入試直前情報

2020年度中学校入試 各教科の対策ポイント

国語科

分野:説明的文章

説明的文章では本文に書いてある内容を丁寧かつ正確に読み取れる力があるかどうかを問うています。段落と段落の関係、文と文の関係(原因-結果、逆接、具体-抽象、言い換えなど)を意識しながら読めるかどうかがポイントになります。それらの関係を捉えながら筆者の主張・本文の内容を読み取ることが大切です。また、語句に関する問題も出題されます。熟語やことわざなどを丸暗記するのではなく、生きた文章の中でどのように使われているのかを考えさせる問題です。

分析:基本的な読み取りの力がついている受験生にとっては易しい問題だったようですが、文章をとばし読みしてしまったり、漫然と読んでしまった受験生にとっては難しく感じたようです。本文の内容から解答が分かる問題なので、これからの受験生も文章を丁寧に読むように心がけてください。また当然ですが、入学試験は「試験」なので設問にしっかりと対応した形で解答することが求められます。「抜き出して答えなさい」なら本文と違わず抜き出す、「なぜですか。」と問われれば「~だから(~ので)。」とか、「どういうことですか。」であれば「~ということ。」といった形です。しかし、残念ながら設問に対応していない解答が多く見られました。設問文も早合点せず、落ち着いて読むことが大切です。

分野:文学的文章

文学的文章では登場人物の心情を中心に、場面、情景描写などを読み取れるかを問うています。文章に描かれている状況を自分の中でイメージできるかどうかがポイントになります。イメージするにはこれまで培ってきた自分の経験が頼りです。普段から多くのことを経験し、それに対する自分の考えや気持ちを大切にしましょう。また、文学的文章の中では独特の表現や擬音語、擬態語が使われている場合が多くあります。そういった表現を的確に使いこなし、読み取ることも大切です。

分析:文学的文章では自らの感情を移入しやすいため、自分の感覚でのみ解答した答案を多く見受けます。しかし、あくまでも書かれている文章から登場人物の心情を読み取ることが重要です。また、場所や情景描写に関する表現を読み取る力は、多くの優れた作品に触れることで磨かれます。名作といわれる文章を積極的に読むようにしましょう。

分野:言語要素

基本的な言語の知識(漢字・慣用句・ことわざなど)が身についているかを問う問題です。また、表やグラフの読み取りを出題します。

分析:こういった問題に関しては多くの参考書や問題集が出版されています。それらを利用するのもよいと思いますが、普段から言葉に関して敏感になることを意識しましょう。熟語の成り立ちに関しては練習すればできるようになります。逆にこのような問題に触れたことのない受験生は問題の意味すらも理解できなかったようです。対策としては言葉や語句に関するさまざまな問題に触れておくことが望ましいと思います。

数学科(算数)

分野:小問集合

基本的な計算能力を確認することが目的です。また、計算の工夫をすれば簡単になるものもあります。小問集合では、単位の換算、割合と比、角度、長さ、面積、場合の数、数の性質、還元算、差集め算、年令算、過不足算、平均算、特殊算などの入試問題の基礎力を確認します。

分析:大部分の受験生が解答し、正解になっていました。ここでの配点が40点くらいありますので、この問題の得点が合格圏に必要と考えられます。

分野:応用問題

さまざまな単元から出題しています。数の性質、規則性、場合の数、2量の関係、立体図形の構成、角度、面積、体積、旅人算、倍数算、植木算、差集め算、消去算、相当算、流水算、図形の問題で面積を求める問題、立体図形の形を問う問題もよく出します。入試問題の基本を確認します。

分析:5~7題中、半分以上正解の受験生が合格圏内に入っています。大体の受験生が全問題に解答しています。

分野:文章題

文章題を読み、立式させる問題が出ました。受験生の理解力、分析力、発想力を問う問題です。

分析:受験生の理解不足、分析の不十分、発想力の不足のため得点にはなかなか結びつきませんでした。しかし、3割ほどの受験生が、よく挑戦し高得点を挙げていました。文章題を正確に読み取る「読解力」に加え、文章やグラフなどを利用・分析・熟考し、活用する力が求められます。

社会科

分野:地理

日本と世界各地の気候や産業の特色について出題しています。これらの問題を解くためには、世界の主な国々や日本の都道府県の位置と名称を覚えていることが前提条件となります。各地の細かいことを知らなくても、その位置と地形から気候は推測できます。また、各地の産業についても、各産業に適した気候や地形、そのほかの条件を理解していれば、そこから答えを導くことができるでしょう。そのほか、地図やグラフ、表の読み取りを出題しています。

