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体育祭に息づく60年以上の伝統 コロナ禍でも変わらない駒東生の魂

inter-edu’s eye

東京都内屈指の進学校として知られている駒場東邦中学校・高等学校(以下、駒東)。何事にも全力で取り組む駒東の生徒たち。そして特にそのエネルギーがあふれ出すのが、先輩から後輩へ伝統が受け継がれる体育祭です。今回は、例年とは全く違う状況の中、知恵を絞り開催を成功させ、強い思いを出し切った生徒たちにインタビュー。駒東生の魂に迫りました。

赤・青・黄・白…体育祭のチーム分けは6年間のアイデンティティー

駒東の体育祭のユニークな点はまず所属チームが6年間変わらないこと。生徒たちは入学時に「赤・青・黄・白」の各組へと分けられ、卒業まで体育祭の思い出を積み重ねていきます。OBが駒東を訪問すると、在校生から名前と体育祭の組を聞くことがならわしです。つまり、体育祭は駒東生のアイデンティティーを形作る行事なのです。

リレー競技の様子
応援団

開催当日、髪を所属チームの色に染め上げ、6年間の思いの丈を競技と応援にぶつける高校3年生。その中でも、各組の団長・副団長・応援団長・応援副団長は「四役」と呼ばれるリーダーで、羽織る法被には前任者たちの名前が刺繍されています。1958年に始まって以来の伝統を生徒たちが受け継ぐ…こうして駒東ならではの熱が一人ひとりの中に息づいていきます。勝ったチームにも、負けたチームにも涙を流す生徒は珍しくありません。

コロナ禍でも「最大限のパフォーマンス」 開催の喜びを分かち合う”

他校ではありえない盛り上がりを見せる駒東の体育祭。戦いを終えた各組の団長に感想をうかがうと、異例ずくめの2021年を乗り越えた駒東生の力強さが感じられました。

青組 大国くん
青組 大国くん
黄組 仁科くん
黄組 仁科くん
白組 今給黎くん
白組 今給黎くん
赤組 白石くん
赤組 白石くん

体育祭の感想を教えてください。

大国くん

青組が優勝できて、本当に嬉しいです。今年は密を避けるために、練習時間も限られていた面はあったのですが、後輩たちが素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。昨年は開催中止となったので、先輩の姿を間近で見て、手本にすることはできず、不安もありました。ですが、青組の歴代団長が残してきた体育祭の記録のおかげで乗り越えられました。

青組の応援団

仁科くん

黄組は惜しくも2位でした。そこはとても悔しいです。でも、コロナ禍でもとにかく開催できて、しかも「いつもよりつまらなかった」という生徒もいなかったので、できることは最大限できたと思っています。

例年の体育祭とは違った点を教えてください。

今給黎くん

大勢で参加する競技は取りやめになったり、規模を縮小して実施したりしました。そのため、勝つための作戦も一から組み立てて挑みました。いつもより、力や体格で勝敗が決まらない頭脳戦の面が強くなった大会だと思います。

白石くん

練習中に後輩に大声で喝を入れるときもビニールの仕切りがあったので、いつもより先輩と後輩のコミュニケーションが濃くなかったかもしれません。だけど、大きなケガをする生徒が出なかったので、「しっかり緊張感を持ってほしい」という気持ちは伝わったんだと思います。でも、何よりも、各チームが敵対するだけでなく、生徒全体で開催に向けて一丸となったことが大きかったです。いつもとは違ったよろこび合う空気がありました。

後輩に喝を入れる団長

生徒オリジナルも!? ユニークな競技種目

この橋渡るべからず

この橋渡るべからず

今給黎くん

走者がバットの柄の先端を額にあてて、反対側を地面につけた状態で目が回るまで回転する「ぐるぐるバット」をやってから平均台を渡るという競技です。逆転が起こりやすくて盛り上がります。

大井川渡し

大井川渡し

白石くん

タンカに人を乗せてトラックレースをする競技なのですが、ルールが厳密なため、失格にならないかハラハラします。

棒引き

棒引き

大国くん

12本の棒を多く自陣に引き入れたほうが勝ちというルールの競技で、ただ力を使うだけでなく、自分がどの棒を引きあうのに加勢すれば得点できるかを考えるところが面白いです。

