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中野区にある宝仙学園中学高等学校共学部 理数インターには、子どもの“好き・得意”を活かす10種類もの入試があることをご存知ですか。さらに、どの授業にも増して生徒が伸び伸び活動するという謎の教科「理数インター」があるということを。校名をそのまま教科にした学びとは一体どんなものなのでしょうか。
中学3年間で段階的にアクティブラーニングをする教科「理数インター」。この教科には、「日本一入試方法の多い学校ですがなにか?」などの銘語録を持つ校長・富士晴英先生の“生徒が1番楽しいと思える授業を”という願いが込められています。教科への理解を深めるべく、教頭の中野望先生と、中3生の同教科を担当する美術科の荻嶋あつみ先生に質問をぶつけてみました。
教科「理数インター」で、生徒は何をするのですか。
中野先生
答えのない学びに取り組みます。かっちりしたカリキュラムを作ると成立しない教科なので、ふわっとした概念でやっています。
中野先生、理解を深めるどころか謎が増してきたのですが。
中野先生
言葉で魅力や特徴を伝えることが難しい授業でして。
では、ほかの教科とは違うところを教えてください。
中野先生
成績をつけませんし、生徒は伸び伸びと活動しています。
荻嶋先生
ふざけようと思えば、いつまででもふざけていられる授業です。
じゃあ、やる気のない生徒がいたら?
荻嶋先生
放っておきます。
中野先生
「先生は何でも教えてくれる」という考えをなくすことも、この教科の目的の1つだからです。
荻嶋先生
作業が進まないチームがあっても授業を進めたり、10のうち4までしか教えなかったりと、生徒が自ら動かなければどうにもならない状況をあえて作っています。
なるほど。では、具体的な授業内容を聞かせてください。
中野先生
中3では「クエストエデュケーション」を導入していて、今年度は中2でも取り入れています。昨年度は、この教科の1期生となる現・高1生が商品開発に挑み、チーム・さつまいもが全国大会のクエストカップに出場。アプリ「携帯彼氏-彼氏の返品交換承ります-」の提案が高く評価され、起業家コースで優勝しました。
1期生が早速結果を出すなんて。精鋭を集めたチームだったのですか。
中野先生
それが、最初はメンバーのやる気が全っ然ありませんでした。
荻嶋先生
まともなプレゼンをしたことなんて授業では一度もなくて。全国大会進出が決まってから、ようやく火が付いたんですよね。
中野先生
商品の設定が具体的になるにしたがってメンバーに変化が表れて、最後にはすごい成長を見せてくれました。
教科としての可能性と、宝仙生の未知数の伸びしろを感じさせるエピソードですね。
荻嶋先生
やろうとする気持ちさえあれば生徒はどんなことだってできます。ですから、やる気の素になる種を授業で植え付け、モチベーションを上げるきっかけを与えることができればいいなと思い、私は授業に臨んでいます。自由な空間で、生徒がふざけて言ったことが「それいいじゃん!」となったとき、それまでとは雰囲気が一変してメンバーの集中力がグンと上がる。そうした変化を目にすると、いま取り組んでいることは間違っていないと思えます。
中野先生
この教科がスタートしてから「起業したい」という生徒が出てきました。これは1つの成果であり、「理数インター」を通して、“好きなことを突き詰めたい”と、明確な進路を語る生徒が増えていくのではないかと予感しています。
クエストエデュケーションとは
全国202校で導入されている日本最大規模の探究学習プログラム。9つのプログラムがあり、教科「理数インター」では、中2が企業探究コースの「コーポレートアクセス部門」に、中3は起業家コースの「スモールスタート部門」にエントリー。
毎年2月には、全国から選ばれたチームが有識者に向けてプレゼンする全国大会「クエストカップ」が開催される。昨年度、チーム・さつまいもはスモールスタート部門で優勝を飾った。
先生方の想いが伝わったところで、実際の授業を見学してみましょう。
理数インター用の教室に入ると、多様な組み合わせができるという机と、カラフルな椅子が。チームごとに座っている中2生は、春からクエストエデュケーションに取り組んでいます。
今日は中間発表の日。探究対象の企業が社会にどのように貢献し、企業の商品は人々にどのように使われているかのアンケート調査結果と、結果から考えられることをポスターにまとめ、メンバー全員で発表します。
6月にアンケート調査を開始し、夏休み前後の授業を使って集計。そのまとめと考察をプレゼンする時間は、たったの2分間。
各チームのプレゼンが終了し、内容の優れていた3チームが発表されます。氷室先生の掛け声で、みんなで「ドルルルル」とドラムロールの音を表現。クレディセゾン、三菱地所、富士通を探究した3チームが星のシールを獲得しました。おめでとうございます!
授業は続きます。企業への理解を深めた生徒たちに向けて、探究する企業から本ミッションが伝えられます。各企業からの指令をノートに書き留めたりタブレットに録画したりする生徒たち。みんな、クエストカップ出場目指して頑張って!
音楽科の高橋先生に、「理数インター」でクエストエデュケーションをする狙いや、生徒の成長についてうかがいます。
チームで挑む「答えのない学び」
中2生は理数インターで、高1生はLHRで、ともに「コーポレートアクセス部門」のミッションに挑んでいます。両学年を比べてみると、高校生は現実的な視点で考えを狭めてしまうことが多々あるのに対し、中学生は浮かんだアイデアをそのまま伝えてくれます。突飛なアイデアでも受け入れてくれるクエストエデュケーションは、答えのない学びに取り組む「理数インター」と親和性の高いプログラムであり、特に中学生に適していると感じますね。
モチベーションを上げる秘策
星型のシールを優れたチームに与えることは、中学生が少しでもモチベーションを上げるにはどうしたらいいか、氷室先生と二人で考えたオリジナルのシステムです。今回のチェックポイントは、アンケート結果と自分たちの考察がどちらも発表されているかどうか。
企業探究は、テレビ局や製薬会社など生活に身近な企業ほどとっつきやすく、なじみのない企業には苦戦しがちです。そんな中、中学生に無縁のクレジットカード会社「クレディセゾン」を探究するチームは、カードの仕組みを調べることから始め、どんどん意識を高めてきて今回素晴らしい発表をしました。女子2人・男子1人の3人チームで、遊びに走りがちな男子を女子がうまく引っ張っていますし、考えていることをオープンに言い合っているので、これから取り掛かる本ミッションを面白くしてくれるのではないかと密かに期待しています。
イベント名 | 日時 | 詳細 |
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新入試説明会 | 2019年11月2日(土) 10:30~12:00 | ――― |
2020年1月25日(土) 10:30~12:00 | AAA入試に特化した説明会(プレゼン体験をしてもらいます) | |
プレミアム相談会 | 2019年11月12日(火) 10:30~11:30 | ――― |
2019年12月6日(金) 10:30~11:30 | ――― | |
中学説明会 | 2019年11月16日(土) 10:30~12:00 | ――― |
2020年1月11日(土) 14:30~16:00 | 4科入試・新4科入試に特化したポイント会です。 | |
2020年1月18日(土) 14:30~16:00 | 公立一貫型入試に特化したポイント会です。 | |
入試体験会 | 2019年12月21日(土) 08:30~12:00 | ※実施試験については後日公開します。 ※終了時間は選択する入試によって変わってきます。 |