掲載日:

医学部進学で躍進中!獨協中高最新レポート

生徒、先生

inter-edu’s eye

近代日本の礎となったドイツ文化の摂取を目的として創設された獨協中学校・獨協高等学校(以下、獨協中高)は、明治以降135年余の間、医学・法曹・教育の分野で数多くの逸材を輩出してきました。2020年度の卒業生199名のうち、延べ20名が現役で医学部に合格(現役合格率 約10%)するという優れた実績を挙げています。未来を担う「社会の優等生」の育成を掲げて更なる進化を続ける獨協中高の最新状況を、学校長と在校生それぞれの視点からご紹介します。

校舎

生徒の可能性が試される
新たな時代

校長の渡辺和雄先生から、これまで獨協中高が歩んできた歴史と共に、今後の展望についてお話をうかがいました。

校長の渡辺和雄先生
校長の渡辺和雄先生
校長の渡辺和雄先生

貴校の沿革についてお聞かせください。

渡辺先生

戦後の新生獨協中高では、日本初のカント哲学の研究者としてドイツとのつながりを深めてきた第13代校長の天野貞祐先生が、「人間教育」を教育理念として本校の学校改革に取り組み、さらに学問を通して立派な人格形成を目指す土台を築き上げる目的で獨協大学を開校しました。社会のために尽くせる能力を身につけることが現在まで続く目的ですが、現代は当時と社会に求められる要素が変わってきました。そのため、今と未来を見据えどんな時代においても通用する人間に必要な能力を育成するため、2019年に「獨協ディプロマポリシー」を策定しました。

獨協ディプロマポリシー

豊かな人間性

持続可能性が求められる社会において、地球上のすべての人々や生き物が、将来においても共存できる環境づくりに貢献すること。

切り拓く知性

変化の激しい社会においてよりよい未来を創造するために、みずからの使命を自覚し、自ら考え判断し、一歩を踏み出す勇気を持つこと。

柔らかな感性

グローバル化する社会において、異なる文化背景や価値観を持った他者と交流し、共存し、協働すること。

獨協ディプロマポリシー
獨協ディプロマポリシー

どのような教育改革を実施される予定でしょうか。

渡辺先生

多様性を理解したり批判するためには読解力が必要です。従って、物事に広く関心を持った受験生を求めています。例えば、指定校推薦を含めて医学部入試にも小論文や面接があり、その際には幼い頃から培ってきた知性が試されます。そのため、広い視野と教養と論理的思考力を兼ね備えた受験生のチャレンジの場として、算数と国語による2科入試を新たに導入します。

2科入試のポイントをお聞かせください。

渡辺先生

まずは基礎・基本をきっちりと勉強することです。複数の要素を組み合わせて解答してもらう問題も出題しますが、難問奇問は出題しません。学校サイトで公表しているサンプル問題も過去問を組み合わせて作っているように、過去問に取り組んでもらうことが午後入試の対策にもなります。また、受験はミスなく満点を取ることが目的ではないのですから、細かな点にはこだわらず全体を見通して解答してください。採点に際しては、解けていないから減点するのではなく、できていることを評価する加点式であるところが、本校の教育への考え方を表していると思ってほしいですね。

医学部進学に向けた大きな変化

次年度以降から大きく変わっていくという医学部進学の状況や、中学受験への心構えについてもお話をうかがいました。

貴校独自の進路指導はありますか。

渡辺先生

医大をはじめ、さまざまな分野で活躍する教授や知識人の皆さんが来校し、多くの講演会を開催しています。本校の高1生たちが早稲田大学の法学部でゼミに参加するといったユニークな学びも実施しており、特にOBの活躍する医大への見学会では、資料だけでは窺い知れない勉強法や心構えを学んでおり、医学部への進学を目指す生徒のモチベーションを大きく向上させています。

10名につき1名の医学部合格者を出す理由があるのですね。

渡辺先生

高い目標を掲げて切磋琢磨する先輩や同級生がロールモデルとなり、希望する進学先への良い流れができており、本校と獨協医科大学の教員が互いに交流して学び合う勉強会も実施されています。また、高2の段階で文理の選択をし、高3で志望大学に合わせてコース選択をします。医学部を目指す生徒に最適化された小論文や講習などの特別授業が用意されます。また、高1から本校独自の選択科目であるドイツ語を学べますが、学習意欲がより高まる生徒が多く、履修者は難関大に進学する傾向が強いですね。医学部志望の生徒たちだけが目立つわけでありませんが、その勉強法を真似てみることで自分自身に合った学び方を探すことにつながっています。
獨協医科大学のある栃木県では、医学部進学に際し独自の地域枠が設定され、最大で2,200万円の奨学金が受けられるようになりました。地域枠の半数は指定校推薦となり、卒業後には一定の年数を栃木県で勤務するという条件はありますが、医師を目指す本校の生徒にとっては大きな励みとなることでしょう。

獨協医科大学見学会でのひとこま
獨協医科大学見学会でのひとこま

受験生の期待も高まってくるように思えます。

渡辺先生

受験当日は万全の対策をして臨んでも不安になるでしょうが、自分だけがそうなっているわけではありません。不安に飲み込まれるか、今しかできないことを頑張るか、その心構えだけでも結果は変わってきます。日々の勉強を頑張っていれば、昨日より今日の自分が成長していると実感できる時がやってくるはずです。まずは、説明会の機会で本校をもっと知ってもらえればさらに安心できるのではないでしょうか。

