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inter-edu’s eye
都内屈指の進学校として知られる駒場東邦中学校・高等学校(以下、駒東)。勉学に励む生徒をイメージする人が多いかもしれません。しかし、本当の駒東生は身体でぶつかって、心で語り合う熱い男たちでした。駒東を目指す人にはぜひ知ってもらいたい。本当の姿を見られる駒東のディープな体育祭を紹介します。
駒東の体育祭は、1958年に始まった伝統ある行事です。
学年・クラスに関係なく、全校生徒を白・赤・黄・青の4色に分け、優勝を競います。入学後に与えられた色は6年間変わることなく、卒業後も自身の色に対する想いはいつまでも続きます。
最上級生である高3が同じ色の全学年を指導するのが伝統です。競技指導や期間中の生活指導など細部まで面倒を見ます。その中で上級生の想いが下級生に受け継がれていきます。高3の中でも、各色の象徴となる存在―それが4役と言われる役職です。(団長・副団長・応援団長・応援副団長)
4役を中心に主任・学年担当など、同じ高3の中で組織が作られ、下級生をまとめていきます。また当日、高3は所属している色と同じ色に髪の毛を染める慣わしも。
駒東の体育祭競技は頭を使う競技ばかり。頭脳戦も見所の1つです。しかし、何よりも重要なのは色一丸となった優勝にかける想い。率いる高3の精神力や人間性が勝利につながるといいます。全力を出し切る、駒東で最も熱い1日。言葉以上の感動が生まれるのが駒東の体育祭です。
髪色が戻り、いつもの学校生活に戻った団長たち。
改めて今年の体育祭について聞きました。
28年ぶり、白組優勝
──体育祭、お疲れさまでした。今年は28年ぶりに白組が優勝ということでしたが。
団長が振り返る6年間
──各色で多くの苦難があったかと思いますが、これまでの6年間はいかがでしたか。
中1のときはとにかく衝撃でしたね。先輩方が厳しくて、背も大きいし、恐怖しかなかったかも…。
小学校の運動会のイメージでいたら大間違いだったよね…。でも、最後のリレーで先輩方が泣きながら団長を胴上げしている姿を見て、体育祭の素晴らしさや重要性に気づかされました。その頃からですね、4役に憧れを持ったのは。
──団長を目指したのはいつ頃からですか。
中3のときです。当時の団長から声をかけられてリレーに出ることになったのですが、速く走れるか自信を失っていたときに団長が「あとは俺が何とかするから」と言ってくださって楽になれたんです。先輩の背中の大きさに憧れ、そういう存在になりたいと思いました。
僕は決定的なことがあったわけではないのですが、同じ学年の同じ色の人たちと5年間やってきて、みんなと心からの情熱を共有したいと思っていました。高3となって下級生を引っ張っていくのにあたり、その環境作りをする団長が適役だと思い、団長になりました。
──団長になって苦労したことや初めて分かったことはありますか。
体育祭の変化は団長になって改めて感じるところでしたね。体育祭では後輩を厳しく指導する伝統がありますが、後輩の考えも変わってきていて、一概に厳しい指導をするのでは響かないと実感しました。なので、ただ厳しく指導するのではなく、後輩と同じ目線で話すようにしました。上手く運営できたと思いますし、実際に直接指導する主任たちも満足していたと思います。
駒東の体育祭にとってルールは「基本」で、技術云々より、自分たちがやりたいことをやるためにはルールを守る必要があります。体育祭の価値を残していくためには全員がルールを守らなくてはいけない。4役は長い時間をかけて、どういう体育祭にしたいのか話し合い今年のルールを決めました。体育祭の価値を団長として下級生に伝えるとき、自分の言葉で何をどう伝えていくのかという重要性を感じましたね。伝えていく言葉次第で、体育祭の価値や組の存在、後輩が送っていく駒東生活にも影響が出てくるのだと。行事の価値を残していくことは団長にならないと分からなかったと思います。
集団ですから、みんな体育祭に熱中しているわけではありません。100人いたら100人を引っ張る難しさと大変さに気づきました。でも何かしら関わりを持てるように工夫して、一丸となって体育祭を過ごせた喜びは大きかったです。
岩本くん
色対抗混合リレー(中高選抜)
団長がアンカーを務めるのですが、「リレーの青」と言ってもいいぐらい伝統的にリレーが強いので、1位でゴールしなくてはというプレッシャーの中勝ててよかったです。
山内くん
輪抜け競争(中1)
戦略が大事なのでかなり考えました。競技が好きすぎて、団長なのに中1の列に混ざって練習に参加したこともありました。
鈴木くん
東邦連峰(高校全員)
自分は登る人ではなかったのですが、自分の上を登る人と応援を見てつながりを感じました。高2のときは失格になって負けてしまったので、今年は1位&歴代最速になれてよかったです。
福田くん
騎馬戦(中学校全員)
騎馬が動くので個の力も重要になる競技です。勝ったとき、応援が盛り上がるようすを今でも覚えています。
団長という経験
──体育祭で成長したと感じることは何でしょうか。また、この経験を活かしてどのような人になりたいですか。
自分からアクションを起こすということですね。どうすべきかを考え、行動できるようになったのは大きな成長です。これからは目標に向かって何をすべきかを考えてから実行していける人間になりたいです。
人のために尽力すること、全力でやることは素晴らしいと実感しました。これからもそういう人生を歩みたいです。
団長として言葉で伝えていく、示していく経験をして、自分の思いを言葉で伝える大切さを学びました。今後は自分のスタイルを常に持って、ブレないで、人に伝わる表現を磨いていきたいです。
団長は360人のトップ。大きな集団を引っ張っていくことの大変さと重要性を知りました。団長は自分の人間性をみんなに信頼してもらわないとついてきてもらえません。この経験を活かしてリーダーシップが取れる人になりたいです。
編集者から見たポイント
駒東の体育祭にはルールという基本と、それを守る生徒主体の「審判団」がいます。もちろん審判団の生徒もどれかの色に属し、自分の色の勝利を願っています。競って熱くなる中、「審判に対するリスペクトを忘れちゃいけない」と団長たちは語ります。人を率いること、規則を守ること、相手に敬意を払うことー駒東の伝統ある体育祭だからこそ学べる大事なことがあると感じるインタビューでした。
プログラム | 日程 | 詳細 |
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東京都私立学校展・進学相談会 | 8月18日(土)・8月19日(日) 10:00~16:00 |
東京国際フォーラム 地下2階ホールE (入場無料・予約不要) |
第1回 学校説明会 | 10月13日(土) | 校内開催 詳細は学校公式サイトにて発表(要予約) |
第2回 学校説明会 | 10月14日(日) | 校内開催 詳細は学校公式サイトにて発表(要予約) |
第3回 学校説明会 | 10月21日(日) | 校内開催 詳細は学校公式サイトにて発表(要予約) |
暗黒時代なんて言われて…毎回あと一歩で優勝を逃してばかりでした。団長になる前、5年間お世話になった先輩方から「来年は頼んだぞ」という言葉をいただき、自分の代で勝ってやろう! と思っていました。優勝できてとても嬉しいです。