ことばの力がつなぐ世界 桐朋女子のDLP授業

先生と生徒

inter-edu’s eye

桐朋女子中学校・高等学校(以下、桐朋女子)の独自の学び・Dual Language Program(デュアル・ランゲージ・プログラム:DLP)は、論理的思考力を育成するプログラムです。昨年度の連載ではプログラムの概要をご紹介しました。今回は、今年4月から始まったDLP外国語特別講座を見学し、実際の授業のようすをレポートします。

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DLPとは

DLPは世界で通用する論理的思考力を育成するプログラムです。プログラムは「ことばの力の育成」「世界を読み解く力の育成」「高度な英語発信の実践」の3つの柱で構成されています。最初の柱の「ことばの力の育成」段階では、中学1年~高校1年の全生徒が共通の学びに取り組みます。日本語の使い方を分析し、その上で論理的に思考し、発信する力につながる技術を日本語、そして英語で身につけていくのです。

見てきました!DLP外国語特別講座「ことばでみる世界」

DLP外国語特別講座は2つ目の柱「世界を読み解く力の育成」にあたる、高校2・3年対象の自由選択科目です。問題解決能力を向上させ、小論文作成能力や日本語と英語によるプレゼンテーション力を磨くことで、大学入試改革にも対応できる力を身につけます。

講座は日本語授業・英語授業の2時限続きで行われ、2週にわたり1つのテーマを掘り下げていきます。第1週の日本語授業では資料の読み取りから「問題把握」をし、英語授業ではテーマに関する映像を見て「外国人からの視点」を探ります。第2週の日本語授業では前週の内容を基にテーマについて自分の意見をまとめ「討論・文章作成」を、英語授業では同様にコンピューターを使ってのエッセイライティングを行います。
今回は「外国人労働者」をテーマとする第1週の授業に潜入しました。

問題を解くのではなく、ことばで問題を明らかにしていく
~日本語授業レポート~

日本語授業

日本語授業を担当するのは国際教育センター主任の熊野孝先生。教卓の周りを囲む8名の生徒は、事前に配布された資料のグラフや情報から課題を見つけ出します。資料は「外国人労働者」に関する新聞の一面記事やネットの長文記事、書籍からの抜粋文などです。

熊野先生の問いかけに生徒が回答すると、先生は必ず回答の根拠の在りかを尋ねます。生徒が資料から根拠を答えると、先生は記載された状況がどうして生まれたのかを質問。生徒たちは状況に至る過程や背景を答え、こうして先生と生徒のやりとりは止まることなく続きます。
そのようすを見て、先生からの“なぜ?”に生徒が答える桐朋女子の伝統「問答」で、思考力と発信力を鍛えられた生徒だからこそ成り立つ授業なのだろうと感じました。

先生と生徒のやりとり
外国人労働者数が分かる一番古い情報について先生が尋ねます。「2008年」と生徒が答えると、先生はすぐさま「どこに書いてある?」と回答の根拠を明らかにさせます。生徒が返答すると、「そう、記事1の図表1にあるね。じゃあ2008年には何人いたの?」。こうして先生と生徒のやりとりが続きます。

問題を解決する視点を世界規模で持つ
~英語授業レポート~

英語授業

英語授業を担当するのはマーシャル先生です。英語授業ならではのフォローがあるかと思いきや、問いかけの多さや話すスピードは日本語授業のときと同じで、資料映像も英語。先生の質問に対し、たどたどしい部分はありながらも生徒は英語で答えます。日本語授業とつながる内容の話題にはサポート役の熊野先生が生徒に助け舟を出すことも。

生徒は資料映像などを見て海外メディアが伝える日本の現状を理解すると、テーマについて世界的な視野から再び考え始めます。英語授業で得た知識や視点が、次の日本語授業に活きることは容易に想像でき、2つの授業の相互作用で生徒がより深くテーマを探究できることを実感しました。

英語授業02

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生徒の知的好奇心を刺激

特別講座について、熊野先生は「DLPの最終段階は、言語というツールを使って世界を理解し、その理解の上で世界のさまざまな問題について自分の意見を持ち発信すること。そのために授業では必ず、資料のどのことばを見て回答したのか、理解の根拠を生徒に尋ねています」と語ります。

年間テーマ一覧

日本語授業 英語授業
若年層の非正規雇用 Life as a “Freeter”
「保全」か「保存」か Kids with Raised Consciousness About the Environment
外国人労働者 When Cultures Clash:Multiculturalism
クールジャパン戦略は成功するか Kawaii-iiiii! Culture
世代間格差 Japan’s Population Problems
海外からの客のおもてなし English in Japan
赤ちゃんをデザイン? Playing God:Genetic Engineering
日本の子育て環境 Gender Roles
現代日本の若者 Youth in Japan―Happy or not?
コンピュータが仕事を奪う A Future of AI and Robotics
子どもの貧困 Poverty
1年のまとめ Wrapping up
生徒が関心を持って意見しやすい問題として11のテーマを設定。1年間の講座は、生徒に身近なテーマから始まり、世界規模のテーマが続いた後、再び身近なテーマに戻る流れになっています。

生徒は特別講座について「楽しいけれど毎回必死です。英語にはずいぶん慣れて、聞いたり話したりできるようになりました。クラスの授業とは違って少人数なので、自由に意見を述べることができるところが好きです」と語ります。講座を選択した理由には、英語力の向上や大学入試改革への対策などが挙げられました。自身の変化について尋ねると、「時事問題について自分の意見を持てるようになりました」「英作文に強くなりました」と話していました。
ある生徒は、「事前にテーマについて調べておかないと授業についていけません。分からない言葉をネットで調べ始めると、情報が際限なく広がってしまって…。最近、ネットの検索履歴がおかしなことになっています」と笑います。多くの生徒が「世の中を見る目が変わった」と答えていたことがとても印象的でした。

生徒2人

高校1年までのさまざまな授業で論理的思考を身につけた生徒が、特別講座で課題解決能力を磨き、広い視野で物事を考え、日本語でも英語でも思いを表現できるようになれば、先行きが不透明な時代でも臆することなく好きな道へ突き進んで行けるはず。国公立大・難関私大・海外大・芸術系など、さまざまな分野に興味を持って進学する桐朋女子生をサポートする学びが、また1つ増えたようです。

授業のようすを見てみたい! ≫

これからのイベント

中学校

イベント名 日程 時間 備考
オープンキャンパス 7月16日(月・祝) 9:30~ 要予約
校内見学あり
学校説明会 10月28日(日) 10:00~12:00 要予約
校内見学あり

高等学校

イベント名 日程 時間 備考
学校説明会 7月16日(月・祝) 13:30~ 要予約
校内見学あり
クラブ体験ウィーク 8月20日(月)~26日(日) - 要予約
学校説明会 10月28日(日) 14:00~ 要予約
校内見学あり

桐朋祭(文化祭)

9月29日(土) 12:00~16:00、9月30日(日) 9:00~16:00

ご予約は学校公式サイトから ≫

編集者から見たポイント

昨年度の取材で熊野先生は、「考えたことを日本語で話すか英語で話すかはチャンネルを変えるようなもの」と語っていました。1つのテーマを日本語と英語で掘り下げていく特別講座は、先生のお言葉を反映したような授業だと感じました。わずか2か月で自身の意識の変化に気づいた生徒たち。特別講座を学び終えた1年後の成長が、今から楽しみです。

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