桐朋女子中学校・高等学校

2017年度入試からスタートした「論理的思考力＆発想力入試」にもやはり「考える過程」を見る意図が込められています。ただし、口頭試問と異なるのは、筆記でその「考える過程」を測るという点です。

一般的に漢字や計算といった知識や技能は「覚えた」や「できるようになった」という結果であって、ペーパーテストで評価できます。しかし、一方の「考える過程」というのは大変評価が難しいものです。そしてその「考える過程」を測る手がかりとしてルーブリック評価（※）があり、桐朋女子でも採点基準に採用しています。

そのあたりも踏まえて、今年の「論理的思考力＆発想力入試」を先生に振り返っていただくと、「言語問題については、入試本番前に在校生に試しに問題を受けてもらったことにより、評価基準がよりすっきりし、入試本番は客観的な採点ができたと思います。理数分野の解答には、想定外のものもいくつかありましたが、教員は時間をかけて受験生の答案に書かれた意図を読み取り、その思考過程を探すことができたと思います」と、新たな入試方式に手ごたえを感じていらっしゃるようです。

※ルーブリック評価…到達の度合いを示す数レベル程度の尺度と、それぞれのレベルに対応するパフォーマンスの特徴を示した評価基準。（文部科学省「学習評価に関する資料」より抜粋）

このように、独自の入試スタイルを持つ桐朋女子ですが、今後の学びについてうかがうと、「大きな変化が想定される時代だからこそ『生きる力』を具体的な学びを通して身につけていかなければなりません。そのために大事なのは人と人のコミュニケーション、そしてコミュニケーションの要は『ことばの力』と言えるのではないでしょうか」と先生はおっしゃいます。

この桐朋女子の考える「ことばの力」とは相手の言葉を正確に聞き取り、自分の言いたいことを相手に正確に伝える力。ひとりよがりの言葉のセレクトでは相手に言いたいことは伝わりませんし、逆に相手の言葉の十分な理解がなければ、話し合いや、そこから発展する何かを得ることも望めません。

こうした力を伸ばすために中学1・2年では、国語の時間に「論理エンジン」というテキストを使って、文の構成や文と文とのつながりを具体的に学びます。続く中学3年、高校1年では、英語の時間に言語技術教育（Language Arts）を行い、2年間で論理的な考えの発信力を日本語、英語両方で培うことを目標としています。

また、その他の授業でもレポートで自分の考えをまとめたり、みんなの前で発表したり、試験では記述式が多かったりと、多くの経験を通して「ことばの力」は着実に育まれているようです。