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港区の中高一貫校、普連土学園中学校・高等学校(以下、普連土)。2021年度大学入試で東大理Ⅰ、医学部医学科をあわせて11名の合格者を輩出するなど、近年理系に強い女子校としても知られています。今回は、文系理系関係なくロボットプログラミングを行うという学校の有志団体「Friends Fab(フレンズ・ファブ)」(以下、「Fab」)に注目。Fabで活動する生徒と、担当の先生にお話をうかがいました。
Fabはロボットプログラミングをはじめ、電子工作や3Dプリンターを使ったものづくりなどを行う有志生徒の集まり。中学3年生から高校2年生を対象とし、現在は90人程度が所属。生徒たちは、部活動と両立させながらそれぞれやりたいことを形にしています。
Fabの活動風景を
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Fabの活動の一つがロボットプログラミング。中でもFabに登録する生徒が目指すのは、世界規模のロボットプログラミング大会「FIRST LEGO League(以下、FLL)」です。大会は、チーム戦で展開。ロボットの組み立てからプログラミングまで行う「ロボットデザイン」をはじめ、チームの良さをプレゼンする「コアバリュー」、テーマについてのソリューションを提案する「イノベーションプロジェクト」の3つを競います。
今回、「スポーツ」がテーマだった今年2月のFLL日本大会に出場したチーム「Seika」のメンバー4人にインタビューしました。
チーム「Seika」での役割を教えてください。
A・Iさん
私は、ベースとなるロボット作りを担当しました。
S・Kさん
私は、ロボットが課せられたミッションをクリアするためのアタッチメント作成が担当でした。文系ではありますが、プログラミングが好きだったのでロボット担当を志願しました。
R・Sさん
私はA・Fさんと一緒にプロジェクトを担当しました。
「スポーツ」がテーマだったので、災害時の運動不足に着目し、「ムービングパーク(移動式公園)」の開発についてプレゼンテーションをしました。
A・Fさん
移動できる公園を作れば、災害時だけでなく、遊ぶ場所が限られている都会の子どもたちや途上国の子どもたちにも役に立つのではないかと思い、2人でイノベーションを考えました。
大会に向けてどのように準備を進めていきましたか。
A・Iさん
中3の冬にチームを決めて、担当ごとに進めていきました。
それぞれ部活動があるので両立させながらの活動でした。
S・Kさん
週に1回はみんなで集まるようにして情報を共有しました。オンラインでミーティングもしました。
ロボット制作を進めていくうえで苦労したことはありますか。
A・Iさん
ロボットの大きさをペットボトルサイズにして小回りがきくようにデザインしたのですが、完成するまでかなりの時間がかかり苦労しました。こだわりを形にしていく作業が難しかったです。
S・Kさん
私は、プログラミングに関しては基礎部分しか理解できていなかったので、日本大会に通用するプログラミングを作るのが大変でした。プログラミングに詳しいR・SさんやA・Iさんに教わりながらレベルアップさせていくことができました。
プロジェクトで苦労したことはありますか。
R・Sさん
国土交通省をはじめ、区の方や企業の方に取材をするのにアポイントメントを取ったのですが、メールのやり取りから取材までの作業が大変でした。また、2人で原稿を作っていく過程で方向性がずれたときもありました。先輩やほかのメンバーなどほかの人の視点でアドバイスをもらうことで方向性を1つにすることができました。
A・Fさん
やりたいことを実現可能なものにしていく作業が難しいと感じました。移動に使うトラックの強度を調べたり、災害時の物資提供の流れなどを区の方に聞いたりして実現可能な方法を探りました。
日本大会はいかがでしたか。
A・Iさん
前回は対面だったのですが、今回はオンラインでの開催でした。初めてのオンラインだったので、最初は慌ててしまいコードが1本抜けたままロボットを走らせてしまったのですが、先輩のサポートもあり落ち着いて立て直すことができました。
R・Sさん
質疑応答では、トラックの維持費や保管場所など細かい質問がきて戸惑いましたが、情報共有をしているほかの担当メンバーが答えてくれて全員で乗り越えることができました。