分析:都道府県名の書き取りは、例年差のつくところです。正しく漢字で書けるよう、繰り返し確認しましょう。また、グラフや統計資料の読み取りに慣れておくことも重要です。世界地理に関しては、誤答の中に国名の混乱が見られました。日本と結びつきの深い国や主要な国については、位置と国名を確認しておきましょう。日常生活の中で触れる気候や産業など、地理的な事象に興味を持ってください。

分野:歴史

小学校で学習した人物や出来事からの出題がほとんどです。各時代に関する絵や写真などの資料を読み取る問題もあります。資料にはその時代ならではの情報がたくさん詰まっています。初めて見る資料でも、そこに隠されている時代のヒントを読み取ってみましょう。そのほか、歴史を動かす大きな出来事については、その原因と結果を正確に理解しているか、正誤問題や説明問題で確認しています。

分析:地理に比べ正答率の高い分野ですが、正誤問題には苦戦しているようです。学習するとき、「なぜ、どうしてこのようになったか」「その出来事がどのような結果をもたらしたか」を整理することをおすすめします。また、資料問題に強くなるためには、ただ歴史的な事柄を暗記するだけではなく、絵や写真、地図などの資料をよく見ておきましょう。ぜひ過去問に取り組んでください。

分野:政治・時事問題・環境問題

この分野は大問として独立して出題されない回もありますが、地理分野・歴史分野の問いと関連して数問出題しています。国や地方の政治や選挙のしくみ、国の仕事と役割、裁判のしくみなどについて問うています。多くは基本事項の確認ですので、教科書などでしっかり復習しておきましょう。また、各設問に関する時事的要素の高い問題もあります。

分析:一問一答形式の学習方法だけではなく、「なぜそうなっているのか」を説明できるようにしておくとよいでしょう。また、時事問題や環境問題など今日的な課題については、テレビや新聞などから得られる世の中の動きに敏感であることが大切です。

理科

分野:生物(生物と環境)

入試の回によって、大きく2つの出題傾向に分かれます。一つは、基礎的な知識を問う問題です。もう一つは、初めて見る問題でも文章を理解し、解答する力があるかどうかを確認する、思考を大切にした問題を出題します。また、生物は地球環境に関する出題も含みます。

分析:基礎的な問題はできていますが思考力を要する問題や文章が長い問題は大きく正答率が下がります。制限された時間の中で素早く問題を読み取り解答する力が必要になります。

分野:化学(物質と変化)

例年、ものの溶け方、水溶液の性質、ものの燃え方、気体の性質の分野を主に出題しています。本校ではこの分野で計算問題を出題することがたびたびあります。よく問題を読み、基本的な問題が解けるかを確認します。

分析:計算問題になると正答率が下がるようです。この分野については特に計算問題をしっかりと練習してください。

分野:物理(運動とエネルギー)

基本的なことがしっかりと理解されているかどうかを問う問題が多いです。光と音、電池・電流のはたらき、おもりのはたらきの分野を主に出題しています。また、自然現象を想像し、考えて解かなければならない問題も出題しています。

分析:どの問題もさほど難しくない問題です。見たことのない問題も落ち着いて考えれば、解くことができる問題です。問題の難易度は問題集の標準程度になります。

分野:地学(地球と宇宙)

流水のはたらき、天気の変化、太陽と月、星とその動きの分野を主に出題しています。特に天体の分野では方向や位置関係を想像できるかどうかがポイントになっています。文章を読み、実際の自然現象に結びつけられるかどうかを確認しています。また、台風や地震といった自然災害に関する知識も出題されます。

分析:基礎的な知識問題は標準の問題集で確認しておいてください。また、普段から身の回りの自然に興味を持って考える練習をしてほしいです。

英語技能入試

英語は英検3級レベルの問題を出題します。CEFR A2以上の英語資格取得者は筆記試験を免除します(面接のみで受験可)。

100点/50分(リスニング40点+筆記60点/最初にリスニング問題を15分放送)
※リスニング:会話などの内容理解/筆記:語彙、文法、読解、自由英作文(英検3級に準拠した出題形式)

分野:語彙(英単語)と文法

初歩的な英語運用能力を測ることが目的です。例えば、色、スポーツ、動物、食べ物、家庭内のものを含め、日常生活で使う単語が出題されます。さらに前置詞で、位置や場所を示す英単語を理解できるかどうかもポイントになります。

分析:限られた時間内に正確に英文を読み取り、英文を構築する力が必要です。出題レベルは基本的なものが多くを占めていますので、ケアレスミスのないよう心がけましょう。

分野:読解

あるパッセージを読み、その内容についての質問に答える問題です。テーマは受験生の身近にある内容で理解しやすい問題です。英検3級レベルの内容です。

分析:2つのテーマで、問題数は6~10題程度出題します。時間内に正しく英文を理解し、読み解く力が求められます。普段から簡単な英文に触れておきましょう。

分野:計算

英語の文章で読み取りをして、その情報を理解した上で計算できるかどうかを問う問題です。例えば、ある活動に11時から4時までかかったという英文を読んで、「計5時間かかった」と理解することが必要です。この問題は登場人物、日にち、曜日、数字、お金などに関する情報処理・論理能力が必要です。

