掲載日:

園芸の恵泉

恵泉女学園中学・高等学校公式サイト

inter-edu’s eye

恵泉女学園中学・高等学校(以下、恵泉)は、教育の大きな特色として創立以来園芸にも力を入れていることをご存知でしょうか。種まきから収穫まで、仲間とともに植物を育てることを通して思いやりの心や生命の大切さを学びます。今回、園芸の学びが現在どのように活かされているのかを、日本医科大学に通う卒業生にお話をうかがいました。

「園芸」を学んでよかったコト
卒業生インタビュー

亀山 まどか さん

日本医科大学4年生。
在学中は園芸クラブに中高6年間所属。

松井 信行 先生

園芸科。副校長。園芸クラブの顧問も務める。

──恵泉の園芸の授業はいかがでしたか?

亀山さん

園芸は好きな授業で、毎回とても楽しみにしていました。植物によって育てる方法が違ったり、さまざまな知識を得ることができて興味深かったです。ほかの学校ではなかなかできない経験だったと思います。

──亀山さんは中高6年間、園芸クラブにも所属されていたのですね。

亀山さん

元々植物を育てることに興味があったので迷わず園芸クラブに入りました。畑で植物を育てたり、文化祭で手作りケチャップやブルーベリージャムを販売したり、フラワーアレンジメントを作ったり、農家での収穫体験など、60名を超える部員でさまざまな活動をしました。

──園芸の授業が医学生の今に役立っていると感じることはありますか?

亀山さん

私は、園芸があったおかげで大きく成長できたと思っています。元々、消極的な性格だったのですが、苦労して作ったケチャップを文化祭で販売したり、合宿先の農家の方との出会いなどを通して、初対面の人に対しても積極的になれましたし、友達と協力して一つのものを作り上げる協働の大切さも知りました。

園芸での協働作業
松井先生

園芸は1人だけでできる作業が少ないので、一緒に一つのものを作りあげた経験はこの先、きっと役に立つと思いますね。

亀山さん

今、大学でも「チーム医療」が重視されています。どんな相手と組んでも目的のために力を合わせる、園芸の協働の経験が存分に活かされていると思います。

──協働作業の下地が「チーム医療」に繋がっているのですね。

亀山さん

その他の点では、恵泉の園芸の授業ではかなりたくさんの植物を観察してスケッチを描くのですが、医学部でも顕微鏡を見て人間の組織をスケッチすることが多いので、園芸で培った観察力が大いに役立っています。

松井先生

座学とは違い、目の前に植物があって、触ったり、観察したりしながら体験できることは、生徒の心に強く刻まれるのかもしれませんね。スケッチは実物を見てもイメージで描いてしまう生徒が多いです。状況を分析して観察する力は一朝一夕では身につきません。

亀山さん

植物の命を想うということは、同じ命を扱う医師として、人間性の豊かさにもつながると考えています。まだ学生の身ですが、植物を育てることを通して、相手の気持ちを考えたり、患者さんの痛みに敏感になったりできるのではないかと思います。

イチゴのスケッチ
松井先生

人工知能が人間を超える時代が来ると言われていますが、医療の世界は、優しさや思いやり等、まさに人間力が問われる場面が多いはずですね。

──園芸での経験を通し、観察力や人間力が育つのですね。

亀山さん

在学中は、ただ楽しく園芸をやっていただけですが、卒業してから私の人生に園芸での経験が大きく関わっていると感じました。患者さんが辛いときに共感でき、気持ちに寄り添える医師に将来なりたいと思います。

「園芸の恵泉」から生まれるもの

松井先生に恵泉の園芸教育について、詳しくお話をうかがいました。

松井先生

植物とともに、“心を育てる”。恵泉が園芸を行う目的の一つです。創立者である河井道先生が「ひとつの命を育てることを通して、友達と助け合って働き、時には失敗し、人の思いを超えた自然の営みを、体験を通して学ぶこと」を狙いとして始められた園芸の授業。その考えを基盤に、現在も園芸の授業を続けています。

