生徒の“やりたいこと”を引き出す進路指導

生徒の“やりたいこと”を引き出す進路指導

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「いついかなるところでも、なくてはならぬ人」を育む東京純心女子中学校・高等学校(以下、純心)。勉強にも部活動にも一生懸命取り組む生徒たちは、中高の6年間でどのように将来の進路を切り拓く力を身につけていくのでしょうか。今回は純心の進路指導について進路指導部長の八嶋政明先生と学年主任の山本潤一先生にお話をうかがいました。

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生徒を導く前向きな進路指導

インターエデュ(以下、エデュ):進路指導の目標について教えてください。

八嶋先生:純心を卒業して社会に出たとき、生徒たちにはそれぞれの道でぜひ活躍してほしいと思っています。そのために、純心で「これがやりたいんだ!」という何かを見つけるサポートをするのが、進路指導の役目だと自負しています。

「大学入試などの変化にもきちんと対応できる力をつけていってほしいと考えています」と話す八嶋先生。
「大学入試などの変化にも、きちんと対応できる力をつけていってほしいと考えています」と話す八嶋先生。

エデュ:その目標のために、6年間を通してどのような進路指導を行っているのでしょうか。

山本先生:中学校では進路活動にも「探究型学習」の手法を用いて、女性として生きることの意味を探り、深めることをしています。中1では「女性の生き方研究」と題して、社会的に活躍する女性についてグループで調べ、発表を行います。中2では「NPO探検隊」といって社会貢献を担うNPO団体を研究し、さらにインタビューも行って文化祭で発表をしています。学校外の社会人と積極的に関わることで視野を広げるとともに、これらの活動を通じて学習スキルを養うことも目指しています。

「進路指導は生き方指導です。多くの壁を乗り越えた先人達の生き方を知ることで、生徒たちにも自分の限界をどんどん突き破ってほしいですね」
「進路指導は生き方指導です。多くの壁を乗り越えた先人達の生き方を知ることで、生徒たちにも自分の限界をどんどん突き破ってほしいですね」と話す山本先生。

八嶋先生:高校では、中学校で培った知識をベースに、大学進学に向けた具体的な行動を起こしていきます。特に高1では進路研修や大学の講義体験、キャリアガイダンスなど、自身の進路を考える時間を多く設けています。

進路研修ではそれぞれの悩みをラベルに書き出し、同級生や先生と共有することで解決策を模索する。
進路研修ではそれぞれの悩みをラベルに書き出し、同級生や先生と共有することで解決策を模索する。

エデュ:進路指導で一番大切にしていることは何ですか。

山本先生:生徒たちが自身のタラント(才能)を活かして、将来社会に貢献できるように育てるのがミッションスクールの使命と考えています。自分のタラントを発見するための機会や情報の提供を最も大切にしたいと思っています。
また、特に中学校の段階では、いわゆる職業研究ばかりを行っても将来についてイメージしにくいですよね。「進路指導」という形で固定化するのではなく、純心の「探究型学習」を活かして、より主体的な活動で自らのタラントの発見を促しています。

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生徒一人ひとりに寄り添う純心流の学び

生徒一人ひとりがやりたいことやタラントを見つけられる背景には、純心ならではの3つの学びの仕組みがあります。その具体的な活動内容についてうかがいました。

学習意欲と学習スキルが同時に身につく「探究型学習」

エデュ:進路活動としても大切にされている「探究型学習」とは、どのような学習法ですか。

山本先生:図書館を活用しながら、あるテーマについて自ら問いを立て、自らの答えを発見する学習のことです。前述の「女性の生き方研究」などの進路活動だけでなく、各科目の授業でも図書館を活用して探究型学習に取り組んでいます。
たとえば、社会の授業では時事問題を調べてスピーチをしました。前期からネタ帳を作り、テーマから文献を探し、発表の章立てをするなど、一連の学習スキルを学びながら進めます。児童虐待について調べていたある生徒は、「こんなに人の前で発表したいと思ったのは初めてだ」と話していました。担当教員によれば、発表の際には涙ぐんでいたそうで、その生徒は児童心理が学べる大学に進みました。このような「伝えたい」という経験を与えられたことは、教員としてとても嬉しく思いますね。

