第11回 中学受験の基礎学力は親の習慣が決め手!:エデュママブック

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2015年9月18日

第11回 中学受験の基礎学力は親の習慣が決め手!

inter-edu’s eye
受験合格のため、よりよい将来のため、塾に通う前にしておきたいことは? やってはいけないことは? 西村則康先生の新著は、親が迷いがちなことに焦点を当てて、基礎学力の身につけ方をアドバイスしてくれます。 注:来月10月の記事公開日は、10月9日(金)と23日(金)です。

家庭教師を頼まれたときに、残念に思うこと

西村則康,〔中学受験〕やってはいけない小3までの親の習慣,受験,教育書

実は、家庭教師として多くのご家庭を訪問しているなかで、一番気になっていながら、その場ではアドバイスしにくいのがお母さんとお子さんの関係。とりわけ幼児期から小学校低学年のすごし方に関することです。
来年は中学受験という時期に、「これは幼児期にやっておいたほうがよかった」などと言い出しても仕方がないことですから、当面の対策だけになってしまいます。けれど、心の中では、「もっと早くアドバイスをしてあげられていれば」と残念な気持ちになります。


これはプロ家庭教師であり、エデュまがの監修者である西村則康先生の新著『〔中学受験〕やってはいけない小3までの親の習慣』の“はじめに”の一節です。この本は、ここに書いてある「残念な気持ち」がきっかけとなって著されたもの。タイトルにある「小3までの親の習慣」とは、中学受験目的で進学塾に入る前に、ぜひ親御さんが家庭でしておいてほしいことという意味です。

とはいえ、この本の内容は、決して中学受験だけに的を絞ったものではありません。中学受験をするしないにかかわらず、子どもの能力を最大限に伸ばすために、家庭はこうあってほしい、こんなふうに子どもに接してほしい、そうすれば、あとでやきもきしたり後悔することなく、成績も受験もいい方向に向かいますよ、と西村さんは本書で確信をもって語っておられるのです。

「少しでも早めに」がよくないことも!

西村さんがプロ家庭教師として守っておられる原則のひとつは、中学受験はよりよい将来に向けてのひとつのプロセスであるということです。そして、中学受験という直近の目標だけに親の気持ちが集中するとよくない結果がもたらされる可能性が高いということも、長年の経験から確信していらっしゃいます。

ことに、「少しでも早めに準備しておけば安心」「あとあと受験で苦労してほしくない」という多くの親が抱きがちな思いが、子どもには逆効果を及ぼしかねず、子どもの勉強嫌いを助長してしまったというケースも数多く見てこられたのです。

目次を見てみましょう。

1章 子供を「勉強嫌い」にさせる親、「勉強好き」にさせる親
2章 合格に必要な“学力のベース”は低学年までにつくる
3章 大きく後伸びする子の「塾」と「習い事」
4章 「はじめての勉強」がその後の成績を左右する
5章 この「読書週間」がすべての教科を伸ばしてくれる

たとえば、1章の小見出しの中に、“「子供の成績」より「子供自身」を見よう”という言葉があります。その本文には「小学校1年生のときにすべきことは、中学受験をする、しないにかかわらずまったく同じです」と書いてあります。

次いで小見出しは“子供には「9歳の壁」がある!”“「もうひとりの自分」が難問を解くのに役立つ”、そして“子供は「勉強」と思ったら、どんなものでも嫌いになる”と続いていきます。そしてこんな内容が!

「筋金入りの勉強嫌い」の子供を見ていると、その多くがかなり小さいときから勉強をさせられています。幼児期から塾に通い、家庭では母親がつきっきりで勉強を教え、おもちゃも本も「これは勉強に役に立つから」と与えられ、遊び方を指導される……。

1章のしめくくりは、「子供と遊んだり本を読むときは親も一緒に楽しむ。その姿勢が、勉強好きの子を育てます。」という結論で終わります。

◆学力の土台作りは、親でなければできない

読んでいて、最も強く頭に刻み込まれたのは、子どもの成長はひとりひとり違うということ。そして子どもは生活のあらゆる場面で自然と能力を身につけていくということ。幼児から低学年までは、親が「少しでも早く」と思ったり「机に向かう勉強」にこだわったりするのは、あまりいいことではないのです。

低学年までの子どもは、親と一緒に買い物に行ったり、お手伝いをしたり、友達と思いっきり遊ぶことによって学力の土台を形成していくということを、西村さんは何度も力説されます。たとえば10%割引のセールで値段はいくらになるのか?、野菜を包丁で切った断面はどんなものか、お魚の骨はどんなかたちになっているのか? 日常生活の中には学習と結びつく場面が無数にあり、こうした生活体験と結びついて覚えたことは、机上の丸暗記とは雲泥の違いをもって子どもの頭に刻み込まれていきます。

生活の中での学力の土台作りは、西村さんのような優秀な家庭教師にもカリスマ塾講師にもできません。親だからこそできるのです。こうした土台こそが知識だけでなく過酷な中学受験を耐え抜く精神力をも子どもに与え、さらに大人になるまでの成長力にもなっていく……。

タイトルに「中学受験」という言葉が入っていますが、内容的には、小学校低学年までの親御さん全員に読んでほしい本です。家庭教師として多くの家庭に足を運んできた西村さんだからこそのアドバイスが全編に散りばめられ、そのひとつひとつが、わが子が身近すぎるがゆえに陥ってしまう親の死角を、しっかりと自覚させてくれるでしょう。

★次回のエデュママブックは、10月9日(金)の公開です。

西村則康,『〔中学受験〕やってはいけない小3までの親の習慣』,受験,教育書

〔中学受験〕やってはいけない小3までの親の習慣
西村則康著、青春出版社、1480円+税 「このアドバイスは3年前にしてあげたかった…」。長年、中学受験の指導をしてきた著者がいつも感じているのは、小3までにしっかりした“学力のベース”をつくれないと、本格的な受験勉強をはじめてから学力が伸びないということ。また、間違った早期教育や先取り学習は、かえって学力を低下させることもあります。手遅れにならないために、小3までに必ずすべきこと、やってはいけないことをすべて伝授します。…購入はこちらから

西村則康,エデュママブック

著者の西村則康(にしむら のりやす)さん
30年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。日本初の「塾ソムリエ」。これまで開成中、麻布中、武蔵中、桜蔭中、女子学院中、雙葉中、灘中、洛南高附属中、東大寺学園中などの最難関校に2500人以上を合格させてきた実績を持つ。暗記や作業だけの受験学習では効果が上がらないという信念から、「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践。親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイス。 TV、教育雑誌、新聞、インターネットで積極的に情報発信を行い、インターエデュではメルマガ『エデュまが』で時期にあわせた受験アドバイスを配信。公式サイト→ http://www.nishimuranoriyasu.com/

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