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迫力と熱量で見るものを圧倒 久我山の体育祭

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高い実績を誇る進学校であり、スポーツ強豪校としても名を馳せる国学院大学久我山中学高等学校(以下、久我山)。普段は男女別学ですが、体育祭は合同で行われ、高校体育祭は運動部の各クラブが準備を手伝います。そこで、高校体育祭を支えた生徒と先生にお話をうかがいます。インタビューに参加してくれたのは、生徒会の運動委員会議長のM.O.さん、準備に携わった剣道部員のR.N.くん、そして保健体育科主任の川﨑貴之先生です。

新種目を発案!0から1を生み出したリーダー

まずは、運動委員会議長のM.O.さんにインタビュー。

まずは、運動委員会議長のM.O.さんにインタビュー。

M.O.さん

高校3年生。ST(最難関国公立大を目指すクラス)理系。中学から久我山に入学。中学では陸上部、高校ではバレーボール部に所属。高校から生徒会に参加し、運動委員会議長を務める。久我山の志望理由はスポーツ強豪校で家から近かったから。将来の夢はスポーツや人体に関わる職に就き、海外で活躍すること。

Q.

運動委員会議長を志望した理由は何ですか。

M.O.さん
M.O.さん

中学生のとき仲の良かった友達が生徒会に所属していて、自分も学校を支えるメンバーになりたいと思いました。そして、生徒会で何をやりたいかと考えたとき、スポーツが好きなので、みんなのために体育祭をつくりあげたいと思い、運動委員会議長になりました。

Q.

運動委員会議長にはどんな役割があるのですか。

M.O.さん
M.O.さん

メインの仕事は体育祭の運営や進行ですが、久我山には全国大会に出場するクラブがたくさんあって、その壮行会を開催するのも仕事のひとつです。昨年は弓道部や高校サッカー部、高校バスケットボール部、中高ラグビー部の壮行会をしました。

運動委員会議長
Q.

6月に実施された体育祭では議長としてどんなことをしましたか。

M.O.さん
M.O.さん

開会式の挨拶や閉会式での得点発表、各クラスから選出された運動委員への役割分担などです。今回は初の試みとして、生徒会で新種目「ピンポン玉リレー」を発案し、その準備をしました。先生と生徒が協力してピンポン玉を運ぶ競技です。

どうして新種目を追加しようと思ったのですか。
Q.

どうして新種目を追加しようと思ったのですか。

M.O.さん
M.O.さん

長いコロナ禍で思うように行事ができなかったので、「今までにないことをして、みんなを楽しませたい」と思ったからです。また、校内の目安箱に「先生と一緒に楽しみたい」という意見が多く寄せられていたので、それを取り入れて先生と生徒で参加する種目を考えました。

Q.

新種目を実施するにあたりどんな苦労がありましたか。

M.O.さん
M.O.さん

企画書を作成して、目的やルール、人員配置や必要な道具などをまとめて、保健体育科主任の川﨑先生に提出しました。ベースは生徒会のメンバーで考えて、運動委員のみんなにも声をかけて、なるべく多くの人の意見に耳を傾けるようにしました。本来であれば1年前から準備すべきことを2か月前に提案したので、短期間にやることがたくさんあって大変で。川﨑先生には毎日のように相談して、とてもお世話になりました。先生は私たちを信頼して全部任せてくださいましたが、相談すると「これは違うんじゃないか」とアドバイスをくれて、見守ってくださいました。

Q.

体育祭を通してどんなことを学びましたか。

M.O.さん
M.O.さん

人に頼ることを学びました。これまでは全部自分で抱え込んでいましたが、本当に忙しくて大変だったし、周りのメンバーもサポートしてくれたので、「申し訳ない」と思わないようにして積極的に生徒会メンバーに仕事を依頼しました。ただ、自分が理解していない仕事を丸投げすることがないように、きちんと説明できる状態にして、相手にも納得してもらったうえで仕事を任せるようにしました。

体育祭を通してどんなことを学びましたか。
久我山の体育祭のどんなところが好きですか。
Q.

