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自分は何かできる存在だと気づく

自分は何かできる存在だと気づく聖徳のグローバル教育

inter-edu’s eye

ここ数年東大をはじめ難関国公立大学への合格者を輩出するなど高い進学実績を残すだけでなく、ICTの先駆者としても名高い聖徳学園中学・高等学校(以下、聖徳)。教育方針に「個性」「創造性」「国際性」の3つの柱があり、特に国際性ではさまざまな取り組みが行われていることで注目を集めています。今回は聖徳のグローバル教育に迫ります。

すべてのことを“自分の身近”と捉える

聖徳のグローバル教育では、生徒が世界中のさまざまな事柄を“自分の身近”として感じられることを理想としています。世界中、文化は違えども子どもたちの抱く夢や喜びなど人間の基本的な価値観は同じ。自分を地球の中の一員と捉え、地球や世界を身近に意識しながら考えること。その姿勢を聖徳では育んでいます。

常に意識する6年間の取り組み

国内でアイデンティティを確立する

  • スプリングキャンプ(中1)
    スプリングキャンプ(中1)「日本を知る」をテーマに、新潟県で日本人の食を支える米について学び、農家での民泊体験をします。10年以上続くプログラムで、まず日本について学ぶことで自分自身のアイデンティティを確立する一歩となります。
  • 関西研修(中2)
    関西研修(中2)京都・奈良に行き、日本の歴史や文化に直接ふれながら学んでいきます。現代との違い・共通点に気づいていきます。

海外で異文化を知り世界を意識する

  • 国際研修旅行(中3・高1・高2)
    国際研修旅行(中3・高1・高2)「異文化を知る」をテーマに中3ではカナダ、ニュージーランドを訪問します。ホームステイでは、新潟での民泊の経験と比較する生徒も多いといいます。また高1・高2ではフィリピン(セブ島)、ベトナム、中国、アメリカ(ユタ・サンディエゴ・シリコンバレー)と行き先が増え、生徒の興味に応じて直接学ぶことができる聖徳で30年以上続く取り組みです。
  • 国際協力プロジェクト(高2)
    国際協力プロジェクト(高2)これまでの経験と知識をフル活用し、世界の問題を自分たちで発見して解決する提案・実行する1年がかりのプログラム。JICA(国際協力機構)や大学、企業などと連携し、各クラス1国の問題を考えていきます。3月にはJICA職員や大学教授の前で発表会を行い、成果物は現地に送られます。

聖徳では6年間のグローバル教育を通して、日本人であることや自分を形づくるアイデンティティを知り、自分と違う文化や人と関わりながら世界の問題を身近なことと考え、次第に自分のできることに目を向けていくという流れがあります。さらに「実行する」までの行動力が身につくのも聖徳ならでは。そこには「経験をすることが大切。子どもたちにやりたいことがあるなら失敗してもいいから経験させてあげたい」という先生方の強い思いがあります。

生徒・先生インタビュー 可能性は0%じゃない 前向きにチャレンジ × リミッターをかけない 失敗を恐れない環境をつくる

実際にグローバル教育を受ける生徒はどのような成長を実感しているのでしょうか。生徒の自主活動である「国際交流ボランティア」の代表を務める石井喜大くん(高2)と聖徳のスクールカウンセラーでもある山名和樹先生に聞きました。

―石井くんが聖徳学園に入学したきっかけを教えてください。
石井くん

僕はアメリカで暮らした経験があり、そこでさまざまな人と出会う中で「世界ってこういうものなんだ!」と感じることがあったので、日本に帰っても世界と関わりたいという思いが強くありました。そんなときに聖徳がグローバルな取り組みに力を入れていると知って入学を決めました。

―「国際交流ボランティア」ではどのような活動をしているのですか。
石井くん

主に2つの活動があります。1つは、海外から聖徳を訪問する中高生との交流会の企画・運営です。もう1つは、アフリカのルワンダという貧しい国の幼稚園の経営難を手助けする活動です。ワークショップなどに参加して支援金を集めています。活動はとても楽しいし、この学校に入らなければできなかったことが多くあると感じています。