S・Kさん
普段の環境の中でできたので、ほかのチームを意識することなく落ち着いてロボットを走らせることができたと思います。
Fabの活動を通して成長した点はありますか。
A・Iさん
バスケ部や勉強など忙しい時間の中、計画を立てて調整しながらできたことは大きく成長した点だと思います。
自分を上手にコントロールすることができました。
R・Sさん
プロジェクトを進めていくと、ときには本線からずれてしまうこともあったのですが、話し合いを進めていく中で最後にはまとめあげることができました。
A・Fさん
情報を収集して、整理して活用する力は、社会に出てからも役に立つ力だと感じました。社会と関わる経験ができて良かったです。
S・Kさん
自分とは違う意見が出たときに、自分の意見のメリット、デメリットを整理して仲間に分かりやすく伝えることができました。これまでは反対されるのが怖くて意見がなかなか言えなかったのですが、勇気を出してきちんと伝えられるようになったと思います。
Fabを通して生徒はどのような力を身につけているのでしょうか。
Fabの顧問である加藤芳幸先生にお話をうかがいました。
Fabにはどのような生徒が登録しているのでしょうか。
加藤先生
現在中3から高2までの90人が登録しています。先輩たちが世界大会に出場したこともあり、刺激を受けた生徒が登録して過去最高の人数になっています。文系理系関係なく、自分がやりたいことをやるのが特徴ですし、分からないことがあれば先輩たちが教えるというのが自然な流れになっています。
Fabの活動を通して感じる普連土の生徒の強みは何ですか。
加藤先生
Fabでの活動を通して、生徒たちは校外でさまざまな人とやり取りする機会が増えているので、意見を聞いたり、情報収集して整理する力が身についたりしていると感じます。
今後の目標を教えてください。
加藤先生
FLLの次のステップともいえる大会があり、そこでは資金調達をするなどよりハイレベルな力が求められます。
生徒にはさらなる高みを目指してほしいですね。
Fabをはじめ、生徒のやる気を応援する普連土の教育環境について、広報部長の池田雄史先生にお話をうかがいました。
普連土の教育の特徴を教えてください。
池田先生
本校は1学年3クラスの少規模な学校で、きめ細やかな指導を目指しているのが特徴です。また、高校2年時にあえて文系・理系によるクラス分けをせず、豊富な選択授業を用意することで、生徒一人ひとりの希望進路に対応しています。
文系と理系の生徒が同じクラスで学ぶのでしょうか。
池田先生
はい。高2から高3までの2年間、文系・理系の生徒が同じクラスにいます。割合としては文系が6、理系が4ですね。高3になると授業が必修と選択でほぼ半々になるので、自分の希望に沿った授業を選択して受けることができます。大学の入学試験科目に応じて授業を取ることもできます。細かいところまでサポートできるようさまざまな授業を展開しています。
情報を共有しながらチームワークを構築し、さまざまなミッションを達成した「Seika」の4人。「文系でも興味があればプログラミングを学べるのでうれしい」と、誰でもチャレンジできる環境が普連土の大きな魅力であると話していました。理系に強いことで知られていますが、早慶上智28名、GMARCH77名合格と、難関私大でも実績を出しています。Fabの活動を含め、文理の枠にとらわれず、生徒が興味・関心を深め、成長できる環境が普連土にはあります。
イベント名 | 日時 |
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第1回 生徒への質問会 | 2021年9月4日(土) 10:00〜12:00 |
第2回 学校説明会 | 2021年10月8日(金) 10:00〜12:00 |
第3回 学校説明会 | 2021年10月19日(火) 10:00〜12:00 |
第4回 学校説明会 | 2021年11月9日(火) 10:00〜12:00 |
第5回 学校説明会 | 2021年11月19日(金) 10:00〜12:00 |
第2回 イブニング説明会 | 2021年11月26日(金) 19:00〜20:30 |
第1回 入試解説会 | 2021年12月11日(土) 10:00〜12:00 |
イベントはすべてWeb予約が必要です。詳しくは入試情報ページをご覧ください。