美術館から「社会課題」を見つめる! 探究、最初の一歩

美術館から「社会課題」を見つめる! 探究、最初の一歩

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東洋女子高等学校(以下、東洋女子)は、生徒が社会課題について考える探究型学習に力を入れている学校です。コロナ禍に見舞われた2020年もオンラインと対面を組み合わせた体験的な学びを実践しています。今回はその中から、美術館・博物館を活用した「Museum Start あいうえの」を特集。探究型学習に初めて挑戦する1年生をグッと後押しし、より専門的な活動を展開していく土台をつくることができました。

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探究型学習、1年生からステップバイステップで

東洋女子の探究型学習は2年生から高度な内容を扱うカリキュラム。「8系統の学問領域別のゼミに所属して、社会課題の解決法を考える」「海外の高校生とともに世界規模の問題について訴える壁画を制作する」ことがその大きな柱です。社会と自分自身に真剣に向き合い、ゆくゆくは主体的な進路選択につなげていくことを目標としています。

ワークショップのようす
生徒が「答えのない問い」に向き合えるように、学校外から指導者を招いてワークショップ・講演なども充実させています。

こうした探究型学習は決まった正解がない難しさがありますが、東洋女子の場合はご心配にはおよびません。その理由は、主体的に考える姿勢を1年生から少しずつ身に付けられる学習ステップがあるからです。2020年8~10月に全1年生を対象として行った「Museum Start あいうえの」でも、正解・不正解に縛られず自由に発想を広げていく鑑賞活動をプログラムの主軸に。芸術作品や歴史的資料を切り口にして、社会に目を向ける機会をつくりました。

探究に挑む生徒たちの姿 ≫

「あなたが100年後に伝えたいものは?」ミュージアム訪問で発想を広げる

生徒の視野を広げる「Museum Start あいうえの」について、木内美穂先生に詳しくうかがいました。

インタビュー中の木内美穂先生
インタビュー中の木内美穂先生。担当教科は英語で、探究も含めた東洋女子のグローバル教育を中心になって進めています。

インターエデュ(以下、エデュ):「Museum Start あいうえの」についてご紹介ください。

木内先生:東京都台東区の上野公園内にある美術館・博物館9館から協力を得て実施した探究型学習のプログラムです。生徒は興味のある施設を1つ選択し、鑑賞活動に取り組みました。また、事前学習として、鑑賞をより深くするワークショップもオンラインで開きました。ここで発見したことが、社会課題に関する学習につながるよう今後のカリキュラムを組んでいます。

展示品を撮影する生徒
展示品を撮影する生徒。後日の成果発表に備えます。

エデュ:生徒にはどのような課題を出しましたか。

木内先生:美術館・博物館を訪れる当日、生徒には「あなたが100年後に伝えたいものは何?」という問いを与えました。特に気になる展示品を見つけ、「なぜ、それが気になるのか」を深く考えてもらう意図があります。展示品はすべて、先人たちが生きた時代に向き合ってつくりあげたものです。その社会的な背景を考えるなど、深く鑑賞することで、生徒にも社会に向き合う当事者意識の芽が生まれたと感じています。

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オンライン併用! 安心な学習プログラム

エデュ:美術館・博物館で生徒たちはどのように活動されていましたか。

木内先生:実施日は10月22日で、学芸員の方が鑑賞に合わせてワークショップを開いてくださったりして、かなり手厚い指導を受けていました。建築に興味のある生徒は過去と現在の建築物を比較して、環境問題に関する意識の変化を探るなど、生徒一人ひとりが自分の関心を深めている姿が印象的でした。

探究型学習のポートフォリオ
探究型学習のポートフォリオ。体験活動、専門家からの学びを通して、生徒が多くを得ていることが分かります。

エデュ:オンラインの講座で、生徒はどのような指導を受けましたか。

木内先生:今回の「Museum Start あいうえの」が美術館・博物館による教育活動を東洋女子向けにアレンジしてできたという関係で、1回目の講座では展示品をめぐって来場者と対話するアートコミュニケータの方に協力を得ました。絵画2枚を題材にして、作品から見いだせるもの、感じ取れることを生徒から引き出してもらえました。2回目は学芸員の方に、美術館・博物館の意義をSDGs(持続可能な開発目標)と絡めてご説明いただきました。

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探究の基礎「発信力」伸ばす生徒たち

エデュ:「Museum Start あいうえの」で生徒が成長したところを教えてください。

木内先生:美術館・博物館を訪問した成果を自分の言葉ではっきりと伝えられる生徒が目立ちました。個人差はもちろんありますが、自分の意見をしっかりと発信できるようになったのではないかと思います。

エデュ:「Museum Start あいうえの」の経験は今後の探究型学習にどのように活かされていきますか。

木内先生:生徒たちは「100年後に遺したいもの」が現在の社会課題とどう関わっているかを考察することで、自分が興味のある社会課題を見つけます。年明すぐのポスターセッションで発表してもらう予定ですが、対面式かオンラインかは状況を見極めて柔軟に対応しなくてはならないでしょう。来年度以降の全学年の探究型学習についても、対面・オンラインをどのように組み合わせていくかしっかりと考えていきます。

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「人と関わりから多くを学んで」受験生へのメッセージ

校庭に並ぶ生徒たち

最後に受験生へのメッセージを預かりました。

木内先生:ぜひ、自分自身の興味、自分自身の感じたことを大切にしてください。東洋女子では正解・不正解に囚われない探究型学習で皆さんの個性を伸ばします。その積み重ねがきっと将来につながるでしょう。また、本校の探究学習は仲間と協働するものです。人との関わりの中でたくさんのことを学んでほしいと思います。

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