エデュ:探究型学習では図書館の文献を必ず使用しますが、図書館との連携を重視している理由は何ですか。

山本先生:今はインターネットで多くの情報が簡単に手に入る時代です。だからこそ、すべてを鵜呑みにせず、事実をもとに考えるという基本的な姿勢を早いうちから身につけてもらいたいのです。
中高の図書館には司書教諭が1人ずついて、図書館がいろいろな形でハブになって探究型学習を行っています。純心生にとって図書館は、「静かにしなければならない場所ではなく、みんなで議論したり活動したりする場所」なのです。

教員と生徒の信頼関係も厚く、授業中はもちろん、放課後など個人的に訪れて熱心に相談する姿が見られる。
教員と生徒の信頼関係も厚く、授業中はもちろん、放課後など個人的に訪れて熱心に相談する姿が見られる。
図書館で行う探究型学習≫

最難関大学に特化した新設コース「特進プログラム」

エデュ:進路選択という点で、来年度の4月に高2からのコースとして「叡智探究特進プログラム(以下、特進プログラム)」と「叡智探究セレクトデザイン(以下、セレクトデザイン)」が新設されますが、その目的は何でしょうか。

山本先生:今までは教科ごとに習熟度別クラスを実施していましたが、2020年度の入試改革や国公立大学の入試に向けて、5教科の総合力を強化するため特進プログラムを新設します。セレクトデザインは純心の特色である「自分で時間割をカスタマイズ」し、生徒の思い描く多彩な進路をともに目指します。

エデュ:特進プログラムとセレクトデザインは、具体的にどう異なるのでしょうか。

八嶋先生:特進プログラムは、主に早慶上智や最難関国公立を想定したコースです。成績の基準をクリアした生徒が選択でき、高2からの2年間、独自のプログラムで学習します。週2回7時間授業を行い、違う教材を用いるなど授業内容も工夫します。
ただ、あくまで希望制なので、特進プログラムを選択できる学力があってもセレクトに進むこともできます。看護系や芸術系など卒業生が多く進んでいる専門的な分野を目指す生徒たちは、セレクトデザインで学びます。

エデュ:特進プログラムを選べるかどうかは、どのように判定されるのでしょうか。

八嶋先生:高入生の場合は、高校入試の結果と高1の1年間の頑張りを見て判断します。内部進学の生徒は、中3の評定も含めて考えますので、高入生より1回チャンスが多い形になります。

エデュ:新たな取り組みとして、特進プログラムの生徒たちには、何を期待していますか。

八嶋先生:大学受験が近づくと、頑張っている生徒も弱気になり、志を下げてしまいがちです。特進プログラムに来る生徒たちは、スタート時点で志の高い仲間同士が集まっているので、お互いに支えあいながら、挑戦する気持ちを最後まで貫き通してほしいと思います。

山本先生:ゴールは大学受験だけではありません。その後も、さまざまな領域に興味を持って学び続ける人になってほしいですね。

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受験生へのメッセージ

八嶋先生:生徒たちは、のんびり素朴に素直に育っています。環境も含め、落ち着いてのびやかなところが純心の魅力です。

山本先生:本当にのびのびしています。大学受験前の講義期間中も進路指導の教員がおしるこを作ったら、みんなニコニコ出てきて食べて帰ったりとかね。やることはやって、抜くところは上手に抜くので、生徒たちは穏やかですよね。

八嶋先生:そうなんです。教員と生徒のコミュケーションもよく、アットホームな雰囲気の学校です。進路指導部も入学してくれた生徒たちを6年間大事にしますし、しっかりサポートします! みなさんの入学を心待ちにしています。

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編集者から見たポイント

取材の帰り際、校舎の窓から「さようなら!」と、元気に声をかけてくれたお昼休み中の生徒たち。その笑顔がとても素敵で印象に残っています。今回の取材を通して、純心生は自分の夢を見据えているからこそ、勉強を楽しめるのだと感じました。「やりたい」という気持ちを全力でサポートしてくれる先生がいるからこそ、生徒たちは前向きに社会へ巣立っていけるのだと思いました。

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