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6月のオープンキャンパスでは、たくさんの小学生を“1日純心生”として迎えた東京純心女子中学校・高等学校。松下校長による国語の体験授業では、保護者が感動する一幕も。今回は、理系の授業スタイルにスポットを当て、理科の岡貴之先生にインタビューしました。先生のこだわりの授業のなかに隠された、純心生の元気の秘訣とは…!?

「自分で考えさせる」がポリシー

授業風景1
自分で考えさせる「探究型学習」
課題に対して生徒が自ら調べ、情報を精査し、考えをまとめていきます。
(写真はオープンキャンパスでの様子)

純心の指導ポリシーは、「生徒に自分で考えさせる」こと。その理由について、岡先生は、「人は、人を真似ることから始めます。それも悪いことではありません。ですが、そればかりになってしまうと、対象となるもののかたちが変わったとき、対応できないということが起こり得るのです。本校は、その脱却を図るため、生徒に自分で考えさせる機会を多く取り入れています」と語られます。

めざしているのは、いわゆる「教えない授業」です。これは、生徒が能動的に学ぶスタイルを意味しています。そのための試みの一つが「教科横断型」の授業です。昨年、理科の時間を利用して行われたのは、長崎県の諫早湾干拓事業の、開門問題をテーマに掲げてのディスカッションおよび、プレゼンテーション。法律、統計、生物など複数の分野が絡み合う問題のため、理科だけでなく社会、国語、数学の教員も集まりました。生徒が、答えのないテーマについて考えるこの授業は、「教えない授業」の土台となるといえるでしょう。

一方で、忘れてはならないのが「基礎学力の大切さ」です。大学入試改革で求められる思考力・判断力・表現力にスポットが当たるなかでも、ベースとなるのは基礎学力。「中1から高1くらいまでは、体験の機会を大切にしながらも、ベースとなる基礎学力をしっかり身につけさせていきます」と岡先生は強調されます。

失敗さえもプラスになる!? 理科の授業

具体的には、どのような授業が展開されているのでしょうか。「自分で考えさせる」授業の一例として、岡先生が担当される理科の授業についてうかがいました。

理科主任 岡 貴之 先生
理科主任 岡 貴之 先生

インターエデュ(以下、エデュ):理科の授業を担当されるなかで、工夫されていることを教えてください。

岡先生:生徒が経験・体験することを重視し、実験をメインとした授業を展開しています。というのも、「考える」ためには、まずその素材となる「体験」が必要だからです。しかしながら、現代を生きる生徒たちというのは、日常生活での「体験」の量が圧倒的に減っていると思います。公園の減少や、携帯電話の普及などにより、外で活動する機会が少なくなっていることが原因の一つではないでしょうか。

授業風景2

エデュ:具体的な授業の進め方にも、何か秘密はあるのですか?

岡先生:新しい単元に入ったとき、理屈を教えたあとに実験で検証させるのではなく、先に実験をさせてから理屈を教えるようにしています。理由は、その単元の規則性や法則性を自分たちで見つけてほしいからです。実験結果からどんなことが考えられるのか、考察することに時間をかけて指導しています。根気よく考え続けることで、生徒たちもかなりしっかりとした考察が書けるようになってくるんですよ。

エデュ:なかには、うまくこなせない生徒もいませんか?

岡先生:理科では、基本的に「失敗していい」という考え方。むしろ、失敗は必要な経験だと思っています。必ず大学や社会で活かされますから。ただし、失敗したら、「なぜ失敗したのか」を検証することが不可欠。それさえできれば、失敗も勉強の一つになるのです。

「とにかくやってみる」が生徒の元気の源に

岡先生のお話からもわかるように、失敗を恐れずチャレンジさせて、何かあったときは一緒に調整していく、というのが純心の指導スタイルです。結果として、生徒たちの、のびのびとした成長が見受けられます。岡先生は、「活発で元気のある生徒が多いです。教員が干渉しすぎず、生徒のやりたいことをやらせているからかもしれませんね」と話されます。

岡 貴之 先生

そうして育まれる純心生たちは、高1から高2にかけて進路選択の機会を迎えます。高1秋に「進路研修」へ出かけ、泊りがけで進路について考えてから進級。高3は選択科目が非常に多く、希望する進路や、行きたい大学の受験科目に合わせ、学ぶ内容を細かく選べます。「生徒の潜在的な力を引き出したり、伸ばしたりするのがわたしたちの役目。生徒が進みたい道があれば、どんな力が必要なのか一緒に考えています。やりたいことを、とにかくやってみたい。そんな子どもたちの思いを、大事にしていきたいですね」(岡先生)

編集者が見たポイント

純心では、「課題解決スキル」を身に付けるためのプロセスを、教科授業と図書館が協働して指導を続けてきました。教科横断型授業のような新しいスタイルを取り入れるなかで、きめ細やかな支援体制や、学びのベースとなる基礎学力を大切にされる同校。独自の「教えない授業」のスタイルが、今後磨かれていくのではないでしょうか。

校内風景1
校内風景2
イベント 日時
適性検査型入試説明会 12月23日(水・祝) 13:00~
クリスマス・ページェント ※要予約 12月23日(水・祝) 14:30~
入試体験会ファイナル! ※要予約 2016年1月9日(土) 14:00~