久我山の体育祭のどんなところが好きですか。

M.O.さん
M.O.さん

高校の体育祭は走る種目が多く、みんなが本気で競い合って熱くなれるところです。そして、出場しない生徒は応援席で一生懸命声援を送って一体感が生まれるところが大好きです。

高校体育祭のイチ押し

M.O.さん
M.O.さん

学年対抗リレーです。クラス対抗リレーの決勝戦として速いチームばかりで競うし、最後の種目なので応援もヒートアップします。

学年対抗リレー

一人ひとりが役割を担って一大イベントが成功

続いて、体育祭の責任者として生徒をサポートした保健体育科主任の川﨑貴之先生にお話をうかがいます。

川﨑貴之先生

川﨑貴之先生

剣道部顧問。小学生のころから剣道を始め、現在六段。

Q.

今年度の体育祭はどのように行われましたか。

川﨑先生
川﨑先生

体育祭の競技数をコロナ禍前と同じように戻したのと、生徒が間隔を空けつつも応援席で並んで座れるようになりました。観覧は高校3年生の保護者の方に限定し、ほかの保護者の方のためにYouTubeでリアルタイム配信をしました。

Q.

生徒会発案による新種目を実施したことは今年度の大きな変化ですね。

川﨑先生
川﨑先生

M.O.さんは運動委員会議長として多数の仕事を抱えていながら、新種目実施のために奮闘しました。0を1にすることは大変な作業で、不安やプレッシャーも伴いますが、その分得ることは非常に大きい。ですから、失敗を恐れずにやってみなさいと背中を押して、新種目の15分間、体育祭のミニバージョンとして生徒会に完全に運営を任せました。

生徒会発案による新種目を実施したことは今年度の大きな変化ですね。
Q.

当日、新種目に参加した先生や生徒の反応はいかがでしたか。

川﨑先生
川﨑先生

教員も生徒もとても楽しんでいましたよ。中学部の教員からは「見応えがあった」という声があがっていました。

Q.

久我山の体育祭では、運動部の部員が準備を手伝うそうですが、彼らの活躍ぶりをどうご覧になりましたか。

川﨑先生
川﨑先生

私が顧問を務める剣道部は体育祭の小道具担当。グラウンドにいるスタッフは結構目立つので、重い物や大きい物を運ぶ生徒はかっこよく見えますが、剣道部は小さいものを扱うので地味なんです。でも組織はそうした下支えあってこそ成立していますよね。いろいろな役割があって1つのものが成り立つことを、体育祭を通して生徒に気づいてもらえたらうれしいです。剣道部新キャプテンのR.N.くんは責任感が強く、1伝えると10理解するタイプなので安心して任せていました。

Q.

先生が感じる久我山のいいところを教えてください。

川﨑先生
川﨑先生

強化部の生徒は全国大会を目指して頑張り、一方で勉強に励む生徒や、勉強と部活動どちらも頑張る生徒もいて、どの場所にも上には上がいるので全員が刺激し合って一流を目指せる環境があります。
行事があれば、教員も生徒も「みんなでいいものを作り上げよう」という気持ちで一生懸命になる。なかでも体育祭は熱いですね。高校には野球部など強化部があり、鍛え上げた猛者がたくさんいるので、競技に迫力があるところも魅力です。

高校体育祭のイチ押し

川﨑先生
川﨑先生

部対抗リレーです。体育祭は学年対抗なので、得点が発生しない競技になりますが、各クラブの部員が仲間を応援するので非常に盛り上がります。今年は予選を勝ち抜いたサッカー部、野球部、ラグビー部、陸上部、バスケットボール部などが競いました。

部対抗リレー
部対抗リレー

裏方の仕事を通して気づいた人の優しさ

最後に、体育祭で小道具を担当した剣道部の新キャプテンR.N.くんに、体育祭の感想や、久我山での学校生活についてうかがいます。

R.N.くん

R.N.くん

高校2年生。ST文系。中学から久我山に入学。小2から剣道を始め、現在二段。久我山を志望した理由は、剣道部が強く、家が近かったから。趣味はジブリ映画を見ること。

Q.