分析:どの問題もさほど難しくない問題です。見たことのない問題も落ち着いて考えれば、解ける問題です。

分野:リスニング

リスニング試験は選択問題と記述問題に分かれます。第1部の選択問題は、放送された話や対話の内容についての問題です。第2部は会話問題です。最初に放送を聞き、「音が鳴る部分」に会話が成り立つように英文を補充する問題です。第3部はクリティシカルシンキングを図る問題です。放送された話や対話を聞いた後に、質問に最も適切な答えを書く問題です。すべての問題は2回繰り返し放送されます。

分析:場面に応じた会話表現力を問う問題です。英語による表現力が豊かであればあるほど、解答するのも易しくなります。会話表現にも多く触れて、幅広い表現力を身につけておきましょう。

分野:英作文

[例]昨日の日記を英語で書きなさい。
実際に行ったこと1つにつき1文以上で書き、4文以上書くこと。

個人面接

面接票記入20分 面接5分~10分程度
※面接は日本語で行い、志望動機、英語の学習経緯、学校生活のことを中心に質問します。なお、2回受験した場合は、1回目のみ面接を実施し、2回目は実施しません。

適性検査型入試

都立中高一貫校の適性検査Ⅰ・Ⅱの形式に準拠しています。小学校で学習する国語、算数、社会、理科の知識を活用して文章を読み解き、論理的に表現する力、与えられた資料や条件を整理して課題を解決する力を評価します。

適性検査Ⅰ

100点/45分
・課題文(評論文やエッセイなど、2000字程度)を論理的に読み解き、自分の考えを適切な日本語(350~400字程度)で表現する問題
・文章を正確に読み解けているか確認する問題(選択式を含む)

共通テーマについて異なる視点から述べられた文章を読み、基本的な読解問題(指示語・抜出問題など)を解いた上で、テーマに準じた内容で意見を表現する問題に取り組みます。自身の根拠をもとに、いくつもある「答え」を述べる力を見ます。

分析:まずは本文に沿った読解をし、基本的な問題を通じて論点を明確にすることがポイントです。文章記述については、設問分を捉えきれず、論点のズレによる失点をしてしまう事例が多く見られます。いきなり書き出さず、落ち着いて問題を読み、論立てすることで一貫性のある文章になります。

適性検査Ⅱ

100点/45分
・小学校で学習する算数、社会科、理科の知識を用いた問題
・自然現象や社会の事象を表した資料、グラフを読み解き、思考、表現する問題

分野:算数

立体の観察から分かること、関連する事柄を具体的にイメージすることができるかどうかを見ます。

分析:紙に書かれた立体のイメージが、できたかどうかが正解、不正解の分かれ目になりました。

分野:社会

いくつかの資料から情報を読み取り、自分の考えを論理的かつ適切に述べられているかを見ます。

分析:資料の読み取りに正確さを欠くものが目立ちました。日頃から社会的事象に関心を持ち、自からの考えを表現する練習をしてください。

分野:理科

理科に関する問題では、小学校で学ぶ基本的な理科知識をもとに、身の回りの現象や実験データを読み取り、思考し、表現する力を評価します。正しい実験結果を正解として答えるだけでなく、「〇〇を確かめるためにはどのような実験を行えばよいか」といった実験手法を考える出題もあります。

分析:問題文を正しく読み、解答に必要な条件を整理し、記述で答える練習をしましょう。難しく見える問題ほど、問題文の中にヒントがたくさん書かれているのであきらめずに注意深く読みましょう。

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2020年度高校入試 各教科の対策ポイント

国語科

出題分野:長文読解

例年、長文問題は2題出題しています。大きく評論文と小説に大別できます。評論文については何よりも書いてある内容を正確に読み取ることを求めています。また、文と文、段落と段落の関係を読み取ることから、文章の全体像をつかむことを求めています。小説では登場人物の心情変化、およびその理由、情景描写や表現の特徴などを読み取ることを求めています。また年によっては小説の代わりに古文が出題されることもあります。古文については基本的な読解や古文常識の問題を出題しています。

分析:評論文では前後の文脈を読み取り、接続語を補充する問題は例年出題されています。記述式の問題では書いてある内容を抜き出して答えるだけでなく、制限字数にまとめる能力も求められます。小説では直接的な表現から解答を導くというよりも、登場人物の表情・仕草・言葉などから心情を読み取る問題が多く出題されています。古文では、省略されている言葉を補いながら読むことが必要です。文脈から省略されている言葉が何なのか考える習慣をつけましょう。

