共学校の女子生徒が過ごしてきた学校生活

inter-edu’s eye
2017年に校長へ就任した大塚勝之先生によって提唱された新教育構想がスタートして丸3年が経った日本工業大学駒場中学・高等学校(以下、日駒)。従来の高校工業科を廃止して、普通科専一による進学校化を目指し始めた日駒ですが、まさにその大きな教育改革の過渡期を中学生として過ごした現高校生の皆さんから、入学以降の学校生活全般について、さまざまな角度からお話を聞かせていただきました。
元気あふれる日駒女子の日常
日駒の学校生活では、女子生徒の存在が学年ごとの特色を決める重要なファクターとなっています。そういった理由から、中学から内進した高校2年生の3名を対象にインタビュー取材を行いました。

中学3年間の過ごし方や友だちづくりの思い出を教えてください。
清宮さん:誰も知り合いがいない入学式でしたが、隣に座っていた子とすぐに仲良くなれました。中1の4月に新潟に訪れる宿泊行事のフレッシュマンキャンプでは、学校生活のマナーを学びながら全員と話せたことを覚えています。
曽根崎さん:入学前に当時副教頭だった大塚先生(現校長)から、私が日駒に来たのは運命だと言われた覚えがあり、とてもフレンドリーなことに驚かされました。実際に入学してからは、お調子者と思われても盛り上げ役になるようにずっと心掛けてきましたね。周囲は思っていたよりも人見知りが多かったのですが、諦めずに話しかけていたおかげで今は男子とも分け隔てなく仲良く過ごしています!
加藤さん:幼馴染みと一緒に入学したので不安はありませんでしたが、みんなと仲良くしたかったので積極的に会話に参加していました。授業中のペアワークで話す機会がたくさんあったので、いつの間にか自然に仲良くなれていました。

みなさんは部活動でとても頑張ってきたそうですね。
加藤さん:清宮さんと同じ部活動に入って、全国大会出場を目指そうと先輩のサポートを受けてきました。自分の練習をしながらも後輩の面倒を見る必要があったのですが、私自身に技量がないと指導できないという焦りとずっと闘ってきました。特に、先輩からは挨拶などの基本的なマナーを学ばせてもらったことに感謝しています。
曽根崎さん:中3の時点で6名だけだったダンス愛好会のメンバー数が、昨年一気に増えたんです。今年になって、工学科が使用してきた地下スペースに念願だった鏡張りのトレーニングスタジオを用意してもらえました。ようやく効果的な練習ができるようになって、とても楽しい毎日を過ごしています。

高校生になってからの過ごし方に変化はありますか。
清宮さん:高校生になってからは生徒数が一気に増えるので、コミュニケーションを取るために自分から話しかけていくことが多くなりました。高1でも新入生と一緒のオリエンテーションや宿泊合宿があって助かりました。中学から一緒だった男子たちも大人になってきたのか、優しく接してくれるように変わってきたような気がします。
曽根崎さん:女子生徒の数が少なめなので、中学の時と同じように高校入学式のタイミングで既に仲良くなっています。中学で3年間を過ごした私たち内進生が、先生方の良さや勉強方法を高入生に教えるといった気遣いもしています。

今年の学校行事は大変だったのではないですか。
加藤さん:昨年楽しみにしていたスキー合宿は雪が降らなかったので実施できませんでした…。 2020年度は修学旅行と体育祭も中止になってしまったので、せめて来年の体育祭ではクラスが一致団結してビリにならないようにしっかりと結果を残したいです。
曽根崎さん:日駒祭(学園祭)では後夜祭も併せて2日間ステージ上で自慢のダンスパフォーマンスを披露したのですが、例年に比べるとこういった機会が減ったのはとても残念です。来年が最後の参加になる日駒祭では、思い残すことが無いように頑張りたいと思います。
やっぱり気になる学習面での取り組み
ぜひとも聞いておきたい話題として、授業の様子や勉強への姿勢は欠かせません。最近変わってきたという学習面での取り組み方についても聞かせてもらいました。
日々の授業で工夫している事や特別なエピソードはありますか。
清宮さん:授業中に理解できなかった点を、放課後に先生に聞きに行くことが多いのですが、生徒一人ひとりにしっかりと時間を取ってくれているのが分かってとても心強いです。しかも、どこが理解できないのかを気にかけてもらっているのが伝わってきます。授業担当の先生が不在でも、同じ教科の先生に教えてもらう機会もあります。なるべく自分で解決できるよう、授業ではポイントを絞ることで集中しながら弱点を残さないように心がけています。
加藤さん:英語については長文で発表するスピーチコンテストが開催されます。特に中3は自分の考えた文章を話すので頭を悩ませた思いがあります。このように発表の機会が多いので、人前で話すことに抵抗感を持たなくなってきました。授業中は板書するだけでなく、自主的にコメントを付けて後で調べたり、重要な箇所に蛍光ペンで印を付けることが私独自の勉強法になっています。
曽根崎さん:中学の頃は「ファイトノート」を英数国の家庭学習に使っていました。国語は日記も提出するのですが、担任の先生がコメントを付けてくれたり、副担任の先生も目を通してもらえることが勉強のやる気につながっていました。自分流の勉強の進め方に不安があったからこそ、ノートにコメントで方法を示してもらったことで安心できました。毎日繰り返すダンスの練習で帰宅後は勉強に集中できないこともあるので、登校して朝一番で勉強をしたり空き時間を有効活用することで、授業中の集中力の質が良くなってきたんです!