獨協中高の新たな文化に
なった委員会活動

獨協中高の環境教育を象徴するビオトープの管理や屋上緑化に取り組む緑のネットワーク委員会。環境と共に社会への関わり方を模索するその活動内容について、委員長の高木さんと副委員長の榛葉さんからお話をうかがいました。

委員長の高木さん、副委員長の榛葉さん
委員長の高木さん(右)副委員長の榛葉さん(左)
委員長の高木さん、副委員長の榛葉さん

これまでにどんな活動に取り組んできましたか。

高木さん

校舎脇にあるビオトープの管理や、箱ビオトープや野菜栽培を行う屋上緑化に加えて、2016年から近隣の小学校や福祉施設での環境ファシリテーターを続けてきました。今年は初めてサツマイモ栽培に挑戦しようとしています。まさに今日(取材当日)はビオトープの水の流れを良くするために雑草取りを始めたところなんですよ。

榛葉さん

毎年開催されている男子中フェスタでも委員会の活動を紹介したり、大学を含めた各校のボランティア団体が集うボランティアアワードにも参加しています。もちろん、獨協祭(文化祭)のブース展示も行いますが、今年は新入生に向けて動画を撮影・編集し、オンラインでの活動紹介を行いました。屋上緑化では2年続けてゴーヤの栽培に失敗してしまいました。自然の厳しさや事前の計画が予定通りに進まない難しさを体験しましたね。

委員会活動を通して学んだことや気づいたことを教えてください。

榛葉さん

自然を“虫”や“植物”などの個体として捉えるのではなく、それらが相互的に関連している環境として見ることのできる観察力が身につきました。また、とても自由な雰囲気の委員会なので、メンバーは中1の頃からも意見を主張でき、企画が実現した場合は責任者になります。言われたからやるということではなく、一人ひとりが責任感をもって物事に携わる文化があるんです。

学校の起源であるドイツの環境教育を意識する機会はありますか。

高木さん

ドイツでは1960年代から屋上緑化や緑のカーテンを利用した環境活動を始めているのですが、ビオトープの語源はドイツ語で、ビオ(生きもの)・トープ(住みか)を意味しているんですよ。ドイツの先進的な環境教育を意識することは大切ですが、私たちは日本の里山や雑木林といった独自の風土や文化に適した形での環境保護活動を目指しています。

校舎脇のビオトープ
校舎脇のビオトープ

獨協生ならではの過ごし方を教えてください。

高木さん

獨協生には学校の内外で自然に触れあえる貴重な体験の機会があります。アメリカの世界自然遺産であるイエローストーンでのサイエンスツアーでは、一日中バスに乗りながら野生のバイソンを見る機会がありました。当時は英語に興味を持っていませんでしたが、海外生活を体験すると英語で会話するのも楽しくて仕方がないですね。フードバンクと呼ばれる施設では、貧しい人たちへの食糧を詰め合わせるボランティア活動にも参加しました。
僕たちが活動する委員会では、面倒見のよい諸先輩方や、自ら行動できる後輩たちとの意見交換が大きな刺激となっています。ここだけの話となりますが、学年が上がるにつれて、やる気を出す人と出さなくなる人の差は大きくなってきます。僕個人は俄然やる気が増してきましたね!

榛葉さん

そうですね。獨協中高の先生方は、生徒のやる気をとても尊重してくれています。その証拠として、教員室はいつも生徒であふれかえっているんです。個人の責任や選択を重んじる学校なので、その気になれば医学部をはじめとした難関大学への進学も目指せる学習環境が揃っていると思います。

これまでの経験を活かした将来のビジョンがあったら教えてください。

高木さん

講演会でお話しいただいたビオトープ管理を職業とする方の仕事に憧れを持ったので、生き物と関わって得た知識をこれから活用できたらと考えています。また、今年は中止された環境ファシリテーター活動を再開して、環境問題をより積極的に広めていきたいですね。

榛葉さん

委員会活動を通して、意見を述べる権利と同じように、義務を全うする責任感の大切さにも気づかされるという貴重な経験をしてきたと思います。特に今年は、獨協祭やボランティアアワードがオンラインでの開催となったので、動画撮影や編集のスキルが初めて試されることになりました。この機会にもっとスキルを向上させて今後の活動に取り入れていきたいです。

獨協の森(鎮守の杜)
獨協の森(鎮守の杜)

「獨協を40種類以上の広葉樹で囲もう」という構想で作られた獨協の森は、教育環境の整備とともに、日本の在来種樹木のよさを見直すねらいがあります。

編集者から見たポイント

獨協中高における「社会の優等生」という言葉には、「学校の優等生は数が限られていても、獨協生は社会に出ればみんな社会の優等生になれる」という意味が込められているそうです。渡辺校長の教育にかける熱意や生徒たちが過ごす学校生活の充実度を間近に感じることで、獨協中高の人気の理由を実感できるインタビュー取材となりました。

イベント日程

第3回学校説明会

2020年12月20日(日)

①9:30~10:30②11:30~12:30

①②とも定員300名(1組2名以内)
申込受付開始:11月28日(土) 12:00

入試問題説明会

申込受付開始:12月5日(土) 12:00

動画(録画)配信型。お申し込み後に説明会動画にアクセスするためのURLが送られます。

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:獨協中学校・獨協高等学校