知識より経験を活かして突破
桐朋女子の口頭試問&Creative English入試

桐朋女子の口頭試問

inter-edu’s eye

近年、さまざまな入試形式を導入する学校が増えていますが、桐朋女子中学校・高等学校(以下、桐朋女子)には長年続く特徴的な入試「口頭試問」があります。さらに来年度からは英語に特化した「Creative English入試」も加わります。そこで今回は桐朋女子の入試に注目。口頭試問を受けた生徒から聞いた試験対策や新入試の概要をお伝えします。

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桐朋女子の入試

桐朋女子の入試形式は全部で4つ。国語・算数の筆記試験に口頭試問を組み合わせた「A入試」、2科・4科の筆記試験が行われる「B入試」、都立中高一貫校の入試に近い「論理的思考力&発想力入試」、そして来年度から始まる「Creative English入試」があります。

A入試の口頭試問

口頭試問には2つの過程があります。まず準備室でビデオ視聴、作業などを行い、いくつかの課題に答えてもらいます。次に試問室に移動し、準備室での課題の答えとその答えを導いた過程について質問に答えます。準備室での時間は30分。内容は小学校で学習したことを踏まえた総合的な問題。考えた過程を自分の言葉で表現できるか、途中で間違いを修正できるかがポイントです。授業を受けて、先生との対話を通して、学びを深めていくことができる入試です。

口頭試問を続ける理由

A入試の口頭試問は、桐朋女子が長年にわたり続けてきた入試形式です。「知識が多いか少ないか」を試すのではなく、小学校での豊かな生活体験や学習体験が活かされるような課題を設定しています。求められるのは入学後必ず必要となる「人の話を聞く力」「考える力」「コミュニケーション力」「粘り強く課題に取り組む力」です。それは、「桐朋の教育は入試から始まる」という考えがベースにあるためです。入学後、やりたいことを見つけて追究する生徒をサポートするという桐朋らしさが口頭試問にも表れています。

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私の口頭試問対策法

A入試で入学した桐朋生は、口頭試問に向けてどのような準備を進めて合格したのでしょうか。当日のようすや桐朋女子に入学を決めた理由について聞きました。

中1の史帆さん
中1の史帆さん。塾へ行かず、過去問の繰り返しでA入試を突破したという。2科の試験も難しい問題ではなく、その場の発想力や規則性を見つけられるかがポイントだったと話す。

インターエデュ(以下、エデュ):まずは桐朋女子に入学を決めた理由を教えてください。

史帆さん:文化祭や体育祭を見て活気があって楽しそうと思ったのが入学の決め手です。ほかの学校にも見学に行きましたが、興味がわいたのが桐朋女子でした。

エデュ:受験前、口頭試問があることについてどう思っていましたか。

史帆さん:小学生のときから討論や人に説明をするのが好きだったので楽しみにしていました。

エデュ:楽しみだったのですね。では、当日までにどのような準備をしましたか。

史帆さん:過去の問題を解いて、試問は母と練習しました。映像タイプの試験でも過去問に文章として載っているので、映像と同じ時間内で要点をメモしながら解きました。試問の練習では、順序立てて話をすることにも気をつけました。

エデュ:当日はいかがでしたか。

史帆さん:まずは映像を見て、分かったことをメモして要点を漏らさないようにしました。試問室では2人の先生から自分の解答について質疑応答がありました。

史帆さんによる当日の再現
史帆さんによる当日の再現。

エデュ:印象に残った質問はありましたか。

史帆さん:私のときのテーマは「衣服」でした。「この素材は何に使われているか」という質問があって、課題文を読んだだけでは解けない内容だったのですが、その場でおばあちゃんのスカーフに使われていたことを思い出して答えたのを覚えています。知識がないと解けない問題はなかったです。普段の生活を思い出したり、その場で考えれば答えられます。課題文に出てきた言葉で答えるのもポイントかもしれません。

エデュ:緊張はしましたか。

史帆さん:最初は緊張したのですが、先生がフォローしてくださったので話しやすい雰囲気でした。分からなくても先生が答えにうまく導いてくださるので、その正答に気づけるかどうかが大事だと思います。

エデュ:口頭試問の経験は、今の学校生活につながるものだったと感じますか。入学してみて学校生活はいかがでしょう。

史帆さん:口頭試問があったから勉強だけでは補えない力が発揮できたと思います。今は理科の実験など小学校のときよりグレードアップした授業があるので楽しいです。

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来年度スタート「Creative English入試」

来年度から始まる英語に特化した「Creative English入試」。その内容や導入の背景について入試を担当する英語科の今関先生にお話をうかがいました。

今関先生
お話をうかがった今関先生。何よりも小学校での豊かな経験を大事にしてほしいと話す。

エデュ:「Creative English入試」の導入を決めた理由を教えてください。

今関先生:小学校で英語の授業も始まり、英語のニーズが高まっている中、英語に対して興味を持っている生徒や積極的にコミュニケーションを取ろうとしている生徒にも入学してほしいと思い導入を決めました。ほかの生徒に刺激を与えられるような存在になってほしいと考えています。

エデュ:どの程度の英語レベルが必要でしょうか。

今関先生:簡単な単語を用いて自分の言いたいことやしたいことを相手に伝えることができるレベル。英検でいえば、3級程度でしょうか。

エデュ:どのような形式で行われるのでしょうか。

今関先生:形式は口頭試問と同じで、まずは課題準備室で英語を聞いたり、映像を見たりしながら、課題に取り組みます。そして、インタビュールームで英語の質問に答えます。

エデュ:インタビューではどのような点を見るのでしょうか。

今関先生:求めているのは、高いレベルの英語力というより、英語でコミュニケーションをとろうとする意欲や姿勢です。答えている途中に英語がでてこなくても、インタビューする先生が、答えを引き出したり、補ったりするので、安心して答えてほしいと思います。

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受験生へメッセージ

最後に受験生にメッセージをお願いしました。

今関先生:知的好奇心を持って、日々の学校生活や家庭での生活を送ってください。勉強することも大事ですが、友達と遊んだり、芸術を鑑賞したり、親子で山に出かけたり、新聞を読んだり、さまざまな体験をしてきてほしいです。小学生の今でしかできないことを大切にしながら、いろいろな学びを経験してきてください。

史帆さん:体育祭をはじめとした行事など、生徒主導で活動することがたくさんあり、とても楽しいです。ぜひ入学して一緒に学校を作っていきましょう! そのためにも今は小学校での生活を楽しんで、それを活かして入試を突破してください。

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編集者から見たポイント

聴く力はもちろん、論理的に物事を考えて理解する力、それを表現する力が問われる口頭試問。試験を突破して入学した生徒たちは、桐朋女子で自分の考えを述べたり、課題を見つけ仲間とコミュニケーションを取りながら課題を克服したりする力を身につけて卒業していくそうです。まさに「桐朋教育のスタートが入試」といえます。過去の問題を見てチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

これからのイベント

中学校

イベント名 日程 時間 備考
学校説明会 10月28日(日) 10:00~12:00 要予約
校内見学あり
学校説明会 12月1日(土) 14:00~16:00 要予約
校内見学あり
学校説明会 1月12日(土) 10:00~12:00 要予約
校内見学あり

高等学校

イベント名 日程 時間 備考
学校説明会 10月28日(日) 14:00~ 要予約
校内見学あり
学校説明会 11月17日(土) 13:30~ 要予約
校内見学あり
個別相談会 12月2日(日) 15:00~ 要予約

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