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モデルロケット国際大会入賞! 理科部の活躍に見る「したいこと」が見つかる! 伸びる! 普連土学園

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普連土学園中学校・高等学校(以下、普連土)は、近年「理系に強い女子校」として注目されている港区の完全中高一貫校です。そのイメージを世間に強く印象付けたのは、ロケット甲子園で女子校初の優勝を果たし、国際大会へ進出した理科部の活躍です。驚くべきは、メンバー4人のうち半分は文系の生徒であったこと。ロケットに興味を持った女子生徒が日本の頂点に立った理由はどこにあるのでしょうか。大会に出場した高2生のメンバーと、広報部長の池田雄史先生にうかがいます。

国際大会3位! 私たちがMERN(メルン)です

チーム名のMERNはメンバー4人の頭文字を並べたもの。大型ロケットは、メンバーが製作した各パーツを合体させて完成します。一人ひとりが各部位のプロフェッショナルなのです。

MERNの軌跡

  • 高2
    パリで行われた国際大会で3位入賞。
  • 高1
    ロケット甲子園で優勝。国際大会への出場権を獲得。
  • 中3
    大型ロケットの大会・ロケット甲子園に初出場。
  • 中1・2
    小型ロケットの大会に出場。
    大型ロケット打ち上げに必要な3級ライセンスを取得。
ロケットのパーツ
  • 沢田 桃子さん
    沢田 桃子さん
    ロケットの先端部分「ノーズコーン」を製作。到達高度を上げるため、空気抵抗を減らすことが責務。
  • 細井 江実理さん
    細井 江実理さん
    ロケットにエンジンを取り付けるための「エンジンマウント」を製作。エンジン回りの部品も担当。
  • 小松﨑 利奈さん
    小松﨑 利奈さん
    パラシュートと、パラシュートを押し出すピストンを製作。パラシュートを機能させることで、着地時のロケットへの衝撃を減らすことができる。
  • 林 音桜(ねお)さん
    林 音桜(ねお)さん
    ロケット内部の「ペイロード」を製作。大会では、ペイロードに搭載した生卵が割れたら記録がつかないため、衝撃を吸収する構造にしなければならない。

日本代表として世界進出

大会に出場するMERNのメンバーのようす

文理混合のロケットチーム

「活動が週1回のみのクラブを探していた」「卒業生の姉に理科部が向いていると言われた」などの動機で理科部に入部した4人。同部には文系理系どちらの生徒もいて、MERNのメンバーも半分は文系。希望の進路や将来の夢は、研究者・看護系・学芸員・文学部進学とさまざまです。
そんな4人は昨年ロケット甲子園で優勝し、パリで行われる国際大会への切符を手にしました。誰より驚いたのは当の本人たち。「よろこびより、国際大会への不安のほうが大きかった」と当時の気持ちを吐露します。

自分たちで決めたルール

国際大会では、ロケットについて審査員に英語でプレゼンをしなければなりませんでした。難局を打破すべく、メンバーはさらに結束を固めます。

沢田さん

沢田さん

プレゼン原稿は4人で作成しました。日本語で文章を考えて、日本ロケット協会の方にチェックしていただき、次に英訳したものをネイティブの先生に見ていただきました。

ロケット製作も原稿作成も自分たちでやってみる。分からなければ誰にアドバイスを求めるかを自分たちで考える。それがMERNのやり方なのです。
「電子辞書を使って原稿を書いて、完璧だと思っていたのにネイティブの先生からは『何を言いたいのか分からない』と。伝えることの難しさを痛感しました」と細井さんは振り返ります。
原稿がまとまると実践練習へ。プレゼン動画を見返して、「身振り手振りを入れたほうがいい」「笑顔を見せて」「ここで部品を持ち上げてアピールしよう」などと話し合いました。

英語で会話するMERNのメンバーのようす

4人で立った世界のステージ

国際大会のステージで英語のプレゼンをするという、想像しただけで縮こまるようなミッションを4人は見事完遂します。
ロケット打ち上げの大役を任され、緊張のあまり生きた心地がしなかったという細井さんは、「この経験のおかげで、何が起きても『国際大会でできたのだから』と動じなくなりました」と話します。
パリでの出来事を「生涯忘れることはない」という沢田さんの言葉は、メンバー共通の想いに違いありません。

ロケットと一緒に記念撮影するMERNのメンバー

突出した成果を出せたのは普連土だから突出した成果を出せたのは普連土だから

ロケット製作を通して、計画の重要性や、仲間と協力することの大切さを知った4人。
メンバーは、「大会出場は理科部の先輩が『ロケット甲子園という大会があるよ』と話を持ち掛けてくれたことがきっかけでした。『やってみたい!』と思ったことを実現できたのは普連土にいたから。何に興味を持っても、誰からも『変だよ』なんて言われないし、個性を認め合う環境だから他人の目を気にすることがありません」と力強く言い切りました。

ロケットの大会で授与された賞状
普連土の豊富なクラブ活動!