勉強に具体的な手応えを感じることはありますか。
清宮さん:昨年までは理科がとても苦手だったのですが、新型ウィルスの影響で登校自粛期間となってからは自習を工夫してきたおかげで、いつの間にか得意科目になっていました! 昨年まで繰り返してきたテスト前後の補習や先生のアドバイスが、今になって活きてきたんだと思います。高校では自分に合った学び方を実践する必要があるのですが、最近は自分がどこまで成績を伸ばせるのか楽しくなってきているところです。
曽根崎さん:小学生の頃は算数が苦手だったので、中学では数学になり更にハードルが上がって嫌いになりかけていたくらいだったんです。そんな私を先生方が放っておかずに手厚く指導してくれたおかげで、今は数学が好きになりました。少人数のクラスで教われば苦手な気持ちも克服できるというメリットを強く感じることができました。
高校生になって今のコースを選択した理由を教えてください。
加藤さん:資格が必要な職業に就きたいと考えているので、理系の難関学部への進学を目指しています。周りのみんなが勉強を頑張っている姿を見て勇気づけられるような環境を期待して特進コースを選んだのですが、結果的に大成功でした。良い意味でのライバルとして刺激を与え合う仲間との競い合いで自信を身につけることができています。
曽根崎さん:中学から内進した仲間の多くが特進コースを選ぶなかで、私はダンス愛好会の活動を中心とした生活を過ごすために進学コースを選びました。中学時代とは異なり、高校から入学してきた生徒と共に過ごすことで、色んな個性を持った人たちとの接し方を学ぶことができました。私の性格に合った過ごし方ができるコースを選んだと思っています。
最後に、皆さんの後輩になるかもしれない受験生へのメッセージをお願いします。
清宮さん:受験本番を迎える最後の1年は、勉強だけで頭が一杯になってしまって焦る気持ちがよく分かります。そんな時は、優先順位をつけて一つずつ目標を達成していくことが大切ですが、もちろん全部をクリアする必要はありません。あなたにとって本当に必要なことを考えて、ペースを崩さずに進んでいくことを大切にしてください。
加藤さん:私自身も来年以降は受験生になります。志望校に向けた長期戦はモチベーションを保つことを一番に考えてほしいです。勉強を続ける熱意をキープするのはとても難しいですが、合格した後の学校生活を夢見ると気持ちも変わってくるはずです。後悔しないためにも、毎日の頑張りを積み重ねていけるように応援しています。
曽根崎さん:受験生には、まず糖分をとって欲しいですね! なぜなら、ストレスが溜まると頭が疲れるからです。私は将来のことを思い悩むことが嫌なので、がむしゃらに目の前にある勉強という辛さと向き合ってきました。ぜひとも入学した後の幸せな生活を想像してください。受験生が不安そうにしていたら、保護者の皆さんが励ましてくれるだけで心が安らぐはずです。例え思い通りにならなくても努力した分だけ楽しいことが待っているのですから、今できることを頑張り続けてください。
編集者から見たポイント
女子生徒3名からお話を聞きながら、この明るさはどこから出てくるものだろうかと考えていましたが、やがてその答えに行き当たりました。学校という限られた環境であっても、さまざまなエリアから集まった仲間たちと共に楽しく毎日を過ごせた経験が、生徒たちの自己肯定感を培ってきたということです。これはどの環境でも実現できるというものではありません。日駒がどのような教育を実践しているのかを知っていただき、わが子の学校選びの参考にしてほしいと願います。
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