inter-edu’s eye

教育現場では今、論理的思考力の必要性が強く唱えられ、各学校では入試やプログラミングの授業として取り入れられています。そんな中、50年も前から入試で口頭試問を実施している桐朋女子中学校・高等学校(以下、桐朋女子)では、言葉を思考のツールとして、論理的思考力を身につける教育を続けてきました。この伝統的な学びを新たなプログラムとして再構築したのが「Dual Language Program(デュアル・ランゲージ・プログラム:DLP)」です。今回はDLPの全容に迫ります。

潜在能力を開花させるには必要不可欠

熊野先生
国際教育センター主任 熊野先生

熊野先生:DLPは、世界で通用する論理的思考力を育成するプログラムです。
これからの時代を生き抜くために、世界的に使われている言語技術を身につけ、さらに表現のツールとして日本語と英語を使えるよう、生徒を育てなければなりません。それは、文化的背景の異なる人と向き合い、自分の意思を伝え、相手を理解して共に何かを作り出すことが当たり前の世の中になるからです。
本校には長年、教師からの「なぜ?」に生徒が答える“問答”により、無意識のうちに生徒に論理的な思考を実践させてきた土壌があります。思考力・発信力・理解力は、生徒一人ひとりの潜在能力を開花させるために必要不可欠なものであり、社会で活躍するための大きな力になります。学校に根付いた学びをプログラム化して改めて可視化することで、生徒が論理的思考力の必要性を認識し、意識的に学ぶことを期待しています。

3つの柱で着実に力をつける

DLPは、「ことばの力の育成」「世界を読み解く力の育成」「高度な英語発信の実践」の3つの柱で構成されています。3つの柱とは、一体どのようなものなのでしょうか。

ことばの力の育成

「ことばの力の育成」は、中学1年~高校1年の全生徒が学ぶDLPの根幹。
中学1・2年の国語の授業では、テキスト「論理エンジン」を使って日本語の論理的な使い方を学習し、主語・述語を意識した文章の組み立て方を身につけます。そして中学3年・高校1年では、英語の授業で言語技術を学びます。ご担当の櫻井先生にうかがいました。

櫻井先生
外国語科 櫻井先生

櫻井先生:中学1・2年で文章の基礎を学んだ後、中学3年・高校1年では問答で分析と説明を繰り返しながら、論理的な思考と表現を学びます。例えば、生徒は童謡「たき火」の歌詞を分析してそこに描かれている情景を探り、教師や生徒同士による問答で内容を深め、咀嚼し、分析した内容を文字に起こします。その際には、主題文・支持文・結文で構成されるパラグラフの形式に沿って作文を完成させます。
問答のテーマには物語や絵や漫画なども用いられます。毎回異なるテーマについて問答から作文までを繰り返すことにより、言葉でスムーズに伝えるための法則性、思考と表現をつなぐ道筋ができます。生徒も、パラグラフの書き方を理解したことで、考えていることを伝えやすくなったと実感しているようです。
中学3年で、生徒はまず母語である日本語でパラグラフの書き方を学びます。高校1年では、中学で取り扱った題材をテーマに、英語で学びます。パラグラフを母語で理解した後に英語へと移行することで、自分の考えを母語でも他の言語でも、チャンネルを変えて発信するスキルが身につくのです。

世界を読み解く力の育成

チームティーチング
特別講座の授業例

熊野先生:こちらは2018年4月から開始するDLP外国語特別講座で本格始動します。教科横断型の学びで、問題解決能力・日本語と英語でのプレゼンテーション力を身につけ、そのうえでAO入試など大学入試にも対応できるようにすることが目標です。授業は日本人とネイティブが協力して行います。同じトピックでありながら、日本語と英語の異なる情報を与え、生徒はそれぞれの分析を深めます。1つのトピックについて異なる情報をもとに問題解決を模索することで、世界の問題を読み解く力を磨きます。

高度な英語発信の実践

プレゼンテーション

熊野先生:英語での発信力やプレゼンテーション力を高めるさまざまなプログラムがあります。30年以上続いている放課後の「英会話教室」のほか、2018年度からは「ニュージーランド・ターム留学」もスタートします。DLPのためリニューアルした「英会話シャワー」では、ネイティブの先生と、日本の大学に通う海外からの留学生が、本校の生徒と英語で交流します。ネイティブの先生にはさまざまな国の方を迎え、発音の違う英語を耳にし、留学生による英語のプレゼンテーションでは、異文化への理解を深めることができます。留学生の話には、生徒たちも気づかされることが多いようです。

身につけた先の将来像

論理的思考力を身につけた生徒の将来像について、先生にうかがいました。

櫻井先生:生きる力をつけて、未来を切り拓いていってほしいですね。どんな分野でもいいから、情熱を傾けられることを探して、人のために役立つ、クリエイティビティのある人になってくれたらと思います。

編集者から見たポイント

面接に苦手意識を持ち、筆記試験を好む受験生は多いかもしれません。しかし、口頭試問に怯まずに桐朋女子に入学すれば、これからの時代に必要とされる論理的思考力とコミュニケーション力を身につけられます。DLPはいずれ社会に出ていく子どもたちの確かな力となることでしょう。

イベント日程

イベント名 日程 時間 備考
学校説明会 10月29日(日) 10:00~12:00 要予約
校内見学あり
学校説明会 12月2日(土) 14:00~16:00 要予約
校内見学あり
学校説明会 1月6日(土) 10:00~12:00 要予約
校内見学あり