掲載日:

霧ヶ峰

霧ヶ峰の大自然で科学的思考の第一歩 どこよりもアウトドアな駒東の夏

inter-edu’s eye

約2,000mの山を登り、希少な植物を観察する……駒場東邦中学校・高等学校(以下、駒東)には、大自然の中で生徒たちが成長を遂げるイベントがあります。それが中学1年生1学期の「霧ヶ峰林間学校」。机の上にはない学びを通して、科学的思考の基礎が身につく機会となっています。今回は、生徒のインタビューを当日のエネルギッシュな姿とともにお届けします!

霧ヶ峰林間学校とは

長野県中部に広がる高原「霧ヶ峰」は多様な生物の宝庫。八ヶ岳中信高原国定公園に指定されており、標高1,925mの車山がそびえ立つ、目が覚めるような絶景が待っています。駒東のイベントは中学1年生全体を2組に分け、それぞれが2泊3日の日程で実施。初日は八島ヶ原湿原を訪れ、2日目は前述の車山登山、3日目はふもとの下諏訪町散策という内容です。非日常的な世界で生徒たちは何を体験してきたのでしょうか。さっそくうかがいましょう。

味水くん
味水遥毅(みすい はるき)くん
地学部・技術工作研究会
木村くん
木村絢人(きむら けんと)くん
写真部・アーチェリー部
水谷くん
水谷駿斗(みずたに はやと)くん
写真部・地学部
森田くん
森田遼海(もりた りょうみ)くん
クイズ研究会
希少な植物

霧ヶ峰林間学校で思い出に残っていることを教えてください。

味水くん
味水くん

都会とは真逆の自然環境で、希少な植物がたくさん生い茂っていました。生徒4〜5人のグループごとに自分で行程を組み立てるのは大変でしたが、面白かったです。

木村くん
木村くん

生徒一人ひとり体力が違うので、山登りのときに仲間のことを気遣いながら行動する大切さを学べました。

山登り
水谷くん
水谷くん

山登りでは友達同士の距離が縮まりました。先に山頂に着いた人が引き返してきて、僕の荷物を持ってくれたんです。

森田くん
森田くん

集団生活をすると友達の意外な一面に気づけますよね。僕は植物に関して知識はあるけれど、興味はあんまりという感じだったのですが、観察するなかで素直に美しいと思えたことが新鮮でした。

観察のヒントとなる「観察手帳」は学校独自の教材

駒東の霧ヶ峰林間学校では生徒の助けとなるアイテムが用意されています。それが緑の表紙の「観察手帳」。珍しい高山植物の特徴を図で示し、生徒が種類を特定できるヒントとなります。また、夜には学習会を実施。生徒たちは「茂みの中から探している植物が浮かんで見えてくるようになる」ということです。

自然の神秘に迫りSDGsも身近に 生徒の心に残るものは

観察の様子

植物の観察を通して、感じたことを教えてください。

味水くん
味水くん

絶滅が危惧されている植物を目の当たりにできてすごく感動しました。いつも見ている植物と違って構造も複雑で、色合いもユニークなものが多かったです。

水谷くん
水谷くん

鹿の食害から植物を守るために柵で囲まれているエリアもあって、自然保護の取り組みを知ることができました。SDGsが少し身近なものになりました。

森田くん
森田くん

コオニユリという植物に圧倒的な存在感がありました。丈の低い草むらに自分の身長よりも高い植物が生えているんです。匂いや感触を植物園よりもハッキリと感じることもできました。

観察記録

今回のイベントで分かった観察のコツを教えてください。

味水くん
味水くん

スケッチを重ねるうちに、観察する対象を平面的でなく、立体的に見ることができるようになりました。また、植物の種類ごとの細かい違いにも気づけるようになりました。

木村くん
木村くん

花の形が同じように見えても、葉の生え方が少し異なるだけで、違う種類に分けられるということが結構あるんです。

水谷くん
水谷くん

そうした細かいポイントを自然の中で観察するのは大変でした。足場を確保して、周りの生き物を刺激しないようにして……。強く生きている植物からは元気をもらえた気がします。こんなに自然の神秘を感じた経験は今までありませんでした。

中学1年生でも本格的な研究に挑む!

