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「世界から必要とされる」若者を育てる 工学院の21世紀型教育

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工学院大学附属中学校は、3つの「ハイブリッドクラス」で先進的かつ独自性ある教育を展開し、「世界から必要とされる 若者」を育成しています。具体的には、どんな授業が行われ、どんな生徒たちがいるのでしょうか。中学教務主任の太田 晃介先生にうかがいました。

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どんな授業が受けられる? 4つの特色をご紹介

インターエデュ(以下、エデュ):貴校で行われている授業の特色を教えてください。

太田先生:本校の授業では、生徒たちに基本の知識をインプットさせ、新しい考えをアウトプットさせることを大切にしています。その方法の一つとして取り入れているのが、PBL(Project Based Learning)です。
PBLの進め方は、教科ごとに異なります。たとえば、わたしが担当する理科では、教科書の内容を覚えさせたうえで課題を与え、グループごとにブレストとアウトプットを繰り返し行わせます。そうして、新しいアイデアを創造させるやり方です。一方、数学では、インプットした知識を生徒同士で教え合ったり、生徒が教員役となって解説したりする方法も行われています。

中学教務主任の太田 晃介先生

インタビュー取材にお答えいただいた中学教務主任の太田 晃介先生。授業では理科を担当されています。

エデュ:ICTはどのように活用されていますか?

太田先生:頻度が多いのは、生徒たちが自分の考えをアウトプットする機会での活用です。ICTを使った動画撮影やプレゼンテーションが積極的に行われています。ICTの活用は、本校においてはすでに普通のことです。とりわけ、中学入学時に配布するiPadは、授業中のほか、教員や学生同士の日常的なコミュニケーション、課題のやり取り、学習履歴の管理などにも使われています。

エデュ:学内には、3Dプリンタやレゴも置いてありますね。

太田先生:本校は、よりよい生活を送るためのイノベーションを起こす、「デザイン思考」の育成を目指しています。これは、現状を把握し、新しいものをつくりだすための仮説・検証を繰り返すことで身につけられるものです。その過程のなかで、3Dプリンタやレゴは、生徒たちが自分の考えを“かたち”として表現することに役立てられています。

iPadは教員や学生同士の日常的なコミュニケーションに活用

エデュ:このほか、貴校独自の取り組みはありますか?

太田先生:「ハイブリッドインターナショナルクラス」では、イマージョン教育を導入し、英語・数学・理科の授業を英語で行います。理科の授業で使用する教科書は、イギリスの中学校で使われている教科書と同じものです。はじめは、こうしたイマージョン授業についていくのが大変だと感じる生徒もいます。しかしながら、彼らも、夏休みに3週間セブ島で行われる英語研修に参加すると一変、自信に満ち溢れて帰ってくるんです。

ハイブリッドインターナショナルクラス

PBL(Project Based Learning)

問題解決型授業と呼ばれることもあるPBLは、具体的な課題を自ら設定し、その解決に向かって取り組む問題解決型学習法です。解なき社会で存分に力を発揮するために、自ら考え、的確な判断を生み出せる力、予測できない急激な変化に立ち向かえる力を養います。高校で取り組む「模擬国連」といったプログラムにも、PBLで養った力が大いに発揮されます。

ICT教育

電子黒板を導入し、ビジュアルイメージを多用することで、わかりやすくて記憶に残る「五感で学ぶ授業」を実現します。もちろん教室にはWi-Fiも完備。中学生は全員iPadを持っており、電子黒板とも連動させながら授業に活用しています。情報検索、映像編集、プレゼンテーションのツールとしてだけでなく、教育用SNSのEdmodoの活用で、自学自習にも役立っています。

デザイン思考

デザイン思考の授業は、「豊かな発想力でアイデアを形にし、発信することができる」「問題解決的な探究のプロセスをたどることにより、思考力を育てる」「情報の検索方法や整理の方法、効果的な活用方法を習得する」「メディア情報リテラシーを育成する」という4つの柱で構成されています。

イマージョン教育

ネイティブ教員と日本人教員によるチームティーチングでオールイングリッシュの授業を展開しています。今年度からCambridge Englishスクールの認定を受け、Cambridgeとの連携を図りながら、ペアワークやグループワークといったアクティブラーニング型の授業で生きた英語を習得します。英語の授業に限らず、理科や数学でも、イマージョン教育が行われています。

三年目を迎えた、3つの「ハイブリッドクラス」

エデュ:2015年度から始動した現在のクラス体制について教えてください。

太田先生:「ハイブリッドインターナショナルクラス」「ハイブリッド特進クラス」「ハイブリッド特進理数クラス」の3クラス体制です。カリキュラムの違いとしては、中学3年次から特色ある授業の時間を設け、「ハイブリッドインターナショナルクラス」は英語、「ハイブリッド特進クラス」は社会、「ハイブリッド特進理数クラス」は理科をそれぞれ行っています。

