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inter-edu’s eye

創立104年を迎える神奈川学園中学校・高等学校(以下、神奈川学園)は、開校当初から「自ら判断する力」の育成を大切にしてきました。
今回は約40年教壇に立ち、学園初の女性校長となった大石先生と学園で学ぶ生徒たちに、今とこれからの学園についてお話をうかがいます。

100年を生きる生徒たちに必要な学力を

神奈川学中学校・高等学校 校長 大石圭子先生
神奈川学園中学校・高等学校 校長
大石圭子先生

人の寿命は100年を超えるといわれるようになりました。
本校では100年を生きる生徒たちに、これから必要となる学力を身につけさせようと時代に合わせて改革を続けています。
100年を生きるということは、従来の女性としてのライフステージにおける転機だけではなく、グローバル化やAI技術の進展などによる社会の大きな変革に直面する、ということです。
そのとき何をするべきか、自ら判断する力や判断するための幅広い知識、そういった長い人生を生き抜く力を“学力”と考えています。

校風が育む自ら判断する力

本校の生徒にその力が自然と身につくのは、創立時から変わらない「自由な校風」があるからだと思いますね。「規則で生徒をしばらず、生徒の自治により判断する力を育む」というのが本校の理念です。
生徒による規則「携帯三原則」などがよい例ですね。生徒たちが問題について考え、必要ならば自分たちで規則を作ります。その中で、時代の変化を見据えながらも、問題の本質を見抜く力を育てます。

人との出会いを通じて重ねる判断の経験

また、本校では「人との出会い」を大切にしてきました。私は人が人を育てると確信しています。知識として認識することも必要ですが、なぜそうなったか、今を生きている人を通して理解することが大切です。
たとえば、生徒たちは「Kanagawaプロジェクト」で行われるフィールドワークなどで語り部や現地の方から実体験を聞く機会が多くあります。苦難の体験を第三者という視点でなく当事者の視点でも考え、「自分はそのとき、今、何をすればよいのだろう」と追体験の中で判断を重ねていくのです。

Kanagawaプロジェクトとは?

100年を生きる生徒たちに必要な学力を養うため、神奈川学園では2000年より「21世紀教育プラン」という仕組みを段階的に導入している。中でも今年度から総合学習を系統的に組み直したのが「Kanagawaプロジェクト」。
各学年に設定されたテーマに基づき、国内フィールドワークや海外研修などで人と出会い、社会との接点を増やし、それぞれの生きる目標や夢を見出す。授業はアクティブラーニングを中心に行われており、生徒同士の学び合いにより知識が定着し、体験を共有し合うことで多角的な視野が育まれている。

Kanagawaプロジェクト内容
中1 平和
中1 平和
中2 環境
中2 環境

受験だけの知識ではなく判断する知識に

本校は「MARCH100」という目標も掲げてきました。そして今、2020年から大きく変わる大学入試にも対応できる力を身につけていきます。そのためには知識をもっているだけではだめですよね。温暖化や紛争など大人でも簡単に答えの出せない問題に対し、知識を総動員し、一定の見通しを立て、判断して、周りの人と協働して解決していかなくてはなりません。
すべてはそういった知識・技能・判断力・表現力・思考力・協働する力という“学力”を本校では身につけていきます。

※MARCH100…難関私立大学(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)へ100名以上の合格を出すという2012年より打ち出された目標。

一人ひとりに寄り添って生徒の人生を考える

何よりも本校の教師は生徒一人ひとりを大切にしています。
進学よりもずっと先の人生まで一緒に考え「面倒見がいい」という言葉では足りないくらいの信頼関係を6年間で築いています。卒業生が節目のたびに学校に立ち寄ってくれるのも教師と生徒のよい関係があるからだと思いますよ。

私たちはこれからも生徒に寄り添い、伸びようとする生徒を応援していきます。
ぜひ本校で6年を過ごしていただきたいですね。

生徒に聞きました!

100年を生きる生徒たちは神奈川学園でどのようなことを学んでいるのでしょうか。

S.Sさん L.Iさん M.Nさん H.Sさん

学園の好きなところは?

