革新的女子教育で自分の人生をデザインできる女性になる
inter-edu’s eye
1890年創立の神田女学園中学校高等学校(以下、神田女学園)では、広尾学園や開智日本橋学園で手腕を振るい、共学化やIB導入などを実現してきた宗像諭先生が昨年度から校長に就任。伝統を大切にしながらも大胆な学校改革を推進し、高い注目を集めています。今回は宗像先生にインタビューを行い、学校改革に対する思いや次世代の女子教育について、じっくりお話をうかがいました。
認知度が高まり、有名女子校との併願が増加
インターエデュ(以下、エデュ):昨年度の学校改革について、詳しく教えてください。
宗像先生:学校改革を成功させるために、新しい教育プログラムの導入や教員の入れ替えを行うことよりも、学内の財産を見つけ出し、それが「どうしたら光り輝くか」を考え実行してきました。学内に点在する魅力的な教育プログラムに対して意味づけをし、それぞれをつなぐ作業です。具体的には、留学プログラムを「英語学習のアウトプットの集大成」として位置づけたり、語学学習スペース「K-SALC」をネイティブ教員とのマンツーマンレッスンの場にしたり、ディスカッションや多読をしたりする言語運用能力を高める場所として活用したことなどです。
エデュ:意味づけを行ったことで、どのような成果がありましたか?
宗像先生:まず在校生に活気が出てきました。何を目指すプログラムなのか、なぜそれをするのかなど目標を持つようになりました。そして、教育内容や魅力が伝わりやすくなり、学校の認知度が高まりました。中学入試においては山脇学園や共立女子など、錚々たる女子校との併願者が増え、そのうえで受験生の82%が本校を私立校の第一志望にしてくださっています。高校入試では83.7%が本校を第一志望にしてくださり、目に見える成果が出て、本校の今までとこれからの取り組みに大きな手応えを感じています。
エデュ:学校改革に対する在校生や保護者の反応はいかがですか?
宗像先生:大変好評を頂いています。特に嬉しかったのが、保護者からも「ワクワクしてきました」と言って頂いたことです。保護者が学校を褒めることは生徒のモチベーションアップにもつながるようで、保護者の方を通じて受験生が来校していただいたり、「あの先輩が通っているから…」などのご紹介も増えています。もちろん、授業全体が活気づき、どの生徒も楽しそうにしていますし、中学3年生の8割以上が英検準2級を取得するなど、学力も確実に向上しています。
神田女学園が行う“次世代の教育”とは? ≫生徒が将来像を明確に描けるよう、道筋を示す
エデュ:本年度から導入している「ダブルディプロマプログラム」について教えてください。
宗像先生:海外の学校に在籍して学ぶことで、現地校と本校両方のディプロマ(卒業資格)が取得できるプログラムです。留学先はアイルランドとニュージーランドの2か国があります。アイルランドは非英語圏のヨーロッパの人々の留学先として人気があり、英語力の向上に加えて多様性への理解を深めることができる環境です。ニュージーランドは本校の姉妹校で安心して過ごしながら、実践的な英語力を磨くことができます。
さらに、2021年度にはカナダも留学先に加わる予定です。この学校は本格的な理系教育を行うトロント屈指の名門進学校なので、理系や海外大進学を目指す生徒に最適だと思います。単なる「現地校の卒業資格(帰国生になる)」だけでなく、本人の目標や英語レベル、留学の環境も選べるのが本校のダブルディプロマプログラムの特徴です。
エデュ:留学制度の充実により、進路の選択肢も大きく広がりそうですね。他に推進しようと考えていることはありますか?
