学校で社長を経験! 独自授業「創造性教育」で生徒が感じた手応え

学校で社長を経験! 独自授業「創造性教育」で生徒が感じた手応え

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瀧野川女子学園中学高等学校(以下、瀧野川女子)には、中高全学年必修の科目「創造性教育」があり、学年ごとのプロジェクトを通して生徒の創造性と起業家精神を育んでいます。どのようなプロジェクトに挑み、何を吸収したのか、3名の在校生にうかがいます。

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中学校の創造性教育

中学校でのプロジェクトは、1年次は「理想の街を創ろう」、2年次は「大道芸ロボットを創ろう」、3年次は「中学課程修了研究」です。一貫クラスで高1生のY.Yさんに、詳しい内容を聞きます。

バスケットボール部所属のY.Yさん
バスケットボール部所属のY.Yさん。瀧野川女子のアットホームな雰囲気に惹かれ、入学を決意したそうです

インターエデュ(以下、エデュ):中学校の創造性教育について教えてください。

Y.Yさん:「理想の街を創ろう」では、フィールドワークで実際に街を見て歩いたり、インタビューしたりして、「誰か」にとっての理想の街を考え、最終的にジオラマを作ります。「大道芸ロボットを創ろう」では、クラスメイトと協力して、みんなを楽しませるロボットを作り上げます。そして、「中学課程修了研究」では、一人ひとりが興味のあることを1年間深く調べ、プレゼンします。

エデュ:3つのプロジェクトで一番印象に残っているものは何ですか。

Y.Yさん:大道芸ロボットの制作です。私のクラスでは、人に癒やしを与えるサボテン型ロボットを作りました。何もない状態から何を作るかをみんなで考え、プログラミングにも挑戦しました。苦労した分、初めてロボットが動いたときや、光を放ったときには感動しましたね。制作時には、創造性教育のアドバイザーを務め、ロボット工学の第一人者である東京工業大学名誉教授の廣瀬先生や、同大学で工学を学ぶ大学生に専門的なことを教わりました。

エデュ:中学課程修了研究では何を調べましたか。

Y.Yさん:味覚の違いです。子供の食べ物の好き嫌いはなぜ起きるのか疑問に感じ、味蕾の数と年齢が関係しているのではないかと思い、味蕾の数によって味の感じ方が変わるのかどうか実験して検証し、レポートにまとめました。

学年代表として、体育館で研究内容を発表したY.Yさん
学年代表として、体育館で研究内容を発表したY.Yさん

エデュ:高校に進学すると、創造性教育の内容はどう変化しますか。

Y.Yさん:中学生のときは思いを形にする方法を学ぶのですが、高校ではより実社会に近づけ、形にした思いを仕事に結びつけて考えるようになります。
現在は創造性教育の一環として、あかつき祭(文化祭)の出し物をクラスで考えています。「猫勇者物語」という体験型のアクティビティで、ストーリーに関連した商品も販売します。みんなでワクワクしながらストーリーやイラストを考えていますが、商品制作に関しては、来場者が何人で、商品が何個売れて、どれぐらい利益が出るかを考えることがとても難しく、苦労しています。

エデュ:創造性教育によって、意識の変化はありましたか。

Y.Yさん:中学課程修了研究で味蕾をテーマに選んだ理由は、食べ物の好き嫌いのある人は多いので、味覚について研究し、好き嫌いを克服する手がかりをつかめたら、多くの人にメリットがあると考えたからです。このように、創造性教育を通して、「自分の行動によって、誰かが幸せになるかもしれない」という意識が芽生えました。まだ明確になっていませんが、将来は人を幸せにできる仕事に就きたいです。

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高校の創造性教育

高校では、1年次は「商品企画コンペティション」でデザイン思考を学び、新しい商品を考えてプレゼンをします。2年次は「事業化実習」で実際に商品を制作・販売し、模擬会社を運営します。3年次では「自分の人生を創ろう」をテーマに進路に向けた準備をします。また、事業化実習の成果を数値化し、IR報告書を作成して発表。資本や株式について具体的に学ぶ機会になっています。
事業化実習で、同じ会社の社長と副社長を務めたE.YさんとK.Yさんにインタビューします。