協働性の大切さ

協働性の大切さ

種まきから収穫まですべての作業をグループで行います。生徒同士互いに思いやりを持ちながら作業していかないと植物は育ちません。一緒に汗を流し、収穫という目標に向かって植物の世話をする。この経験を大切にしてほしいと考えています。そのうえで後になってから「命の尊さ」や「感謝する心」に気付いてくれればうれしいですね。

具体的な活動内容としては、中学1年は、イチゴ、ジャガイモから始めてバジル、ワタ、シイタケの他に12種類の草花を育てます。また、イチゴジャムや押し花作りなども行い、作ること、育てることの楽しさを体感します。高校1年は、さらに教材を広げ、花壇設計等、より専門的なカリキュラムで理解を深めます。この学びが設計への関心につながり、建築分野の進路を目指す生徒もいました。また、薬草を研究したくて、薬学部で新薬の研究開発に携わる生徒もいます。

園芸を通して洞察力を身につける

園芸を通して、洞察力を身につける

先に何が起こるかを予測しないと園芸はできません。畑に向かう前にどんな作業をする段階かを考えて、必要な道具を持っていきます。洞察力が身につけば、これから何が必要か、自分で考えて準備することができるようになります。また、収穫量はグループによって異なり、苦労しても思い通りの結果が出せないこともあります。それでも、一生懸命取り組んだ経験は無駄ではないと成長してから気付きます。そして、教師からも教えてもらうことができないものがあることに気がつきます。これは、自分で経験しないと学べないものだからです。園芸を通して、座学ではできない経験をしてほしいと願っています。

園芸を通して植物だけでなく生徒の心も成長する。それが人間性の豊かさにつながる。これこそがまさに「園芸の恵泉」と言われる所以なのです。

生徒が生き生きと輝く!
フォトギャラリー

  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    2年ファームワーク
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    カワヨワークキャンプ
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    シイタケほだ木運び
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    シイタケの発生
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    ミカンの収穫
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    園芸クラブ合宿
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    学園創立時の園芸授業 河井道
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    脱穀した小麦を唐箕を使って風撰
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    綿の収穫
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    ジャガイモ収穫
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    収穫したジャガイモ
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    ジャガイモ持ち帰り
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    4年 花壇設計展示
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    バジル
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    1年生の花壇
  • 恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
    収穫感謝祭
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー
恵泉女学園中学・高等学校フォトギャラリー

編集者から見たポイント

恵泉の園芸教育は生徒の人間性を豊かにし、内面を成長させます。亀山さんは在学中、協力して楽しく植物を育てる経験をしたからこそ、卒業してから命を育てることの尊さや、物事を観察することの大切さに改めて気付き、今の医学部での大学生活に大いに活かしています。「土は人を育てる――じっくりと人間を育てる学び。それが恵泉の園芸です」という松井先生の言葉に、「園芸の恵泉」が教育の柱とされている意味が分かった取材となりました。

注目のイベント日程

プログラム 日時 予約 内容
第1回入試説明会 11月23日(木・祝)
10:30~12:00
14:00~15:30
10月24日(火) 昨年度の入試問題を例にした具体的なアドバイスをいたします。また、ネット出願から入試当日に至るまでの注意事項をお知らせします。
第2回入試説明会 12月12日(火)
10:00~11:30
11月13日(月) 第1回入試説明会と同内容です。
第5回学校説明会 12月16日(土)
10:00~12:00
11月17日(金) 教育理念・学校の特色・入試等についてご説明します。生徒による発表、映像による学校紹介、個別相談、校内自由見学等があります。
クリスマス礼拝・ミニ説明会 12月18日(月)
13:00~14:30
11月19日(日) 在校生(中学生)のクリスマス礼拝をご見学いただきます。終了後、ミニ説明会もございます。

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:恵泉女学園中学・高等学校

トップに戻る