―なぜボランティアをしたいと思ったのでしょう。
石井くん

入学前の世界と関わりたいという気持ちからでしたが、ベトナム研修で都会と田舎の格差に驚愕した経験がよりボランティアへの思いを強くしました。日本との違いを感じたのと同時に「自分は力になれないのか」と思いました。
また、そういう田舎も数十年で都会化するかもしれない、そうなったらどうなるんだろうという疑問も生まれて。「自分に何かできることがあるならやってみたい」と思ったからです。

ベトナム研修の様子
山名先生

石井くんは意識していないかもしれませんが、それがまさに社会貢献なんです。自分の行動で喜んでくれる人がいる。助かる人がいる。その人の人生がもっと豊かになることもある。自分でやりたいと思ったことを自然に行動に移せるようになっていますね。こういった貢献マインドを持った人、グローバルな人材を育てていきたいと思っています。

―山名先生が考えるグローバルな人材とはどのようなものでしょうか。
山名先生

貢献マインドを持った行動力のある人、そしてある面ではビジネスチャンスをつかむ力を持った人とも考えています。どちらも世の中を良くすることにつなげることのできる人材です。自分が何かできる存在だと認識して、行動を起こすことができる人であり、「問題がある→解決する→人が喜ぶ」という仕組みは、実はビジネスにもつながります。今は行動して、失敗して、経験を積んでほしいですね。

―石井くんもたくさん失敗しましたか。
石井くん

発展途上国の貧困をテーマにしたディスカッションイベントをやりたいと企画したのですが、募集に苦戦しましたね。SNSを使って告知はいろいろしてみましたが、人を動かすには人脈づくりが大切だなと実感しました。

山名先生

教員が協力すれば簡単だったかもしれませんが、集まらなかった原因は何なのか、生徒たちが次はどうしたらいいかと考える。学校教育はそういう場であると考えています。むしろ、「あれをやってはダメ」と生徒にリミッターはかけたくない。今失敗してもその責任は教員がとれます。その失敗から生徒たちは学んでほしいと思います。

国際ボランティアの様子
―これから聖徳を目指す受験生にメッセージをお願いします。
石井くん

予想外のことも起きるかもしれないけれど、そこでの出会いが思わぬ発展を見せることもあると思います。いつも「可能性は0%じゃない」と思っています。少しでも可能性があると思って前を向いていろんなことにチャレンジしてほしいですね。そして聖徳にきてぜひ一緒に国際交流ボランティアで活動しましょう!

山名先生

聖徳で想像力を豊かに、“自分は世界に対して何かできる存在だ”と気づいて卒業してほしいですね。きっと大学生や社会人になってもこのマインドはつながっていくと思います。

編集者から見たポイント

ICTの進む聖徳では英語もいつか機械が話すときがくると考えており、語学にとらわれるよりも「自分は何かをできる」という気持ちと行動力の方が重要だと山名先生はいいます。「できる」を確信するにはチャレンジと失敗、そして成功という経験が必要です。石井くんのような聖徳で育った生徒が、将来グローバルな社会で活躍していくのだと感じるインタビューでした。

2018年度 イベント日程

イベント 日時 内容
第4回体験授業&説明会 10月20日(土)
14:30~15:45
お子さまは体験授業、保護者の方は説明会です。
体験授業科目:国語・算数・総合
第1回適性検査型説明会 10月27日(土)
10:00~11:15
適性検査型入試のための説明会です。
第2回イブニング説明会 11月2日(金)
18:00~19:00
夕方からのベーシックな説明会です。
第2回適性検査型説明会 11月10日(土)
10:00~11:15
適性検査型入試のための説明会です。
第5回体験授業&説明会 11月17日(土)
14:30~15:45
お子さまは体験授業、保護者の方は説明会です。
体験授業科目:理科・社会・ICT
第1回過去問体験&入試傾向説明会 12月15日(土)
14:30~16:00
お子さまは過去問体験、保護者の方は説明会です。
第2回過去問体験&入試傾向説明会 1月12日(土)
14:30~16:00
お子さまは過去問体験、保護者の方は説明会です。

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:聖徳学園中学・高等学校