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伝統校として名高い白百合学園中学高等学校(以下、白百合)では、全中学生がクラブ活動に参加し、高校でも8割近くの生徒が活動を続けています。そんななか、2019年春には、生徒の発案により英語で競技ディベートを行う団体が誕生。部活とはまた異なる形態のこの団体は、メンバーを増やしながら活動の幅を広げ、わずか1年で全国大会出場を果たすまでになりました。そこで今回は、立ち上げの経緯や活動内容を中心メンバーにうかがいます。
2~4名で1チームをつくり、制限時間内に肯定側・否定側の立場に分かれた2チームが何往復かの論戦をし、勝敗を決める競技。論戦の前には、論題について調べ、主張する論の構成を考える準備時間が両チームに与えられます。基本的にはチームが交互に発言しますが、ルール上、対戦側の発言を遮って論じ始めることも認められています。この10年ほどで学校のクラブが増え、全国的に競技人口が増加。日本語と英語によるディベートがあります。
白百合では、英語ディベートに特化した活動が2019年4月に始まり、さまざまな大会に出場。2020年2月には、設立したメンバーを含む高2生(当時)らが「第9回日本高校生パーラメンタリーディベート連盟杯東京都大会」に出場した結果、全国大会の出場権を獲得することができました。また、選手のうち1名はベストディベーター部門で第5位に入賞しました。
- 競技ディベートを始めたきっかけは
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◆ Kさん
英語の先生が競技イベントを告知してくださり、楽しそうだからと軽い気持ちで出場したことがディベートとの出会いです。仲間と初めて臨んだ試合は、ルールを理解していなかったことと、相手が全国レベルの強豪校だったことからボロ負けでした。「次の試合でリベンジしよう」と、悔しさをバネに活動するようになりました。
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◆ Iさん
もともと英語が好きだったので興味本位で練習を見学したところ、魅力に引き込まれていきました。
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◆ Nさん
先輩方の英語ディベートを見たとき、あえて部分的に日本語を使うなど、自由な表現方法があることに惹かれて参加するようになりました。
- 立ち上げからすべて自発的に活動を進めてきたのですか?
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◆ Kさん
はい。自分たちでいろいろとやらなければいけないので大変なこともあります。いまはIさんがリーダーとして練習方法を一生懸命考えて実践してくれているので、頼もしいです。
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◆ Iさん
活動日ごとに目標を明確にして、後輩がディベートに必要なことを意識しながら楽しく練習できるよう工夫しています。あと、フィードバックの時間を確保するために、前もってチーム決めをして、効率よく練習できるようにしています。
- 競技ディベートの面白さとは
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◆ Nさん
大会に出場すると、他校の生徒が主張する論の構成から新しい発想を得ることができます。また、練習では自分たちがジャッジをしますが、試合では第三者がジャッジとなり、客観的に自分たちの力を評価してくれるので面白いですね。もっと練習日を増やしたいし、大学生になっても競技ディベートを続けたいと思っています。
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◆ Iさん
勝敗をつけることが刺激になっています。普段なら、人と話をして勝ち負けを決めることはありませんから。
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◆ Kさん
マイナーな話題など、普段の生活であまり関わらないことを考えるきっかけになります。「七夕の織姫は彦星と会うべきではない」といった変わったものまで、ありとあらゆることが論題になるんですよ。
- さまざまな知識が身につきそうですね。サークル活動を通して感じるご自身の成長や変化は?
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◆ Nさん
私は帰国生ではなく中1から英語を学び始めたので、最初の頃はディベートで短い文章しか話せませんでした。その分、先輩方のやり方を吸収して学ぶ力がついたかなと思います。
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◆ Iさん
以前は自分がこのような団体を作って人をまとめる立場になるなんて思ってもいませんでした。中学生メンバーが増えてきたことで、後輩への接し方を学び、先輩らしくなった気がします。
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◆ Kさん
私は帰国生ですが、英語も人前で話すことも得意ではありませんでした。でも、競技ディベートという心から打ち込めるものに出会い、自分の考えを伝え、みんなの意見も聞いてコミュニケーションをとってたくさんの人と繋がることを楽しいと思えるようになりました。
- Iさんはメンバーを代表して今後の目標を、引退したKさんは後輩へのメッセージをお願いします
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◆ Iさん
ディベートをみんなが楽しめることを心がけて活動を続け、さらに全国大会に出場した先輩のように強くなりたいです。
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◆ Kさん
ディベートは口論のイメージが強く、実際に肯定したり否定したりするのですが、後輩たちには、対戦相手にも論題に関連する人にもリスペクトする気持ちを常に持つようにしてほしいですね。また、新しい団体なので、枠にとらわれず、自分たちに合うやり方を見つけて作り変えていってほしいです。
発足から1年足らずの団体ですが、活動をサポートしているファウラー先生によると、徐々にメンバーが増えて上級生から下級生へ、いい流れができているようです。
「上級生はディベーターとしての個性を発揮しながら成長し、その姿に下級生はリスペクトの気持ちを抱き、自分も頑張ろうとします。生徒同士、そして生徒と教師との信頼関係も築いていけるので、生徒にとって成長の場になっていますよ」(ファウラー先生)
白百合生の“人の意見をよく聞く”という特長は、最初の頃は、意見の異なる相手チームに賛成してしまうというウィークポイントになっていたそうですが、ファウラー先生は「相手チームを観察し、注意深く意見を聞くことができないと、対峙する意見を発せられません。相手が語る理由付けだとなぜ弱いのかということを把握した上で、そのポイントを自分の論の中に組み込まなければいけないので、聞く力があることは競技ディベートにおいて大きな強みでもあります。ですから、白百合生にはただのリスナーではなく、注意深く相手の意見を聞いて自分のスピーキングに取り込んでいく『active listener』を目指してほしいですね」と語ります。
ファウラー先生とともに活動をサポートしている英語科の山本智恵子先生は、競技ディベートがもたらす効果について、「自分と違う意見の立場で発言することがあるため、想像力・共感力が養われます」と話し、発起人として後輩を引っ張るKさんについては、「リーダーになる素地はあったのかもしれませんが、入学当初はとても控えめな生徒でした。だから今は本当に別人のようですよ」と、打ち込めるものに出会っていかに成長したかを教えてくれました。
現場では、「先に練習を見学されますか、インタビューのほうがよいでしょうか」と、取材対応をしてくれたIさん。先生方は、終始口を出さずに見守る立場を貫いていたことが印象的でした。最初にリーダーとして活動を始めたKさんの自主性は、Iさん・Nさんら後輩にもしっかりと受け継がれているようです。
日時 | 名称 | 対象 | 内容 |
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2020年7月4日(土) | 第1回学校説明会(動画配信) | 本校の受験を考えている小学生、保護者 | 学校生活の紹介を中心とした説明が行われます。 |
2020年7月18日(土) 14:00〜15:30 |
海外帰国生対象 学校説明会 |
本校の受験を考えている小学生、保護者 | 学校生活・次年度の海外帰国生入試の説明が行われます。 |
2020年8月31日(月) 18:00〜19:30 |
イブニング学校説明会 | 本校の受験を考えている小学生、保護者 | お仕事などのご都合で、平日の夕方でなければ説明会に参加できない保護者の方を対象に、学校生活の紹介を中心とした説明が行われます。 |
※5〜6月のイベントは中止となりました。ここで掲載したイベントも、状況により開催中止となる場合がありますので、最新情報は学校公式サイトをご確認ください。