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国内で唯一の取り組みがスタート!キリル文字で学ぶ高輪のマケドニアサークル

inter-edu’s eye

約2世紀にわたる鎖国の時代が終わり、日本人が世界の広さを目の当たりにすることになった明治維新の末期、高輪中学高等学校(以下、高輪)の前身が開校しました。現在は日本を導くリーダーを輩出し続けてきた都内有数の進学校として知られています。教育理念に基づいた伝統を貫きながらも、従来の枠組みにとらわれない国内唯一の学習活動を通して、高輪の魅力をご紹介します。

初めて耳にする“マケドニアサークル”とは?

北マケドニア共和国大使館への表敬訪問
北マケドニア共和国大使館への表敬訪問
貴重な体験を切り取った一枚
貴重な体験を切り取った一枚

コロナ禍の影響で本格導入されたオンライン英会話で、サークル顧問の青山知喜先生とマケドニアの方との交流がきっかけとなり、マケドニアの言語や文化に親しむマケドニアサークルが発足しました。旧ユーゴスラビアから独立した歴史や周辺国との関わりのみならず、キリル文字を使用するマケドニア語から食べものに至るまで、マケドニアを国家たらしめる文化背景を体験しながら楽しむという活動内容です。北マケドニア共和国大使館への表敬訪問、逆に来校された大使との懇談会、マケドニア料理の食事会など、その活動は多岐にわたっています。

サークル活動から得られた“国境を超えた問題意識”

マケドニアサークルに所属する高2生の皆さんから、参加までの経緯や活動内容について詳しくお話しいただきました。

マケドニアサークルに参加した経緯を教えてください。

リーダーとして所属メンバーを主導している石橋世成くん
リーダーとして所属メンバーを主導している石橋世成くん

中3の春期講習にマケドニア講座があり、どのようなものか想像することすらできませんでしたが、直感的に面白そうだと思って参加してみたら、想像以上に知的好奇心を掻き立てる内容でした。今では、それがサークルとして大きく成長することになりました。大使へのインタビューを準備したり、文化や言語についてまとめたレポートを高学祭(文化祭)で展示するなど、積極的に活動へ参加しています。

表敬訪問の際に語学の重要性を悟ったという清水桔平くん
表敬訪問の際に語学の重要性を悟ったという清水桔平くん

僕の場合は冬期講習で初めてマケドニアを知りました。まさか自分で学ぶと思わなかったキリル文字を読めるようになったうれしさを今でも思い出せます。日本といろんな面で接点があることを知るほど、強い親近感が湧いてきますね。つい最近は、青山先生に引率いただいてサークルメンバーとマケドニア料理を食べに行きました。豆がメインだったのは意外でしたが、インターネットの写真で見るのと、実際に五感で体験することは全然違うんだと再認識しました。

硬式テニス部も兼ねながらサークル活動に参加する北野正鴻くん
硬式テニス部も兼ねながらサークル活動に参加する北野正鴻くん

講座のリストの中でも、マケドニア語講座の名前は強いインパクトがあり、かつ中1からお世話になっていた青山先生が講師ということで迷わず受講することを決めました。アレクサンドロス大王の出身地など、世界史を学ぶうえで欠かせない重要な地域だと知り、俄然興味が湧いてきました。僕と同じように興味を持ったメンバーが集うので、新しい友だちが増えるきっかけになる点もサークルの魅力ですね。

サークル活動を通して学んだことや成果を教えてください。

石橋くん

どこにあるのか知らなかったような国でも、調べるほど関心が広がって些細な点にも興味を持てるようになりました。また、大使館への表敬訪問では外交官の役割や仕事内容に触れることができたおかげで、将来は外交関連などで世界を舞台に活躍することに憧れています。サークルに所属しなければ、こんなに視野が広がる機会がないままだったかもしれません。

清水くん

マケドニアにあるスコピエという街が巨大地震に見舞われた際に、世界的に著名な建築家である丹下健三さんが復興計画に携わったことや、今でも現地では名が知られているということに衝撃を受けました。日本人の世界的な活躍はもちろんですが、社会貢献への気持ちも大切だと考えさせられました。それ以来、建築関連の仕事も良いかなと思っています。

マケドニアサークルのようす
北野くん

発音や単語の意味すら分からない、アルファベット以外の言語に触れること自体が未知の体験だと思い込んでいましたが、マケドニア語を学ぶ課程で小説に登場するキャラクター名の由来を知るなど、ちょっとしたことが楽しみにつながっていますね。僕は世界史の先生になりたいと思っていて、もし実現したら気になる雑学を取り入れながら生徒の印象に残るような授業をしてみたいです。

マケドニアサークルのようす

マケドニアサークル 活動レポート

取材当日は、これから開催されるオープンスクールでの活動紹介が話し合われていました。オリジナルの動画やスライドを使用しながら、来校する小学生を対象にしたクイズや、キリル文字で名前を書くといったミニ体験コーナーを用意するとのことでした。参加メンバーの多くはマケドニア語による挨拶程度だったらお手のもので驚かされました。活動の一部をまとめた動画にもありますが、生徒たちによるマケドニア語の合唱も聞けるかもしれませんよ!