模擬会社「BGI」副社長のK.Yさん(左)と、社長のE.Yさん
模擬会社「BGI」副社長のK.Yさん(左)と、社長のE.Yさん。ともに高3生です

エデュ:事業化実習で実践したことを教えてください。

K.Yさん:社員16名で「BGI」という会社を興し、一人3,000円ずつ出資して、金魚やヨーヨーをモチーフとしたイヤリングとマスクチャームを作りました。

E.Yさん:デザインから制作まで手掛けたオリジナル商品を、あかつき祭で販売し、売り上げ13万9,100円、純利益9万3,750円と、大きく利益を出すことができました。

「BGI」のオリジナル商品、イヤリング(上段)とマスクチャーム
「BGI」のオリジナル商品、イヤリング(上段)とマスクチャーム
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エデュ:制作段階では、どのような苦労がありましたか。

E.Yさん:最初はヘアゴムを制作・販売する予定でしたが、経過発表で先生からオリジナリティがないと指摘され、独自性を打ち出すことに苦労しました。

K.Yさん:試作を繰り返したことです。ヘアゴムも、その後作ることが決まったイヤリングやマスクチャームも、オリジナリティとクオリティを追求して試行錯誤する日々が続きました。

E.Yさん:レジン(樹脂)だと費用がかかるので原料を紙粘土にしたところ、商品が安っぽくなってしまって。みんなで相談し、商品の質を優先してレジンでの商品開発を決めました。

エデュ:あかつき祭で、お客さんの反応はいかがでしたか。

E.Yさん:初日に商品が完売する盛況ぶりで、2日目の販売のため、急いで商品を増産しました。一人で何個も購入してくださる方がいたり、私たちが作った商品を身につけて、楽しそうに校内を歩く姿を見ることができたことが印象的でした。

K.Yさん:私たちの商品や接客、店の内装を褒めてくださり、うれしかったです。その結果、あかつき祭の販売部門賞を獲得することができました。

あかつき祭では、夏祭りをイメージして売り場を装飾
あかつき祭では、夏祭りをイメージして売り場を装飾

エデュ:社長と副社長を経験して感じたことを教えてください。

E.Yさん:先を見据えて計画を立てることや、臨機応変に対応することの大切さを実感しました。あかつき祭までの日々は苦労が絶えなかったので、「会社を経営している方は、何度も危機に遭遇しては乗り越えているんだな」と身をもって知りました。仕事をしている方への感謝や尊敬の気持ちが、以前に比べて何倍も増しました。

K.Yさん:会社全体をまとめる立場として、周りの状況をきちんと把握したうえで、周りに指示を出すことの大変さを痛感しました。活動を通して人に伝える力がついたと思います。

エデュ:あかつき祭の後は、どのような活動をしましたか。

K.Yさん:創造性教育の成果をプレゼンする「全校発表」に学年代表として登壇し、事業内容や会社の成長率を報告しました。

E.Yさん:多くのことを経験したので、ステージで話したいことがありすぎて、原稿を削ることに苦心しました。

エデュ:最後に、中高受験生に向けて学校の魅力を教えてください。

K.Yさん:創造性教育だけでなく、ほかの授業でも人前でプレゼンする機会が多いので、自分の考えを相手に分かりやすく伝えられるようになるなど、コミュニケーション能力が向上します。また、高2から授業に加わるゼミでは、自分の進路に合った専門性の高い勉強ができ、とても役立っています。入学前は女子校に抵抗がありましたが、瀧野川女子での日々はとても楽しく、今では「卒業したくない!」と強く願うほど大切な居場所になりました。

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編集者から見たポイント

創造性教育は、社会でも一部の人しか経験していないことや、ある程度社会経験を積まないと任されないようなことを経験する実践的な教育プログラムだと分かりました。創造性教育での体験は、総合型選抜(旧AO入試)でも大いに役立っているそうで、瀧野川女子が新しい大学入試で合格実績を伸ばしていることに納得しました。創造性教育の実践の場でもある「あかつき祭」は9月25日(土)・26日(日)開催。多くの方に生徒の雄姿をぜひ見ていただきたいです。

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イベント日程

イベント名 日時 備考
学校説明会&個別相談会 2021年8月28日(土) 10:00~11:30 小学4年生〜6年生対象
学校説明会&個別相談会 2021年8月28日(土) 13:30~16:30 中学1年生〜3年生対象
あかつき祭 2021年9月25日(土)・26日(日) 9:00~ 小学4年生〜中学3年生対象
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    高2で会社を経験する事業化実習

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    授業風景