H.Sさん

神奈川学園はいい意味で女子校らしくないというか、自由で活発。もともと明るい性格ですが、入学後さらに明るくなったのは自分らしさが出せているからかもしれません。

M.Nさん

先生との距離が近いところです。中学校には毎日先生とやりとりをするダイアリーという取り組みがあって、ちょっとした疑問なども、ダイアリーに書いて解決できますよ。

ダイアリー
ダイアリーには細かく先生からコメントが
L.Iさん

私たちは生徒会執行部員なのですが、自分たちでやりたいことを決めて実行できる学校だと感じています。

S.Sさん

宿題が多い! でも宿題をこなしているうちに自己学習の習慣がつきました。高2になると宿題は減りましたが、今まで宿題をしていた習慣のおかげで自分の学びたい勉強をする時間に変えることができています。

印象に残っている学びは?

H.Sさん

平和学習です。以前、被爆した方にお話をうかがったときは、ただ怖かったのですが、改めて戦争の体験をうかがい、怖いとだけ感じる問題ではないと思いました。今でも原発の問題で、福島の方への差別があると聞きます。お話をうかがって、全く差別するようなことじゃないと理解できました。いろいろな面で考えが変わるきっかけだったと思います。

M.Nさん

鶴見川流域の調べ学習です。調べて発表するのですが、鶴見川というテーマでもみんなが違う切り口で調べていて、それぞれに視点が違うことに驚きました。1つのテーマでもさまざまな知識がついたし、みんなにも知識を与えられてよかったと思っています。

L.Iさん

中3の海外研修ですね。初めて「多文化共生」を意識しました。オーストラリアにはさまざまな人種の人たちがいます。現地の学校ではさまざまな人種の、同世代の意見を聞くことができ、貴重な一週間だったと感じています。日本人は遠慮しがちですが、共生するには、いいたいことをきちんと伝える必要性があると感じましたね。

中3の海外研修
S.Sさん

高1で学んだ国内フィールドワークの水俣です。事前に資料を読んだとき、私は「大変だな、辛いなって思いました」と感想文に書いていました。でも現地で語り部の方から水俣病についてお話をうかがって、自分は「第三者」だという線をひいていたと気づかされました。当事者の方にすれば、第三者という気持ちで聞いたり考えられたりするのは嫌ですよね。水俣病に限らず、物事に対する関わり方を考え直すきっかけになった学習です。

みんなの夢は?

H.Sさん

今はチアリーダーと研究者! これからもバトン部と理系の勉強を頑張ります。

M.Nさん

人の役に立つ仕事をしたいです。お医者さんになるのが夢です。

L.Iさん

海外研修もそうですが、中3で視野が広がったという実感があります。「知る喜び」を知りました。もし海外の仕事に就かなくても将来につなげられるように視野を広げていきたいです。

S.Sさん

学校での取り組みが私の興味を増やしてくれました。でも増えすぎてしまって…先生に相談にのっていただき、今はたくさんの科目が選択できる大学に進学しようと思っています。

メッセージ

H.Sさん

自由な校風で生徒主体な学校です。だから、自分に自信をもって、意見をもって、あなたも一緒に神奈川学園を作っていきましょう!

編集者から見たポイント

「女性校長」になって、あらためて、女性が実社会の中である意味で「マイノリティー」だと気づいたという大石先生。
女子校のよさは、女子であることを意識しないことといいます。神奈川学園ならば、意識せず女子の得意を伸ばせる学びで、しなやかに100年の人生を生き抜く力を身につけられるのではないでしょうか。

2018年度イベント日程

イベント 日程 時間
第3回学校説明会 9月8日(土) 10:30~12:00
文化祭 9月22日(土)
9月23日(日)
第4回学校説明会 10月5日(金) 10:30~12:00
オープンキャンパス 10月27日(土) 10:30~12:30
第5回学校説明会 11月17日(土) 10:30~12:00

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:神奈川学園中学校・高等学校