マケドニア語を英語学習にも活用できる点があるそうですね。

石橋くん

海外の方と交流するには英語も話す必要性を身に沁みて感じたので、教科書だけでは伝えられない表現や単語を学ぶために参考書を読み漁りました。学べばそれだけ新しいことにチャレンジする力が身につきます。サークル活動は勉強へのモチベーションに直結しています。

清水くん

英語の文章読解では単語の作りを意識するようになりました。これはどの言語を学ぶにしても大切ですよね。どんな知識にしても、知っているからこそ活用できると考えているのでおろそかにはできません。大使館の表敬訪問ではメンバーが英語を使いこなしている様子を見ながら焦りを感じました。受験英語に限らず、言語をずっと学び続けていきます。

マケドニアサークルのようす
北野くん

英単語の暗記が苦手でしたが、マケドニアサークルでは青山先生と一緒に「ゼロ」から工夫しながら覚えていくところに魅力を感じました。語学の基礎を学ぶには共通点があることを知り、普段の英語授業にも活かせるようになりました。

マケドニアサークルのようす

言語こそが世界とつながる重要なツール

マケドニアサークルの発起人であり、生徒たちとともに活動を盛り立ててきた青山知喜先生からもお話をうかがいました。

他校に例のないユニークなサークル活動ですね。

英語科教諭・高2担任の青山知喜先生
英語科教諭・高2担任の青山知喜先生

もとは春期講習としてスタートしたマケドニアサークルは、言語を学びながら未知の文化を体験できる場にまで成長してきました。私を含め、メンバー全員のスタート地点は同じだと考えているので、大使館でも物怖じせずに質問を投げかける生徒たちの努力が見られたことに大変満足しています。みんなができないと考えることに挑戦する行為自体に面白さがありますから、活動内容はとても自由なもので、生徒主体に進めていきます。世界中にはたくさんの言語があり、それらを学ぶことが偏見の壁を取り払い、世界中の人とつながるための手段になると信じています。最終的には生徒たちと一緒にマケドニアに行き、学んだ知識を実践してもらいたいですね。

サークル以外でも取り組んでいる国際教育・体験学習を教えてください。

青山先生

アメリカのサンタクルーズで語学研修やホームステイ体験をしたり、イギリスのサマースクールで世界中の学生と授業を受けるといったものがあります。高2生の全員でオーストラリアの高校を訪問する海外校交流もありますよ。2020年からはコロナ禍による渡航制限などもありましたので、現在はオンライン英会話を実施しており、私自身も一日30分の英会話で学び続けています。海外の方を招いて学校案内できるような会話レベルに達したいですね。

マケドニアサークルのようす

来校型イベントの際にはどのような点に注目したらよいでしょうか。

青山先生

本校の魅力を在校生の視点から存分に紹介する「学校PR部」という活動があり、入学してからどのように成長できるのかをイメージするには最適です。まずは、彼らの表情や伝えたい言葉にご注目ください。受験校選びの一助になることを期待していただけたらと思います。この記事を読んでいる受験生の皆さんでしたら、入学後の過ごし方を考え始めていることでしょうから、それを確かめる意味でも本校に足を運んでいただきたいです。「通いたい学校があるなら一点集中」ですから、自分を信じて勉強を続けてくださいね。

マケドニアサークルのようす

編集後記

日本初であろうユニークなサークル活動の現場を見ながら感じたのは、指示される前に自ら動きながら周囲と協力する姿勢や、生徒間の圧倒的に近い距離感こそが高輪ならではの学風であるという点でした。来校型イベントでは、生徒たちの活気や先生方の熱意といった目に見えない魅力だけでなく、泉岳寺の門をくぐる通学路も確認できますので、ぜひともご参加ください。

イベント日程

高学祭(文化祭)

  • 2022年10月1日(土)・2日(日)

入試説明会

  • 2022年10月9日(日)
  • 2022年11月3日(木・祝)
  • 2022年12月3日(日)
  • 2023年1月8日(日)

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:高輪中学高等学校