3つの「ハイブリッドクラス」

ハイブリッドインターナショナルクラス

英語・数学・理科の授業を英語イマージョンで実施し、自然な英語運用能力を育みます。世界で通用する力を育むため、英語力だけでなく自分で問題点を見つけ、解決する能力を身につけていきます。英語力を問わず、教育内容に賛同する生徒を受け入れるため、英語のレベル別に2クラスを設置し、対応します。

ハイブリッド特進クラス

文理を問わず幅広い科目をバランス良く学び、すべての学力をレベルアップしていくことを重視したクラスです。自分自身の興味や特性、将来像をじっくり見極め、多様な進路の可能性をひろげることができます。また、語学習得に特化した海外研修(希望制)に向けて1年次から準備します。

ハイブリッド特進理数クラス

理科が大好き、数学が得意。そんな理数系に特に高い関心を持ち、優れた能力を有する生徒のために開講したク ラスです。数学と理科の授業を豊富に設置していることが特徴です。授業内で実験レポートや科学論文の書き方 など、科学の実験や研究に用いられる知識やスキルについても学びます。

英語の授業がなくなる!? これからの21世紀型教育

エデュ:将来を見据え、「21世紀型教育」を展開される貴校の取り組みで、特筆すべきアピールポイントがありましたら、教えてください。

太田先生:本校では、思考力や創造性を高める授業を実践しています。また、コミュニケーション能力を伸ばすグループ学習や、プレゼンテーションの機会も多いです。 わたしたち教員は、それらの質を担保するための研修を行ったり、教え方を共有したりといったことを何年も積み重ねてきました。
とりわけ、本校の英語の授業は、他校と比べてもかなり先進的です。英語の授業は、 将来的にイマージョンのような教科学習と統合した学習法が主流となり、現在多くの学校で行われているような教え方をしなくなるだろうと予想しています。

エデュ:授業のほかにも、高大連携のメリットなどはありますか?

太田先生:本校に隣接する工学院大学との連携も、大学教員によるプログラミング教室が実施されるなど、今後より一層充実する予定です。海外での研修だけでなく、国 内でも多様な環境に触れることのできる機会が増えていくということですね。

21世紀型教育

チャレンジ精神があれば、自分の世界を広げられる

エデュ:どんなタイプの生徒が多いと思われますか?

太田先生:前向きなチャレンジ精神をもち、勉強や部活、研修などに積極的に参加しようと思う生徒が多く、本校で力を伸ばしていると思います。一生懸命やる気がある子だったら、入学後、自分の世界を大きくひろげられるのではないでしょうか。

エデュ:実際の成長ぶりはいかがですか?

太田先生:自分で考え、行動する生徒が増えています。勉強だけでなく、課外活動にも集中して取り組めるよう、自ら効率的にICTを使いこなすなどしています。また、そういう生徒たちの努力を支えられるよう、学校側が行っているのは学習面の補習です。英語の発音が苦手な生徒には、発音することを楽しめるような指導を行ったり、得意科目がある生徒には、その力をさらに伸ばせるような工夫をしたりしています。生徒の成長した姿に、ぜひとも注目していただきたいですね。

チャレンジ精神があれば、自分の世界を広げられる

ラーニングコモンズ八王子

敷地が隣接している工学院大学八王子キャンパスの再開発プロジェクトの締めくくりとして、中高生も2階と4階を利用できる「ラーニングコモンズ八王子(新2号館)」が誕生しました。校舎建設では類を見ない試みとして、学生の視点に立った斬新なアイディアが随所に取り入れられています。

2階は「情報収集ラウンジ」として、すべて可動式の家具を生徒が自由にレイアウトすることで、アクティブな学びを実現します。デッキフロアからバスロータリーまで直結したことで、今までバスを待つために並んでいた時間を短縮できるほか、時間を有効活用できるようになりました。

4階は「学習スペース/図書館」として、朝のホームルーム前や放課後の時間に、集中して自習に取り組める空間として利用されています。デジタルアーカイブが充実している図書館ですが、キーワード別に並べられた書架の内容も充実。生徒たちの興味・関心を引き出す工夫が施されています。

中学校イベントカレンダー

7月1日(土) 10:00~ 第1回学校説明会
(思考力セミナー・体験学習)
7月15日(土) 10:00~ 南大沢 中高進学相談会
7月23日(日)
10:00~(新宿)・14:00~(八王子)
帰国生対象説明会

高等学校イベントカレンダー

7月15日(土) 10:00~ 南大沢 中高進学相談会
7月22日(土) 10:00~ 新ハイブリッドコース発表会
(中3生限定)
7月23日(日)
10:00~(新宿)・14:00~(八王子)
帰国生対象説明会
7月29日(土) 10:00~ 学校見学会・第1回体験学習・
体験入部・思考力セミナー

編集者から見たポイント

最後に、「生徒たちには、現実社会で使える知識・技術を身につけさせたい。将来、社会の状況が変わっても、それに応じて発揮できる能力を。」と語ってくださった太田先生。その目は、冷静に世の中を見極め、真剣に生徒の未来を見つめていました。こうした先生方の情熱が、先進的かつ独自性ある教育を生み出しているのですね。ぜひ、皆さまも学校へ訪れ、その情熱を感じてみてください。

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:工学院大学附属中学校・高等学校