体育祭の感想を教えてください。

R.N.くん
R.N.くん

応援席と競技エリアが近かったので、出場者の熱気を直に感じられて盛り上がりました。新種目のピンポン玉リレーは先生の意外な表情を見ることができて新鮮でしたね。中学の体育祭と比べると、高校にはスポーツ推薦の生徒がいる分、力強さがあります。高校の体育祭は学年対抗で、今年は2年が僅差で3年に勝利したんです。学年対抗リレーでも、2年のスポーツクラスが3年の同クラスに勝利してうれしかったです。

Q.

R.N.くんはどの種目に参加しましたか。

R.N.くん
R.N.くん

久我山ダービーです。仲間を担いで速さを競うのですが、みんなで息を合わせることが難しかったです。

久我山ダービー
障害物競走
Q.

体育祭では小道具担当としてどのような仕事をしましたか。

R.N.くん
R.N.くん

障害物競走のときにパンを吊り下げる棒を持ったり、各種目で使うコーンやビブスを設置・回収したり、用具が過不足ないか確認したりしました。準備したときは揃っていたのに本番で見当たらないというアクシデントが発生しましたが、臨機応変に対応できました。裏方の仕事をすると、普段見逃してしまいがちな人の善意に気づけるようになります。

Q.

小道具がたくさん必要になる競技にはどのようなものがありましたか。

R.N.くん
R.N.くん

複合競技を合わせた種目「ワン・ツー・スリー・フォー!」です。縄跳び用の縄、三人四脚用の結束バンドやバトンが必要になります。剣道部は、部員の距離感が近いので後輩との連携がスムーズにできたかと思います。同じ学年の高2生はキビキビと自主的に動いてくれたので助かりました。

Q.

競り合う種目以外に、見どころはありましたか。

R.N.くん
R.N.くん

高3女子による「久我山音頭」は、女子の先輩が浴衣で踊るのでグラウンドが華やかになりました。

ダンス部によるチアのパフォーマンス
高3女子による久我山音頭
Q.

普段の授業は別学で、体育祭などの行事は合同で行うところが久我山の特徴ですが、別学の環境はいかがですか。

R.N.くん
R.N.くん

異性の目がないので、授業が盛り上がりやすかったりして楽しいです。僕の学年からは探究の授業を合同で行うようになりました。探究では、15くらいの部門があって、生徒は関心のあるテーマを選びます。僕は経営部門に所属していて、経営に関する課題の解決策をグループのメンバーと考えていきます。

Q.

久我山のどんなところが好きですか。

R.N.くん
R.N.くん

在校生の数が多いので、多くの人と関わり、刺激を受けるところです。

Q.

今後の目標を教えてください。

R.N.くん
R.N.くん

剣道部では、みんながついてきてくれるようなキャプテンを目指します。キャプテンのメンタルが弱いと部員の士気も下がってしまうので、弱音を吐かないとか、自分から率先して動くとか、リーダーらしい行動を日々意識しています。勉強面では、国立大進学を目指して高校2年次に優組(一般の成績上位クラス)からSTへ移りました。目指す大学があるので、勉強も頑張ります。

高校体育祭のイチ押し

R.N.くん
R.N.くん

クラス対抗リレーです。みんなの本気度が伝わって見ごたえがあります。

クラス対抗リレー

編集後記

M.O.さんは6月末で運動委員会議長を退任し、後輩がその任務を引き継いでいます。0から1を生み出したM.O.さんの熱意も後輩に受け継がれていることでしょう。今後も久我山の体育祭の盛り上がりが期待できそうです。

企画・編集:インターエデュ・ドットコム

提供・取材協力:国学院大学久我山中学高等学校