っていた環境に関する抗議デモに参加できたことがとてもよい経験になりました。3000人規模のデモに参加したのは初めてだったので貴重な経験でした。

R.Nくん
R.Nくん

ぼくはドイツ語は話せないのですが、ホストファミリーとは英語で話ができたので、言葉の面でのコミュニケーションはあまり問題ありませんでした。

M.SくんとR.Nくん

──ドイツで学んだことや得たものは何ですか

A.Iくん
A.Iくん

多くの人と関わったことで、何事も丁寧な姿勢で臨むドイツ人の国民性を知ることができました。

R.Nくん
R.Nくん

人の優しさや時間を大切にする習慣があることを学びました。将来、ドイツに住みたいと思えるほど素敵な国でした。

M.Sくん
M.Sくん

動物保護センターを訪問して、動物と人間を対等に考え、動物の生きる権利を尊重するドイツ人の考えに触れることができました。

──帰国してから変化や成長を実感したことはありますか

D.Sくん
D.Sくん

英語が通じるか心配だったのですが、すぐに会話することができました。その一方、ドイツ語があいさつ程度だったので、話せたらいいなと感じて、今は新たな目標に向かってドイツ語を頑張っています。

──どのような目標ですか

D.Sくん
D.Sくん

ドイツの外務省による「PASCH(パッシュ)※」というプロジェクトでドイツ研修に行くことです。獨協の中である一定の成績に達した2~3人が日本代表として行けるので、選ばれるように頑張りたいです。
※PASCH(パッシュ)…
ドイツ外務省によるプロジェクトで、「学校:未来を拓くパートナー」(Schulen:Partner der Zukunft)の略称です。世界各国でドイツ語を学習する学校500校と在外ドイツ学校500校をパートナー校として協定を締結。交流活動を通してドイツ語の向上や国への理解を深める研修を行っている。日本では獨協を含め、4校のみが選ばれている。

ドイツ研修フォトギャラリー

ハノーファー生物教育センターでの学び

1日目:ハノーファー生物教育センターでの学び。ハチの保護と固有の植生の保護の関係について学ぶ。

ハノーファー・ライプニッツ大学 研究室見学

3日目:ハノーファー・ライプニッツ大学 研究室見学。

デモにケイテ・コルヴィッツの生徒たちと共に参加

3日目:FridayForFutureのデモにケイテ・コルヴィッツの生徒たちと共に参加中高生を中心に3000人の若者が環境保全のために今すぐ行動を起こすことを大人たちに訴えた。

森のステーションに向かう森の小道

4日目:ハノーファーにはたくさんの森がある 森のステーションに向かう森の小道

森のステーションの塔

4日目:ハノーファー 森のステーションの塔。

森のステーションでの学び

4日目:ハノーファー 森のステーションでの学び。タワーを上り森を垂直に移動しながら植生の変化について観察。

ハノーファーでお世話になったホストファミリー

6日目:ハノーファーでお世話になったホストファミリーの方たちとの別れ。

ホストファミリーの方たちと記念撮影

6日目:ホストファミリーの方たちとお別れの記念撮影。

バイエルン州ザンクト・エグマーの自然公園

7日目:バイエルン州ザンクト・エグマーの自然公園。森の空中に巡らされた回廊を歩くことで、普段見ることのできない高い位置から森や木を観察することができる。

ドイツの動物保護施設ティアハイム

9日目:ドイツの動物保護施設ティアハイムを訪問。殺処分ゼロを目指すドイツの動物保護の考え方、在り方を学ぶ。

ハノーファー生物教育センターでの学びの写真を表示する
ハノーファー・ライプニッツ大学 研究室見学の写真を表示する
デモにケイテ・コルヴィッツの生徒たちと共に参加の写真を表示する
森のステーションに向かう森の小道の写真を表示する
森のステーションの塔の写真を表示する
森のステーションでの学びの写真を表示する
ハノーファーでお世話になったホストファミリーの写真を表示する
ホストファミリーの方たちと記念撮影の写真を表示する
バイエルン州ザンクト・エグマーの自然公園の写真を表示する
ドイツの動物保護施設ティアハイムの写真を表示する

獨協とドイツの深いつながり

ドイツ研修の意義や獨協とドイツとの深いつながりについて、研修を担当している塩瀬治先生に話を聞きました。

お話を聞いた塩瀬先生
お話を聞いた塩瀬先生

──ドイツのどのような教育が獨協によい影響を及ぼしているのでしょうか?

塩瀬先生
塩瀬先生

ドイツは戦後、人権や権利、平和について考え、国を一から作り直しました。「良い社会」を目指し、その一員になるためにどうすればよいか。ヨーロッパの中の「善」でありたいというのがドイツだと思います。この考え方は、今の日本の教育にも必要なものだと感じます。

──ドイツの教育を理解したうえでどのようなことに心掛けて指導していますか?

塩瀬先生
塩瀬先生

エリート集団をつくるのではなく、互いのよさを認め合いながら育ちあうことのできる人間に成長できるよう心掛けています。私は、獨協中学の戦後の復興を支えた天野貞祐校長の代の最後の生徒なのですが、これは天野校長の教えでもあります。この教えを受け継ぎ、一人ひとりのよさが引き出せる環境を作らなければならないと考えています。

戦後の獨協教育の礎を築いた第13代校長 天野貞祐氏の銅像
戦後の獨協教育の礎を築いた
第13代校長 天野貞祐氏の銅像

──実際に獨協生にはどのような生徒が多いですか?

塩瀬先生
塩瀬先生

優しくてお互いのよさを認め合うことのできる子どもたちが多いですね。将来、「良い社会」の一員になるんだなと今から感じるほどです。

──ドイツ研修ではどのようなことを学び取っていると感じますか?

塩瀬先生
塩瀬先生

ドイツ研修は、毎年ホストファミリーが受け入れてくださっているからこそ実現できています。こうしたドイツの方の「人のために、社会のために」という「善」の部分を生徒も感じ取っていると思います。

編集者から見たポイント

ドイツでさまざまなことを吸収してきた生徒たち。最後に「ドイツだからと身構えることなく、海外に興味があれば参加するといい」と受験生にメッセージをくれました。獨協では、ドイツだけでなくシアトルでのホームステイ、イエローストーン・サイエンスツアーなどの研修も行っています。海外でさまざまな気づきを得た獨協生たちが将来、社会でどのような活躍を見せてくれるのか楽しみです。

イベント日程

イベント名 日程 申込受付開始
入試問題説明会 12月21日(土)
10:00~11:15
11月30日(土)
第3回 学校説明会 12月21日(土)
11:30~12:30
11月30日(土)
第4回 学校説明会 2020年 1月12日(日)
10:00~12:00
12月21日(土)

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:獨協中学校・獨協高等学校