出題分野:国語常識

中学校までで学習する内容から多岐にわたって出題しています。漢字、文法、慣用句など、日常から意識的に使い、慣れ親しんでいることが求められます。また、大問で古文が出題されない場合、基本的な古文常識などはここで問われている場合があります。

分析:出題は多岐にわたりますが、いずれも中学校の学習範囲を逸脱するものではないので、中学校の授業で教わったことをいかに日常で意識して使っているかが重要になると言えます。問題集などで対策を講じるのもよいですが、日頃から漢字や慣用句を使ったり、日常の読書や会話に出てくる言葉の文法構造を確認したりすることも大切です。

数学科

出題分野:計算力

例年、大問1と2は、基礎的な計算力を見る問題です。多項式の計算、根号のついた計算、式の展開、因数分解、1次方程式、2次方程式などが出題されています。難易度は教科書の章末問題のレベルです。式の展開や因数分解などは「一工夫」することで、簡単になる場合もあるので、そのような問題にも取り組むとよいでしょう。

分析:基礎的な計算力があるかどうかを見るので、繰り返し計算練習をしてください。配点も大きいので、ここでミスをしないことが重要になります。教科書の章末問題をたくさん解くこと、本校の過去問で傾向をつかんでおくとよいでしょう。

出題分野:関数

2乗に比例する関数y=ax²はほぼ毎年出題されています。直線や図形との融合問題になることもありますが、難易度は高くありません。そういうタイプの標準的な問題をたくさん解いてください。また、「変域」や「変化の割合」の意味をしっかり理解しておいてください。

分析:直線で囲まれた部分の面積を求める問題もよく出題されています。等積変形の考えなど、「図形的な見方」をするとより簡単に求められる場合があります。問題集などで、同様の問題に取り組むとよいでしょう。

出題分野:図形

角度や長さを求める問題は毎年のように出題されています。こちらも標準的な問題ばかりですので、確実に求められるようにしましょう。面積比や体積比を求める問題、三平方の定理を使って解く問題も頻出問題です。基本的な問題をたくさん取り組んでください。

分析:図形の証明が出題される場合もありますが、ほとんど穴埋めです。文章をよく読んで、対応する角や対応する辺に気が付けば難しくはありません。

出題分野:確率(場合の数)と統計

大問に含まれている場合と、独立した問題になっている場合があります。いずれにしても基本的な問題で、表や樹形図を書けば解けるので面倒がらずに書くようにしましょう。

分析:本校の問題は全体として標準レベルです。教科書の章末問題を確実に解く、本校の過去問に取り組んで傾向を知っておくことです。

英語科

出題分野:長文読解

例年、長文問題は2題出題しています。内容は伝記、説明文、物語、対話文などから出題されており、標準的な長さ、難易度と考えています。基礎的な読解力を試す設問が多く、難問や奇問などは出題しません。当然のことながら、長文の円滑な読解には単語力・熟語力が必要です。常日頃からこれらの習得に取り組んで下さい。また、かなり広範囲にわたり、中学英語の基礎事項を網羅していますので、まずは文法の基礎力をつけることが大切です。

分析:設問形式は多岐にわたり、長文読解問題の中に語彙力や文法力を問う問題もあります。語形変化、適語選択、整序結合、適文選択、英文解釈、単語発音、語句解釈、英文和訳、内容真偽、内容一致など、ほぼ毎年出題されている設問もありますので、本校の過去問を購入して設問形式に慣れることをおすすめします。

出題分野:文法・語彙

中学で学習する英文法からまんべんなく出題されます。正確な語彙能力はもちろんのこと、総合的な文法能力が必要とされます。良質な、文法問題集を1冊購入して、それを繰り返し何度も解くことによって知識の定着を図ってください。

分析:適語(句)選択・補充、書き換え・同意文完成、整序結合、基本的な会話文の知識など、ほぼ毎年出題されている設問もありますので、本校の過去問を購入して設問形式に慣れることをおすすめします。特に現在完了、不定詞、関係代名詞などは理解必須の単元です。

出題分野:作文

ここ数年、整序結合問題を中心に出題しています。ただし、2014年度入試より、整序結合ではない純粋な英作文の出題をしています。自己紹介、特技・趣味、身近な出来事などを英語で書く練習をするとよいでしょう。また、英語で日記をつける練習も効果的だと思います。

分析:単語、熟語、重要構文、基本文型の確実な定着が必要です。

リスニング

長さは10分程度。100点中15点の配点です。

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