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明星 SDGs推進校を宣言!

inter-edu’s eye

2020年度、SDGs推進校を宣言した明星中学校・高等学校(以下、明星)。身近な地域から世界まで、さまざまなフィールドでSDGsの達成に向けた協働プロジェクトを実践していきます。初年度の活動について、高1学年主任の飯島崇史先生と、栗山めぐみ先生にインタビューします。

本科SDGsのこだわり

飯島 崇史先生

高1学年主任で国語科の
飯島崇史先生

栗山 めぐみ先生

高1のクラス担任を務める英語科の
栗山めぐみ先生

Q──SDGs推進校を宣言した今年度、どのようなスタートを切りましたか。

飯島先生生徒会にSDGs委員をつくり、校内からプラスチックゴミを出さないようにする“プラスチックフリー”など、学校全体で取り組む活動を計画しています。そうした活動とは別に、本科やMGS(※)ではそれぞれプロジェクトを進行しており、私や栗山先生が担当しているのは本科のプロジェクトです。
※本科クラス…部活動と両立させながら希望大学を目指すクラス。
※MGSクラス…2016年設立の難関国公立・私立大学を目指すクラス。

インタビューに答える飯島先生

Q──本科の取り組みを教えてください。

飯島先生高1生がフロントランナーとなり、高2までの2年間で地域・日本・世界を舞台に課題を見出し、解決に向けて動きます。我々のSDGsプロジェクトは、座って概要を学ぶのではなく、生徒が考え、動くことにこだわっています。

Q──2年間のスケジュールはどうなるのでしょう。

飯島先生高1の2学期まで地域の課題解決に向けて動き、12月にポスターセッションをして活動の振り返りをします。次は高1の冬から高2にかけて、視野も範囲も広げて新たに課題解決への活動を。そして、高2の12月に行われていたベトナム研修旅行は、行先はそのままにSDGsの研修旅行とし、渡航先で現地の方と協働して課題解決に取り組みます。

生徒の熱意で広がるネットワーク

Q──これまでの活動について聞かせてください。

栗山先生週1回、2時限続きの「総合」の授業を使い、クラス横断で活動しています。生徒一人ひとりが地域における課題を考えて提出し、それを私たちが取りまとめ、「ゴミ」「フードロス」「LGBT」「教育」など、課題をカテゴライズして教室を割り当てました。生徒は、自分と似た課題を抱える仲間が集まる教室で、各々の活動を進めていきます。

飯島先生総合の授業では校外活動を認めているため、生徒は現場に出て調査をしていました。とはいえ舞台が地域ですから、外に出るとしても府中市内だろうと思っていたら、「漂着ゴミの調査をしたい」と男子生徒が鎌倉の由比ヶ浜まで行ってきまして。その報告を受けたときは生徒の行動力に驚かされました。

栗山先生最初は「何をどうすればいいんだろう」と生徒は戸惑っていましたが、企画を練ったり、活動を進めて外部の大人と話したりして、次第に「こんなこともできる!」という声が上がるようになりました。

授業のようす

Q──外部のどのような方と繋がっているのでしょう。

飯島先生さまざまな分野の企業や団体とパートナー契約をしている会社があり、その会社を通して、企業や団体のプロジェクトに参加したり、生徒が新たなプロジェクトを先方に提案したりしています。企業には、クックパッド株式会社や株式会社ラッシュジャパンなどがあります。たとえばフードロスに取り組む生徒は、地元で開催する「お得クッキング」というイベントを考え、企画書を作成してクックパッドに提出。先方のご担当者から「誰に何をどのように伝えるか、そのポイントをもっと絞り込むべき」とアドバイスをいただいていました。

栗山先生自分が高校生だった頃は、企業や大人と関わって何かに取り組むことなんてありませんでした。企業を相手に行動することは心理的なハードルが高く、緊張するはず。ところが、多くの生徒は臆することなく外部の方と交流していて、報告書を見るたび、「こんなに積極性があったなんて」と生徒の新たな一面を発見しています。

「明星生はすごい」外部の大人が評価

企画を考案する生徒たち
生徒が考えたアイデア

飯島先生11月には、府中市の企業や市民活動団体が集まる「府中市民協働まつり」に参加。その催しのメインイベント「あなたの夢みんなで叶えよう2020~一から育てる協働のタネ~」に4名の生徒が各々の課題を基に企画を提案しました。