知的好奇心を刺激し、意欲を伸ばす環境がある

広報部長9年目の池田先生が、近年の動向や普連土の特性を語ってくださいました。

みんな最初は理科が苦手?みんな最初は理科が苦手?

これまで理系を選択する生徒の平均が40%、うち35%が理系学部に進学していましたが、2019年に卒業した生徒の理系選択率は50%、進学率は40%を超えました。
説明会では、2年くらい前から理系が好きな小学生の参加が目立つようになりましたね。やはり、ロケットやロボットプログラミングの世界大会出場が影響しているのではないかと思います。

ロボットの制作に取り組む生徒のようす

ただ、中1生に毎年行っているアンケート調査では、70%の生徒が理科を苦手だと回答しています。
では、なぜ高校2年次で40%の生徒が理系を選択するようになるのか。その要因は、本校の実験・観察の多さにあると思います。中1から高1まで述べ120回行われる実験・観察を通して、苦手だったはずの理科が楽しくなるのではないかと。
ですから、理系が好きな子はもちろん、苦手な子だって安心して入学してほしい。実際にロケットやロボットプログラミングで世界大会に出場したメンバーの半分は文系の生徒です。つまり、文系理系どちらが得意で入学しても、好きなことを見つけて邁進でき、希望の進路を目指せるということです。

ロケットだけじゃない! 活躍する普連土生たちロケットだけじゃない! 活躍する普連土生たち

ロボット競技会のようす

普連土では、教科書にとらわれない学びをする教養講座や部活動などを通して、生徒が新しいことに興味を持ち、関心を深め、活躍の場を広げています。

理科部ではロケット班、EVカー班、ジオラマ班など、活動内容によって班を分けて活動しています。2018年度には、ジオラマ班が「全国高等学校鉄道模型コンテスト」のモジュール部門で審査員特別賞を受賞。EVカー班は「中・高校生による手作り電気自動車コンテスト」で、これまでデザイン賞や特別賞を受賞しています。

また、2015年にスタートした放課後講座「Friends Fab」では、中3~高2のメンバーがロボットプログラミング大会や理系のコンテストに積極的に参加。2019年2月には、ロボット競技会「FIRSTⓇ LEGOⓇ League(FLL)」の日本大会で総合3位に入賞し、トルコでの国際大会に出場。ロケットの世界大会のように、専門家の前で研究の成果をプレゼンしました。

進路実績

自ら選んだ道で活躍する頼もしい卒業生たち自ら選んだ道で活躍する頼もしい卒業生たち

理系分野に進んだ卒業生の職種は、医師であったり、本田技術研究所で自動車の開発に携わる技術者であったり、さまざまです。慶應義塾大学を経てフランスのエンジニアスクールに留学し、古代ローマ時代の機器の復元に挑んだOGもいます。海外の大学で素粒子物理学を教えるOGは、「国内の大学では同じ専攻の女性がクラスに自分一人だけだったが、アメリカの大学院に進学したら女性が30%を占めていた。もっと素粒子物理の分野に女性を増やしたい」と語っていました。
こうした卒業生に憧れて、在校生が女性の活躍できる場をさらに広げていってくれたらうれしいですね。

編集者から見たポイント

女性の少ない研究分野で活躍する卒業生、男子生徒の参加が多いロケット大会で優勝した在校生。彼女たちには他者を受け入れ、認め合う普連土の精神が息づいていると感じました。好きなことに邁進できる環境は、1人の人間の将来に大きく関わってくることを教えられました。

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MERNメンバーの皆さん

2020年度 イベント・入試要項

イベント

イベント名 日程 会場
学校体験日
(個別相談あり)
2月15日(土) 
9:00~12:00
講堂(新渡戸稲造ホール)
および各教室
イベント予約はこちら

入試日程

日程 試験種別 試験科目 出願期間
2月1日(土) 
午前
4科 算数・国語・理科・社会 1月10日(金) 9:00~
1月30日(木) 23:59
2月1日(土) 
午前
帰国生 算数・国語・作文・面接 (同上)
2月1日(土) 
午後
算数 算数 1月10日(金) 9:00~
1月31日(金) 23:59
2月2日(日) 
午後
2科 国語・算数 1月10日(金) 9:00~
2月1日(土) 23:59
2月4日(火) 
午前
4科 算数・国語・理科・社会 1月10日(金) 9:00~
2月3日(月) 23:59
2月4日(火) 
午前
帰国生 算数・国語・作文・面接 (同上)
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算数入試のカギは?

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企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:普連土学園中学校・高等学校