語彙力、読解力を育てる『ことば図鑑』登場!

名門・麻布中学・高校の国語科教諭である中島克治先生が監修した『ことば図鑑』に注目が集まっています。正式な書名は『小学生のための ドラえもん 読解力をつけることば図鑑』。ことばの参考書なのに、なぜ図鑑? それは、子どもたちのことばの世界を根っこから豊かにしていくためです。国語が苦手・読書が嫌いな子でも、この図鑑なら語彙力・読解力・文章力を育むことができます!

楽しいマンガで、ことばの楽しさを知る

最初に、本書の巻頭にある監修者・中島克治先生のメッセージ(一部)をご紹介しましょう。

きみたちも、この本に出ていることばや文にふれることで、きっと、友だちや家族のみなさんと、心の中のいろいろな世界をたくさん共有できるようになります。ぜひ、この図鑑の中で、ドラえもんたちと楽しく遊びながら、ことばのおもしろさを味わってください。

そして、本書を手に取ったひとりのママの感想――。

「辞典」ではなく「図鑑」なのがいいですね。何か目的を持って調べるというのではなく、ぱらぱらとながめて、気になったところを読むことで、自然と語彙力の底上げをしてくれると感じました。

わが子が国語や文章問題が苦手とわかると、多くの親御さんは、もっとドリルをやらせよう、もっと読書させようと思ってしまいます。でも、国語が苦手なお子さまに必要なことは、いやいやながらドリルや読書をすることではなく、この『ことば図鑑』が誘うような、楽しいことばの世界との出会いなのではないでしょうか。

いろんなことばを家族や友達と交わしあいながら心の世界を共有すること、そうすることで豊かな語彙を身につけていくこと――、中島先生は、そんなことばとの出会いを、この図鑑で提案なさっているように感じました。

ことばと文章に親しむ土台を作る

本書には、ドラえもんと仲間たちのやりとりのシーン(マンガの1コマ)が多数掲載されており、第4章には10ページのマンガも挿入されています。文章を読むことが嫌いな子でも、これなら見てもいいかなと思ってくれるでしょう。

本書を構成している6つの章について、簡単に紹介していきましょう。

第1章「なかまのことば」には、日常会話でよく使う「楽しい」、「悲しい」といったありふれた38個のことばについて、それぞれ似た意味のことばがたくさん紹介されています。たとえば、「楽しい」では、「うれしい」、「はしゃぐ」、「わくわく」、「うきうき」など10個のことばが登場します。

第2章「くらしのことば」には、「あいさつ」、「空や天気」、「季節」、「色」、「時間」、「数」に関する日常会話で使うことばがたくさんのっています。

第1章、第2章は、低学年のうちは親子一緒にページをめくって、「このことば知ってる!」、「知らない」などとやりとりをすれば、それだけで語彙力が育っていきます。

第3章「ペアになることば」は、反対語と同音異義語のオンパレート。しっかり国語の勉強にもなります。この章も、親子一緒にクイズみたいに楽しんでみるといいですね。

第4章「気のきいたことば」には、10ページのドラえもんのマンガとともに、慣用句やことわざがたくさん掲載されています。高学年なら、「知ってる・知らない」を、自分で確認できるでしょう。

第5章「ことばで伝える」は、自分の気持ちを、ことばや文章でどう伝えるかをアドバイスしてくれる章です。作文を書く前に見ると、とても参考になると思います。

最後の第6章「ことばを読み取る」は、文章の読み取り方、つまり読解力を育てる章です。ドラえもんマンガの1シーンを例に、マンガに出てくるドラえもんたちの表情やふきだしから、心の中を読み取ったり、文章の中にかくされた気持ちを考えます。

さすが麻布の先生!と思ったのは、ことば、慣用句、文章の書き方・読み取り方という国語力のエッセンスが、1章から6章までにしっかりおさまっていること。本当に素晴らしいと思いました。

国語が苦手なら親子一緒に楽しんで

この『ことば図鑑』は、特定の学年向きということはありません。もちろん国語が得意かどうかも関係なく、どんな小学生にもおすすめです。国語や読書が好きな子なら、黙って渡してあげれば、自分スタイルで見て・読んでいくと思います。

問題は、国語が苦手、文章を読むのが嫌いという子の場合。あらかじめ親御さんが、全ページをめくっていただくといいのではないかと思います。大人でも、知らない言葉や知らない知識がいくつかはあるでしょう。また家庭内の日常会話の中で、この図鑑にのっていることばを使っているかどうかもチェックしてみてください。子どもの語彙力にもっとも大きな影響を与えているのが、無意識に発せられる家庭内のことばだからです。

昨今、大人も含めて読解力の低下が問題視されています。しかも高学歴の人の中にも読解力がない人がいることが判明。いくら多くの文章を読んでいても、字ヅラだけを追っていると読解力はつきません。それに読解力には相応の語彙力も必要です。最近ネットで、「琴線に触れる」と「逆鱗に触れる」が同じ意味だと思いこんでいる人が多数いることが話題になっていましたが、そんなお寒い状態はなんとしても避けたいものです。

子どもたちには、暮らしの中で楽しみながら語彙力・読解力を身につけ、自分の心の中を表現できるようになってほしいと思います。そうすれば自ずと国語だけでなくその他の科目の成績もあがっていくでしょう。この『ことば図鑑』を道標にして、ぜひ親子一緒に楽しく、ことばとのおつきあいを続けてください。

小学生のための ドラえもん 読解力をつけることば図鑑

原作/藤子・F・不二雄、監修/中島克治、小学館刊、定価1980円(税込)

ドラえもんと一緒に読解力を楽しく伸ばす! ドラえもんのマンガとひみつ道具で、楽しく学べる! ドラえもんやのび太くんは、このときどんな気持ちなのかな? この気持ちをことばにすると何だろう?――ドラえもんのマンガで主人公の気持ちを読み解く練習から、実際に入試で出される読解表現を、麻布中学校の中島克治先生が解説。確実に語彙力と読解力が身につきます。

【本書の特徴】
総ルビ、ドラえもんのマンガで、1年生から楽しく読める! 読解文を読むための、語彙力がつく! 登場人物の気持ちを読み取り、表現する力がつく!