山歩きをしながらの植物観察とともに、生徒は霧ヶ峰でしか体験できない選択制のテーマ研究に挑みます。「草原の植物」「地衣類」「森の構造」「車山の気候」「川・湖の水質」から何を選び、どんな気づきを得たのかをうかがいました。

変形した樹木から
気象を読み解く
(味水くん・木村くん)

変形した樹木から気象を読み解く

味水くん

霧ヶ峰の主峰「車山」の気温・気圧・湿度をふもと・中腹・山頂のそれぞれで測定するとともに風向きについても考察しました。

木村くん

樹木には風が吹いてくる方向には枝が伸びないという性質があることを根拠に「西と南から主に風が吹いてくる」という発見をしました。気象の記録とも合致していました。

湖は意外と濁っている!?
肉眼では気づけない
水質を調査(水谷くん)

湖は意外と濁っている!?肉眼では気づけない水質を調査

水谷くん

僕が選んだ研究テーマは水質調査です。現地の観音沢という渓流や諏訪湖などで実施しました。薬品を使って、水の濁り具合を分かるようにすると、肉眼では同じように見える水でも大きな違いがあることに気づけました。意外と諏訪湖の水が濁っていて驚きました。

5m定規で木を
測定する「毎木調査」に
挑戦(森田くん)

5m定規で木を測定する「毎木調査」に挑戦

森田くん

僕は2人のペアでカラマツだけを植樹した人口森林で木の太さ・高さを測り、数値の比例関係を調べました。太さはメジャーで、高さは5mの定規で測ります。調査の手法は木を1本ずつ調べていく「毎木調査」というもので効率良くテキパキと動くのは大変でした。

中学1年生で踏み出す「自ら考える人への大きな一歩」

大自然の中でしかできない体験を味わった生徒たち。そこから何を学ぶのかを先生にお聞きしました。

霧ヶ峰林間学校を経験した生徒はどのような変化を見せますか。

山﨑先生
山﨑登志子(やまざき としこ)先生
担当教科:理科・生物
山﨑先生
山﨑先生

入学したばかりの中学1年生に「今年は植物を中心に学習します」というと「えー! 植物?」という反応が返ってきます。もともと興味があまりない生徒が多いようですが、実際に霧ヶ峰を訪れると感動の表情を見せてくれます。最初は植物全体ではなく花だけをスケッチしているので、種類を特定できないのですが、現地での観察や学習会を通して、正しいスケッチのしかたや検索方法を学んでいました。植物そのものをしっかりと捉え、さらには周囲の環境にまで目を向けることができるようになっていました。

霧ヶ峰林間学校は今後の駒東の学びにどう活かされますか。

山﨑先生
山﨑先生

中学2年生の鎌倉散策、中学3年生の研究旅行でも調査・研究に取り組み、その成果をレポートや論文にまとめます。駒東ではこうした考える力を磨くイベントが続きますが、中学1年生の最初の一歩が霧ヶ峰林間学校というわけです。ぜひ、中学受験生の皆さんにも駒東で本物に触れて、深く学ぶ体験を重ねてもらいたいです!

霧ヶ峰林間学校PHOTO LIBRARY

  • 林間学校01
  • 林間学校02
  • 林間学校03
  • 林間学校04
  • 林間学校05
  • 林間学校06
  • 林間学校07
  • 林間学校08
  • 林間学校09
  • 林間学校10
  • 林間学校11
  • 林間学校12
  • 林間学校13
  • 林間学校14
  • 林間学校15
  • 林間学校16
  • 林間学校17
  • 林間学校18
  • 林間学校01
  • 林間学校02
  • 林間学校03
  • 林間学校04
  • 林間学校05
  • 林間学校06
  • 林間学校07
  • 林間学校08
  • 林間学校09
  • 林間学校10
  • 林間学校11
  • 林間学校12
  • 林間学校13
  • 林間学校14
  • 林間学校15
  • 林間学校16
  • 林間学校17
  • 林間学校18

学校説明会 ※要予約

2022年1016(日)・22(土)・23(日)

※それぞれ午前1回、午後2回の計9回となります。
※各回の時間は以下の通りとなります。
・1回目 9:30~11:30(受付開始:9:00)
・2回目 12:00~14:00(受付開始:11:30)
・3回目 14:10~16:10(受付開始:13:40)
*10月23日(日) 12:00~の説明会の様子をライブ配信する予定です。

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:駒場東邦中学校・高等学校