色混

色混

仁科くん

体育祭の最後の競技で、各学年で1番足が速い人を選抜して、アンカーは四役のうち1人が務めるリレーです。黄組にはすごく足の速い生徒がいて、僕はずっと彼に勝てなかったので出走者として選ばれなかったのですが、今回は団長として出場できました。結果は1位でした。ゴールテープを自分で切られて、本当に感激しました。

最初は「高校3年生が怖い!」次第に、受け継がれるリーダーシップ

かなり独特な駒東の体育祭。団長を務めた皆さんも中学1年生のときは戸惑ったそうです。学校の文化の素晴らしさに気づき、団長として活躍するようになった経緯と合わせてお話をうかがいました。

中学1年生のとき、駒東の体育祭をどう思いましたか。

仁科くん

中学1年生の自分にとってはちょっとショッキングなものでしたね。開催前の準備期間に「体育祭に向けた色別集会をやる」とだけ聞いて、教室で待機していたら、高校3年生の先輩が急にたくさんやってきて、気合を入れる集会へと連れられていくんです。「怖い!」と思いましたが、練習を重ねていくうちにどんどん先輩との距離が縮まって、競技も応援もすごく充実した気持ちでできました。

今給黎くん

中学1年生から見た高校3年生はとても大きい存在で最初は怖かったのですが、僅差で優勝を逃して一緒に悔しい思いをしたときに「先輩は本気で向き合ってくれていたんだ」と実感できましたね。中学2年生のときに、先輩が後輩に体育祭のハチマキを託すイベントがあって、そこで「お前なら白組を幸せにできそうだ」と言われたことが団長になったきっかけです。

団長を務める上で大変なことを教えてください。

大国くん

団長は各組360人を束ねていく存在なので、普段の生活についても先生から団長にふさわしい言動ができているかを見られます。体育祭のときだけ頑張るのではなくて、たくさんの生徒のうえに立つ自覚を持たなくてはなりません。

白石くん

体育祭にどんな姿勢で挑んでほしいかといったチーム全体に対するメッセージを投げかけていくのはかなり大きな仕事でした。全体の盛り上げ方で生徒の空気が大きく変わるからです。僕は今まで体育祭を楽しむ立場でしたが、今回は自分から働きかけるように気持ちを入れ替えました。

体育祭で身についた「3F精神」とは

最後に6年間を通して体育祭でどのように成長することができたかを振り返ってもらいました。

今給黎くん

もともとは人前に出るタイプじゃなかったのですが、先輩から認めてもらった経験があって、団長になることができました。後輩に体育祭の熱を伝えることができたと思います。

大国くん

「駒東の3F精神」である「Friendship」「Fair play」「Fighting spirit」が学べました。
体育祭で得たことが今後、大学生活、社会人生活を送るうえで、自分の軸になるでしょう。

仁科くん

団長というとても大きな存在になったことで、後輩をどう指導していくかを真剣に考えました。
人に歩み寄っていく大切さが身に染みて分かったと思います。

白石くん

体育祭を通して、「今、自分がやりたいこと」を突き詰めていく素晴らしさを知りました。
最後まで全力を尽くせたことが自分にとって大きな自信になりました。

編集者から見たポイント

コロナ禍で体育祭の形が変わっても、駒東の熱さは何も変わりません。きっと、6年間同じチームで戦い抜く経験はこれからもたくさんの生徒に力を与えていくことでしょう。受験生の皆さんも駒東にご入学されたら全力で体育祭を楽しんでください。

イベント日程

文化祭
2021年11月6日(土)、7日(日)
学校説明会
2021年10月17日(日)・23日(土)・24日(日)
*10月24日(日) 12:00~の説明会の様子をライブ配信する予定です。

事前に予約が必要なものございます。
詳しくは入試情報ページをご覧ください。

校舎の前に立つ4人

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:駒場東邦中学校・高等学校