宗像先生:今までは「教育プログラム」を改善してきましたが、これからは、「コース・クラスを再編成」して、将来への道筋をより明確にします。これまで130年間積み重ねてきた歴史ある本校の教育プログラムを時代に合わせてアップデートしてきましたので、次は生徒が社会に出る10年後に役立つようなコース・クラス編成を作り上げられたら…と考えています。
エデュ:新たなコース・クラスについて、詳しく教えてください。
宗像先生:まず中学ではグローバルクラスをさらにレベルアップしてDDP候補生クラスを作ります。DDPを目指す目指さないに関わらず、レベルの高い英語指導を受けることができる環境を整えます。さらに本物のグローバル教育を実践するために前任校でのノウハウを用いて「世界水準の教育プログラム導入」に着手します。
高校では国際教養コース、高度教養コース、総合教養コースの3コース制とします。国際教養コースはグローバルな価値観や真の英語力の養成を目指すコースで、前述のダブルディプロマプログラムに参加する「ダブル・ディプロマ・プログラムクラス」と、中長期の留学で多様性を理解し、グローバル社会で活躍できるキャリアを形成する「ロングステイ・プログラムクラス」に分かれます。また、総合教養コースは圧倒的基礎学力から応用力までを身につけて、国公立・難関私大を目指し将来の選択肢を広げる「フューチャー・デザインクラス」と、学校生活を楽しみながら自身の可能性を探る「ディプロマクラス」としました。これらは、今までの本校の良い部分を具体的にしたコースです。
そして、次年度から新設する「高度教養コース」は、医療の道を志す生徒のための「メディカル・テクノロジークラス」と、言語運用能力を高めて外資系企業やCAなどを目指す「ランゲージ・アーツクラス」としました。これらのクラスでは次世代に求められる教育と女性だから挑戦してほしい分野に絞って質の高い教育を目指します。特にキャリア教育では、真の医療人になるべく社会の最適解について医学の立場から考えたり、世界の主食の分布を分析し、それが言語文化とどのように関係しているのかなどクラスによって教科の枠を超えた学びで特色を出すようにしています。
【高校新コース】
コース | クラス |
---|---|
国際教養コース | <特徴:現地校卒業>ダブル・ディプロマ・プログラムクラス <特徴:中長期留学>ロングステイ・プログラムクラス |
高度教養コース | <特徴:医薬看医療>メディカル・テクノロジークラス <特徴:多言語運用>ランゲージ・アーツクラス |
総合教養コース | <特徴:難関国私大>フューチャー・デザインクラス <特徴:自己実現> ディプロマクラス |
「ジブン」の「ドラマ」を「デザイン」できる品格ある個人へ
エデュ:神田女学園が推進する“革新的女子教育”について教えてください。
宗像先生:「ジョシ」だからこそ「ジブン」のドラマを「デザイン」できる人間、つまり、自分自身の人生設計ができる人間になってほしいと願い、教育プログラムを作り上げています。昨今医学部受験での女性差別が問題になるなど、未だ女性が従事するのが難しい分野もありますが、そのような分野にも堂々とチャレンジできるよう、生徒を力強くサポートします。さらに、ただ学力を伸ばすのではなく、深い知識と広い教養を備えた品格ある個人に成長できるよう、生徒を導いていきます。自分で「ジブン」のドラマ=人生をデザイン=歩んでいくことは本人にしかできないことです。難しい選択を迫られた時でも自分の価値観で選ぶことができる思考力・判断力・行動力を身につけることができるとようになってほしいと考え、次世代の教育に挑戦しています。
エデュ:“「ジョシ」だからこそ”という言葉には、どういう思いが込められていますか?
宗像先生:女性はライフステージが複雑で、結婚や出産、子育てなど、男性よりも選択を迫られる場面が多くあります。本校で過ごす6年間で自分の考えを持てる人間になってほしいですね。自己の価値観を築けるように環境を整えることは、多感な時期の女子を預かる学校の使命だと思っています。それゆえ女子ではなく「ジョシ」であり、女子校ではなく「女子教育校」だと考えています。高度医療社会で活躍する、グローバル企業で多言語を使って輝く、現地校で貴重な3年間を送る、そして国内の国公立難関大を目指して努力する、貴重で尊い中高6年間の部活や学校生活を全力で過ごす、どれもとても大切な「自己実現」だと考えています。
自己実現を可能にする新しいコース・クラスをチェック ≫編集者が見たポイント
ウイルスの影響による5月末までの休校期間を「自宅学習期間」としていた神田女学園。期間中はオンラインでの授業やHRはもちろん、カウンセラーや養護の教員が生徒の不安や悩みを聞くカウンセリングも行っていたそうです。学習面だけでなく、メンタル面まで細かくケアしてくれる学校の体制は、親御さんにとって非常に安心だと感じました。
今後のイベントスケジュール
イベント名 | 日時 |
---|---|
中学教育内容説明会 | 7月11日(土) 10:00~ |
高校教育内容説明会 | 7月11日(土) 14:00~ |
おうちde首都模試 | 7月12日(日) 10:00~ |
高校教育内容説明会 | 7月18日(土) 14:00~ |
イブニング説明会 | 7月22日(水) 18:00~ |
中高教育内容説明会 | 8月1日(土) 14:00~ |
中学教育内容説明会 | 8月22日(土) 10:00~ |
高校教育内容説明会 | 8月22日(土) 14:00~ |
高校教育内容説明会 | 8月23日(日) 10:00~ |
中学教育内容説明会 | 8月23日(日) 14:00~ |
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