栗山先生そのうち、地域の活性化を目的とするウォールアート、自転車事故を防ぐハザードマップ作り、高齢者を助ける取り組みの3企画が予選を通過しました。今後は、企業・行政・市民活動団体の方とともに、アイデアをさらに深めていきます。

飯島先生もう1つの「府中駅にストリートピアノを設置し、音楽を通して市民の交流を深める」という企画は、落選したのではなく、企画書を見た方々が実現のために商工会議所に話を通してくださり、イベントとは別のところで動き出しました。このように、生徒の企画によって我々教員が予想していなかったところまで外部との繋がりは広がっていったのです。

栗山先生「あなたの夢~」に参加した生徒たちは、大人も同席する会議でどんどん発言していて。教員みんなが「あの子が!?」と驚くほど普段は大人しい男子生徒も積極的に意見を述べており、現場にいた方々に「明星の子たちはすごいね」とお褒めの言葉をいただきました。

学校をSDGs実践の場に

Q──ほかには、どのような活動が進行していますか。

飯島先生LGBTを意識した制服デザインに取り組む生徒がおり、たまたま教員の間でもLGBTが話題に上がっていたので、「生徒が活動していますよ」と伝えたところ、その生徒と教員たちで本格的に「新しい制服を作ろう」という話になっています。このほか、SDGsの活動報告の場を作ろうと、フリーのWebデザイナーに依頼して、学校サイトの中に生徒主導のページを作ることになりました。こちらは12月公開を目指して進行中です。

栗山先生サイト制作には多くの生徒が関わり、みんな強い関心を持っていて盛り上がっていますよ。

飯島先生もっと学校をSDGsの活動の場とし、大人だけが関わっていた学校の営みに生徒が参加することで、“未来の社会人”の視点が加わり、よりよいものができる。そう確信しています。

既存のプロジェクトが進化

インタビューに答える栗山先生

Q──予想外の展開が生まれるほど、生徒は意欲的に取り組んでいるようですね。

栗山先生フロントランナーとしての役割を十分果たし、それぞれの課題解決に向けて動いているなと感じています。

Q──今後、活動のフィールドを広げていくにあたり、生徒はずっと同じ課題に取り組むのですか。

飯島先生実際に動いてみると、うまくいくこともあれば暗礁に乗り上げることもあります。思っていたことと違うと感じることもあるでしょう。ですから、途中で課題を変えることは認めています。ただし、その場合は変更する理由を書き残すように伝えてあります。過去の活動も、変更するに至った考えも、その後の取り組みに活きるからです。

授業を受ける生徒たち

Q──今後、先生方はどのように活動されますか。

飯島先生ベトナムへの修学旅行をSDGsに絡めた研修旅行に変更したように、本科では既存のプロジェクトにSDGsを絡めていこうと考えています。高大連携では、近年、明星大学デザイン学部の西本教授に本校でデザイン学の講義をしていただいており、生徒に大変好評です。いま、生徒はSDGsの活動で企画書を作成する機会が増えたのですが、我々教師には企画書作成の専門知識がありません。そこで、専門知識のある西本教授から、企画書の書き方やプレゼンの方法を伝授していただくことにしたのです。今後、フィールドを広げて活動していくにあたり、企画書を作成する力を身につけることは非常に役に立つでしょう。

Q──生徒の活動を見守る中で、うれしかったことは何ですか。

栗山先生生徒の企画が学校を飛び出し、外部の大人と繋がり、活動が広がっていくさまを見ることに喜びを感じます。

飯島先生高3生や他学年の生徒が、高1生の活動を見て「いいな。うらやましいな」と言ってくれたことです。また、高1生にとって素晴らしいキャリア教育になっていることですね。生徒は活動を通して、いままで気づかなかった自身の興味・関心に触れています。ある生徒は、「教師になろうと思っていたけれど、自分は子どもと関わることが好きで、教えることが好きなわけではなかった。もっと子どもと関わる活動を模索しようと思った」と語ってくれました。大変うれしく、そして、今後の活動への励みになりました。

編集者から見たポイント

昨年度から試験的にSDGsを学びに取り入れ、今年度、推進校を宣言した明星。本科の活動を聞くだけでも、生徒や学校にとって有益な取り組みになっていることが伝わりました。学校サイトの活動報告ページ公開により、SDGsの取り組みは、さらに熱を帯びていくことでしょう。

イベント情報

第8回中学校説明会

2021年1月9日

第9回高等学校説明会

2021年1月10日

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:明星中学校・高等学校