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inter-edu’s eye
国学院大学久我山中学高等学校(以下、久我山)の名物行事ともいえる「自然体験教室」。長野県伊那市の自然の中でのさまざまな体験を通し、人間的な成長をうながす宿泊行事です。入学してまだ日の浅い中学1年生にとって、この行事を経なければ真の久我山生にはなれないといっても過言ではない大事な4日間です。エデュ編集部が男子部の2日目に飛び入り参加して、生徒たちがいかにして成長していくのかを、現地で確かめてきました。
入学して2か月も経たない生徒たち。クラスには仲のよい友達はいるものの、学年全体となると知らない顔があってもおかしくはありません。そんな中、始まった3泊4日の自然体験教室では、各々が役割を持ち、その責任を果たしていくうちに規律の大切さを理解し、同時に助け合い、協力・共働する気持ちを育みます。
自然を楽しみ、集団生活の基礎を築く
「大自然の中で規律ある集団生活をしながら、自立、礼儀、協調などのよりよい習慣を身につけ、互いの友情を深め、生徒と先生の親睦を深める。これを社会共同生活の基礎としてのよい体験にする」―この行事の意義こそが、久我山の教育そのものといえるでしょう。
卒業生たちが社会に出て改めて実感するという、久我山で身につけた「当たり前のことが当たり前にできること」は、この中学1年生の自然体験教室から培われていくのです。
1日目はハイキングや自由散策、2日目はハンドクラフトやオリエンテーリング、3日目は往復4時間の千代田湖ハイキング、または往復7時間の守屋山登山にチャレンジする生徒もいました。そして、3日目の夜には全員でキャンドルレクリエーションを行いました。
一人ひとりが役割を持ち、大小のアクシデントも生徒たちが協力し合って乗り越えながら迎えた宿泊最後の夜、達成感に包まれながら盛りあがったのは言うまでもありません。そして、エデュ編集部の目には、出発時より確実に、学年全体に一体感が生まれているように映りました。
ハンドクラフト
こけしの絵付けや、デコレーションキャンドル作り、土笛作り、籐細工、草木染めなど。指導員の方に手順を教わり、生徒たちは互いに協力しながら作品を作り上げました。こういった工芸品を作るのは初めてという生徒が多い中、早く作り終わった生徒が作業の進んでいない生徒を手伝ってあげるなど、随所に助け合う光景があったのが印象的でした。苦心して作った作品はもちろんですが、作業を通しての友達とのやり取りや会話も、生徒にとってはいい思い出になったのではないでしょうか。
オリエンテーリング
約8名で1つの班となり、登山道やハイキングコースを辿りました。限られた時間の中で班全員がそろってゴールする間に、できるだけ多くのポスト(通過点)を効率よく回ることが課題として求められます。そのためにスタート前の10分間の作戦タイムで、班ごとに進むルートを考えます。感心したのは、中学1年生同士だと体格差、体力差が大きいものですが、遅れる生徒に班のみんなが声をかけて励ましていたこと。そうやって全員で協力してゴールをすれば達成感もひとしおで、宿舎に戻ってきた生徒たちはみんな、満足げな明るい表情をしていました。
フォトギャラリー
自然体験教室で、体験学習をする生徒たちの写真をご覧ください。
係の仕事がちゃんとできるか、班できちんと行動できるか、そんな不安はありつつも、楽しみにしていた自然体験教室。親元を離れ、スマホもゲームもテレビもない4日間を生徒はどのように過ごしたのでしょうか。
自然体験教室は係の仕事などについての話し合いが多いので、今まであんまり話していなかった人ともたくさん話して仲良くなりました。それから困っているとき、大変なときはみんなで助け合ったので、団結力が強まった気がします。
一番楽しみにしていたのはハンドクラフトでした。早くできたので、クラスが違う子にも声をかけて手伝ってあげました。今までは話したことがなかったけれど、ハンドクラフトがきっかけで友達になれてよかったです。いいアイデアが思い浮かぶ人や、丁寧できれいに仕上げられる人など、いろいろなタイプがいるんだなと思いました。
オリエンテーリングのときは最初に時間配分やコースを決めました。初めてじっくり話した人もいたけど、話してみると気が合ったのでそういうこともあるんだなと思いました。結果は作戦勝ち! 協力の成果が実ってうれしかったです。
