はじめての中学受験Vol.7後半 女子校で気をつけたいこと

はじめての中学受験Vol.7後半 女子校で気をつけたいこと
女子校のメリット 男子校のメリット 男子校で気をつけたいこと

inter-edu’s eye
男子校・女子校って、うちの子に合うのかしら? 誰もが一度は考えることでしょう。そこで、先月の記事が大反響を呼んだ、おおたとしまささんに、再度アドバイスをお願いしました。おおたさんには、『男子校という選択』『女子校という選択』という2冊の著書があります。

小集団が作り出す、女子校の落とし穴

前半で女子校のメリットを話してくださったおおたさん。一方で、「温室育ちになるの?」「女子同士の派閥はあるの?」と、偏ったイメージもある女子校。受験を考える際に「気をつけたいこと」についても聞いてみました。

女子生徒

気をつけたいこと1.小集団を作ってこじんまりしがち

異性のいない環境によって、男子は大きな集団を作る傾向にあるが、女子は極めて価値観の近い数人の小集団を作る傾向にあります。また、時と場合によって一緒に行動する相手を変えるのではなく、その小集団は固定化されやすいため、コミュニケーションを広げにくいという懸念点があります。

気をつけたいこと2.人間関係が不器用になる子も

女子の中には、放っておくと集団形成の段階でつまづき、仲間外れのような状態になってしまう子もいます。また、同じクラス内に1度も口をきかない友だちがいるという状態も起こり得るのが特徴です。小集団を作りやすく、同じ友だちばかりと一緒に行動する女子特有の環境が、人間関係に不器用な子を作り出してしまう可能性があるのです。

気をつけたいこと3.男性に甘えるのが下手になる

女子校では、文化祭でも体育祭でも女子しかいないため、重い荷物を運ぶのも高所作業をするのも全部自分たちでやります。男性に頼った経験がないので、社会に出てからも男性をうまく操る女子力は低くなるでしょう。また、男性をよく知らないことから、「男を見る目がない」と言われやすいのも特徴です。

女子校出身者の本当の幸せとは

ここまでのお話を聞くと、女子だけの環境で過ごすことが、女性同士の人間関係にも男性との付き合い方にも支障をきたすかのように感じられてしまいますが、本当にそうなのでしょうか。

おおたとしまささん

女子だけの環境に慣れた先生がトラブルを解決してくれる

女子だけの環境が小集団を形成しやすいということには、メリットもあります。先生がクラスの人間関係を把握しやすく、トラブルが生じた際、迅速にきめ細やかに対応できるのです。また、女子は個人同士の不和は生じても、集団同士で干渉することは滅多にないので、スクールカーストのような根深い格付けや陰湿ないじめには発展しにくいと考えられます。共感力が強いので、誰かがトラブルの解決を求めれば、みんなで助けようという優しさも女子の特徴。そうして問題解決をしながら、成長していくのです。

学校外で一流の男性との出会いを

例えば、骨董屋さんになろうと思えばいかに世界中の「本物」に触れるかが重要ですよね。男性との接触が少ないことで、男性を見る目が養われないというのであれば、ぜひ学校外で「一流」と言われるような男性と会う機会を作ってください。同世代の未完成な男子と過ごすことよりよほど男を見る目が養われるでしょう。また、女子校出身者は自分軸がはっきりしているので、「わたしはこうです!」というありのままの自分の姿を表現します。それを見てありのままを受け入れてくれる男性と、やがて出会えるのではないでしょうか。10代でたくさんの男の子と付き合ったかどうか、モテたかどうかなんて、本当の女性の幸せとは関係ありません。

― おおたさん、ありがとうございました。女子校出身者の、男性に負けない自立心と女性ならではの共感力。社会を変えていくとともに、自らの幸せも切り開くパワーを感じますね。

おおたとしまささん著書

<<プロフィール>>おおたとしまさ
育児・教育ジャーナリスト、心理カウンセラー
著書は『男子校という選択』、『女子校という選択』、『中学受験という選択』、『名門中学の子どもたちは学校で何を学んでいるのか』、『パパのトリセツ』、『男の子 育てにくい子ほどよく伸びる』、『パパのネタ帖』、『笑われ力』、『学習塾白書』(共著)など多数。

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