inter-edu’s eye

女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)は、外国語教育にも力を入れています。フランスやイタリアなどの海外研修をはじめ、希望者を対象とした英語以外の語学講座まで幅広いプログラムを導入しています。今回は、女子美の外国語教育と海外研修に迫ります。

どんな学校?進路状況から見る ≫

実は一番多い外国語の授業!

中学校では、美術よりも授業時間が多い外国語の授業。実際に生徒は、どのような授業を受けて、語学力を身につけているのでしょうか。M.Iさん(高校2年生)、A.Iさん(高校3年生)の2人にお聞きしました。

時代の最先端を行く伝統校

女子美の英語授業では、通常の授業に加え、ネイティブスピーカー教員と日本人教員とのチームティーチングによる「英会話」の授業を行っています。

インターエデュ(以下、エデュ):外国語の授業をどのように取り組んでいるのかをくわしく教えてください。

M.Iさん:普段の授業では、ペアになって会話の練習をしたり、説明する練習をしています。授業内に理解できなかったところは、先生に聞くようにしていますね。授業で出てきた新しい単語は単語帳にまとめて覚えるようにしています。

A.Iさん:予習・復習を必ずしています。授業中は、とにかく集中し、授業内で理解できるようにしています。自宅では、単語帳を毎日見るようにしています。英会話のCDを聴き、同じ速度で発音できるように何度も練習しますね。目標を決めて、楽しみながら勉強しています。

エデュ:テスト対策で工夫している勉強法はありますか?

A.Iさん:教科書の英文を音読して覚え、暗記できるようになったら、何も見ず完璧に覚えられるまで、ルーズリーフを30枚ほど使い、ひたすら書きます。スペルミスをしていたら最初からやり直すようにしています!

M.Iさん:最近体験したことや好きなものの話を、週に一回、英語を話せる人と一緒に英語で話しています。英語が苦手なので、分かりにくいところはイラストにして、目でも覚えやすいようにしています。

エデュ:頑張って勉強した外国語を活かす「今後の目標」はありますか?

A.Iさん:英検準1級、1級を取りたいと思っています。

M.Iさん:海外の美術館や美しい景色を巡る旅行を一人でしたいと思っています。

各教科の教育課程をくわしく見る ≫

人生を変える海外研修の数々

エデュ:続いて、海外研修について教えてください。パリのイル・ド・フランス美術研修旅行はいかがでしたか?

M.Iさん:フランスは、研修の一週間ではとても見尽くすことができない、想像以上に魅力あふれる国でした。フランス人は英語で声をかけても、フランス語で返すと聞いたことがあったので、困ったことがあったらどうしようかと心配していましたが、親切な人が多く、何人もの人に助けられながら楽しく研修期間を終えることができました。この一週間で見られなかったものは、今度自分で行って見るつもりです。

パリ「イル・ド・フランス美術研修旅行」(高校生・希望者 3月)
パリ「イル・ド・フランス」美術研修旅行

世界中の芸術家が愛するパリを実体験する目的で、ルーブル美術館をはじめとする美術鑑賞、イル・ド・フランスに位置するヴェルサイユ宮殿などの見学をします。
またパリの国立高等美術学院訪問など、西洋美術の粋を目の前にできる女子美ならではの美術研修です。

【研修旅行の見どころ】
ルーブル美術館、オルセー美術館、オランジュリー美術館、ポンピドゥ芸術センター、ケ・ブランリ美術館、ヴェルサイユ宮殿、ノートルダム大聖堂、パリ国立高等美術学院

エデュ:オーストラリア研修旅行へ参加したきっかけは?

A.Iさん:私は人見知りがはげしく、それを直したいと思い、ホームステイを体験できる研修旅行への参加を決めました。

オーストラリア研修旅行(高校生・希望者 8月)
オーストラリア研修旅行

ビクトリア州の首都メルボルンにあるサンタ・マリア・カレッジ校で学びます。語学研修やアボリジニ文化の学習、共同制作、日本文化の紹介など盛りだくさん。
ホームステイで英語を通した生活習慣を実体験し、国際感覚を身につけることのできる貴重な機会です。

【研修旅行の見どころ】
サンタ・マリア・カレッジ校での語学研修&授業参加、現地でのホームステイ、現地中高生との共同による美術作品の制作、アボリジニアート体験ワークショップ、美術館見学

エデュ:実際に参加していかがでしたか。

A.Iさん:英語は得意だから大丈夫と思っていたのですが、緊張してしまい、ほとんど何も話すことができず、悔しい思いをしました。帰国後、その悔しさもあり、さらに英語を勉強するようになり、先生に面接の練習をお願いしたおかげで英検2級に一発合格しました! それが自信になり、二回目のホームステイ先では、私のホストシスターだった子と楽しく会話でき、授業で女子美の紹介をする際には、サンタマリアの副校長先生と1対1で話す機会をいただき、少しミスはあったものの最後までやり遂げることができました。

アートは国境を越える! 国際教育の数々 ≫

女子美ならではの国際交流

女子美では、フランスやイタリア、オーストラリアといった国際交流を体験できる機会を数多く設けています。そのなかで、生徒たちはどのような成長を見せるのでしょうか。英語科の佐野佳子先生にうかがいました。

普段の英語授業と「美術が好き!」という気持ちが、文化の違いを超えたコミュニケーションを可能にします。

普段の英語授業と「美術が好き!」という気持ちが、文化の違いを超えたコミュニケーションを可能にします。

2016年度からオーストラリアの新しい交流校との研修がスタートしたことは、生徒にとっても貴重な経験になったと思います。この研修は、美術と英語習得の2本柱で構成された本校独自のプログラムで、生徒には現地に向かう前に事前学習をしてもらいます。このプロセスを踏むことにより、生徒の不安を取り除き、12日間という短い期間で最大の学びができるようにしています。

実際に海外研修に行った生徒は、異文化に驚いたり、自分の気持ちを相手に伝える難しさを感じたりしながら、充実した生活を送ったようです。

帰国後には、人見知りが直ったという生徒や英検に挑戦する生徒、オーストラリアから来日するホームステイの受け入れに協力してくれる生徒など、言語学習だけでなく、積極的に物事にチャレンジする生徒が増えたように思います。そして、生徒の視野は確実に広くなったと思います。海外での生活を体験してから価値観が変わったり、自信をつけたりした生徒がほとんどです。今後も少しでもチャンスをつくり、将来自分の作品を武器に世界で活躍する女性を育てていきたいと考えています。

文化を深く理解できる特別語学講座をくわしく知る ≫

編集者から見たポイント

女子美では、充実した海外研修のほかに、希望者を対象にした「土曜日の特別語学講座」を開講し、フランス語や中国語などを学ぶ機会を設けています。クラス数を増やすほど人気が高いそうで、語学習得に対する生徒の意欲の高さがうかがえます。外国語に触れる機会が多いのも女子美の魅力ではないでしょうか。楽しそうに学んでいる生徒たちの姿がとても印象的でした。

連載第2回「満足度100%の女子美ライフ」 ≫