自分の身のまわりのことは全て自分で行う、という生活が3泊4日続き、いつもどれだけ家族に支えられているか、どれだけ家族がたくさんのことを負担してくれているかを思い知りました。そばでずっと支えてくれている家族に感謝の気持ちでいっぱいです。
学年主任で、自然体験教室の全体指導もご担当された関根明博先生に、今回の行事の目的や生徒たちに期待する成果についてお聞きしました。
数多くの経験から、感謝と思いやりの心を
育んでほしいですね。(学年主任 関根明博先生)
中学1年生にとって、入学後、最初の大きな宿泊行事となりますが、その目的は集団生活を通して規律を身につけることであり、彼らの自立への第一歩にしたいと考えています。
朝、布団をひとりで畳むといった、家庭ではせずに済んでいることでも、必要なときはきちんとできるようになる。起床から次の朝起きるまでの24時間を通して、自分のことは自分でしっかりできるようにうながします。
また、普段は都会に住んでいる生徒たちが、自然の中でのハイキングや登山をすることによって、自然と人間の共存を実感し、そのためにも自然を守っていくことがどれだけ大切であるかということを理解してもらいたいと思っています。たとえば、登山道を外れ、わき道に逸れることが自然破壊というマナー違反につながるといったことなど、現地でなければイメージしづらいことを、実地体験できるよい機会なのです。そして、共存することを知ったら、次は友達との共働について考えるのも自然体験教室の大切な要素です。3泊4日、共同生活をするためには、一定の規律の中で、それぞれが役割を持ち、共働することが必要となってきます。
今回は、友達がみんなのために働いている間、ふざけていた生徒たちに「それが共働する態度なのか?」と投げかけることもありました。正直に言うと、まだ中学1年生ですから宿泊行事というだけで楽しくなってしまうのもわかります。しかしながら、自分の身の回りのことが終わったらそれでいいということではなく、作業が苦手な友達、時間がかかる友達を助け、協力して何かを達成するということも考えて欲しいです。その連帯感をこの行事で経験し、友情と信頼を深めてもらいたいと思います。
また、この行事に参加している教師はほとんどが担任として学年を持ち上がるので、自然体験教室が中学2年時の白根山・尾瀬登山、中学3年時の北海道での農作業体験やラフティングなどのアクティビティーへの挑戦に発展しても引率・同行することになります。生徒一人ひとりの性格や個性を把握したうえでの適切な指導ができ、学年を追うごとに彼らの成長を見ることができるのは教師にとってもうれしいですね。
ムービー
編集者から見たポイント
久我山ならではの名物行事に参加しましたが、とりわけエネルギーにあふれた生徒を引率し、昼夜を問わず見守っていた先生方には頭が下がる思いです。
生徒一人ひとりが役割を持ち、互いに協力することで、学年全体の連帯感が生まれていった自然体験教室。生徒は人間的に一回り大きくなり、真の久我山生となって帰路につきました。生徒同士、そして先生と生徒との間で築かれる確かな信頼感が礎となる久我山流の教育。ぜひとも、学校説明会でその奥深さを体験してはいかがでしょうか。
夏休みミニ説明会
8月4日(土)8月11日(土)8月12日(日)8月26日(日)
時間:10:00~11:00
WEB申し込み制です。小学5年生以下も参加可能です。説明会終了後、校内をご案内します(約30分)。
中学校 学校説明会
- 9月8日(土)時間:男子部 14:00~15:30 女子部 10:30~12:00
- 9月29日(土)時間:男子部 10:30~12:00 女子部 14:00~15:30
- 10月13日(土)時間:男子部 9:30~11:00 女子部 10:30~12:00
- 10月27日(土)時間:男子部 14:00~15:30 女子部 10:30~12:00
- 11月17日(土)時間:男子部 10:30~12:00 女子部 14:00~15:30
- 2019年
1月12日(土)時間:男子部 9:30~11:00 女子部 9:30~11:00
WEB申し込み制です。説明会終了後、校内をご案内します(約30分)。