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前回記事で生徒満足度の高さが分かった東京純心女子中学校・高等学校(以下、純心)。実は大学進学率もGMARCH以上が約7割とかなり高い実績を上げています。さらに、本年度から新たな試みとして「タラント発見・発掘入試」を導入。今回は、入試導入の経緯や合格者が実際に行った対策、純心が目指すところに迫ります。

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高め合うことができる生徒を発見する「タラント入試」

タラントとは、聖書に出てくる言葉で「才能」の他に「人柄」という意味があり、この入試では学力だけではなく、「協働性(コミュニケーション能力)がある人かどうか」が重要視されます。入試問題では、自己アピール作文や対話<面接>のほか、1200字ほどの朗読から聴き取って設問に答えたりします。

タラント入試とは

独自の入試が導入された背景について入試担当の高橋先生は「個別指導などが増え、1対1ではきちんと聞けても、大勢の中で聞いていると自分に対して言われていることを認識できない子どもが増えているという先生方の声がありました。私たちは『聴く力』の低下に危機感を感じています。本入試では、相手の言うことに耳を傾け、相手の思いを受け止めて考え、自分の言葉で発信することができる生徒を迎え入れたいと考えています」と語りました。
タラント入試で入学された生徒が加わり、教室にいるさまざまな個性を持つ生徒たちが影響を受け協働することで、クラス全体、さらに学年全体が向上してほしいと願っているそうです。

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合格者に聞く、タラント入試の本当

実際に、タラント入試はどういったものなのでしょうか。今年合格した高野さんと、面接を担当した松下校長、担任の坂梨先生に話を聞きました。

インターエデュ(以下、エデュ):タラント入試の対策を始めたのはいつごろですか。

高野さん:元々、都立の中高一貫校を目指していたのですが、純心祭に行ったときに、学校の雰囲気の良さにひかれて、だんだん純心に行きたいという思いが強くなり、年明けにチャレンジしようと決めました。

エデュ:実際の入試はいかがでしたか。

高野さん

剣道部と「つくし部」に所属、つくし部では高齢者施設訪問などのボランティアを行っている

高野さん:都立の対策をメインにしてきたので、聴く力・書く力などを問う問題は少し難しく感じたのですが、自己アピール作文はずっと練習してきたので自信がありました。「今まで自分が頑張ってきたこと」というテーマが分かっていたので、ピアノについて前日までに十数パターンくらい書き、良いポイントだけを選んで当日書き上げました。

エデュ:タラント入試では、対話<面接>もありますが手応えはありましたか。

高野さん:面接は作文の内容から質問されるので、最低限のマナーしか対策していませんでした。面接してくださったのは校長先生と吹奏楽部の先生です。ピアノに始まり、好きな音楽の話をしたので、面接というより本当に会話をするような感覚で、話せたことを覚えています。

エデュ:入試では作文と面接で受験生のどのような力を見るのでしょうか。

校長:一つのことに対して一生懸命頑張ることができたか、そして頑張ったことから何を学んだのかを見ています。頑張ったことを通してほかの人にはない成長が身についているか、数値では測れない力が分かるので面接で話せるのを楽しみにしています。

松下校長

高野さんの面接をした松下校長

エデュ:高野さんの面接はいかがでしたか。

校長:誰かに教えられ、決められた言葉を話しているのではなく、自分の言葉で答えていたので、彼女の人柄をきちんと感じることができました。伴奏するときに心掛けていることを聞いたとき「歌いやすいように、歌う人に合わせる」と答えたのを覚えています。相手を気遣える方だと感じました。それはまさに、タラント入試で求めている生徒の姿です。

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充実した学校生活

エデュ:入学してまだわずかですが、学校生活はいかがですか。

高野さん:楽しいです! 自然がたくさんありますし、みんな優しいので生活が充実しています。部活動も楽しくて、元々お節介というか、人の話を聞いたり、人のために何かをしたりするのが好きなので、「つくし部」の活動にやりがいを感じています。

エデュ:担任の先生から見て、高野さんの様子はいかがでしょうか。

坂梨先生:高野さんは入学してからまだ3か月ですが、自分のこと、クラスのことなど、たくさん話してくれます。純心祭でのピアノの伴奏も自分が演奏したかった曲を別の生徒に譲り、難易度の高い校歌を選んでくれました。周りを見て行動してくれていますね。

坂梨先生

高野さんの担任、坂梨先生

エデュ:高野さんのこれからが楽しみですね。将来の夢はありますか。

高野さん:昔からの夢は気象予報士です。毎日みんなの生活に必要なものだから、きちんと伝えたいなと思っています。最近は他にもありますが、人のために何かをするというのが夢ですね。

インタビュー中の語らい
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編集者から見たポイント

学力だけで判断しないタラント入試ですが、導入するにあたり試験内容から判断基準に至るまで学校では何度も熟考を重ねたそうです。その基盤となったのは、ミッション校としての教え。聖母マリアのような気遣いと実行力、人の話を聴き尊重する力を育むため、そして学校全体でさらなる高みを目指すための第一歩として、タラント入試があるのではないでしょうか。純心で6年を過ごすことで、お子さんの内面的な成長が期待できそうです。

今年のタラント発見・発掘入試は、2018年2月4日(日)に行われます。詳しくは学校公式サイトをご覧ください。

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これからのイベント日程

イベント名 開催日時 備考
第2回 中学校・高等学校
学校説明会(純心祭1日目)
9月16日(土)
11:00~12:00
予約不要
第2回 中学校・高等学校
学校説明会(純心祭2日目)
9月17日(日)
11:00~12:00
予約不要
学校見学(授業見学) 2018年1月20日(金)まで 前日までに電話予約
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