想いを伝える英語科の学び

想いを伝える英語科の学び

inter-edu’s eye

前回の連載記事でICTを活用した各教科の学びをご紹介した女子聖学院中学校高等学校(以下、女子聖)。今回は、年間を通してSDGsを取り入れる中2の英語にスポットを当てます。授業見学と先生インタビューを通してあらわになったのは、学校のモットー「Be a Messenger ~語ることばをもつ人を育てます~」の存在でした。

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中2英語×SDGs

今年度、中2生は英語の授業で新聞作りやグループワークを行い、自らの考えを深めていきます。GWにはSDGsと環境問題への理解を深めることを目的として、生徒が小笠原諸島について調べ、まとめました。

生徒の作品。見出しから記事まですべて英語で記述しています。
生徒の作品。見出しから記事まですべて英語で記述しています。
廊下には、生徒の作品やSDGsに関する資料が張り出されていました。
廊下には、生徒の作品やSDGsに関する資料が張り出されていました。

このほか、『もし世界が100人の村だったら』を題材にしたワークショップやグループディスカッションを行うほか、朝日新聞社主催の企画に参加してSDGsの日本語版コピー制作に挑みます。

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もし世界が100人の村だったら×SDGs

単独での新聞制作を終えた中2生は、8月からグループによる取り組みを開始。『もし世界が100人の村だったら』を題材に、文字の読み書きができない“非識字”と所得格差から世界の現状を見つめ、意見を交わします。
初回の授業では非識字と所得格差を体験するワークショップを実施。2回目の授業では、ネイティブ教員による『もし世界が~』の原文読み聞かせを行いました。

生きるために字は必要?~授業レポート

見学したのは3回目の授業です。生徒は非識字についてクラスメイトと語り合い、ワークシートに考えを記入していきます。
冒頭、英語科の大井藤花先生は「今回の授業で大事なことは自分の意見を持つことです」と生徒に伝えました。

授業のようす

グループ内で行ってみたい国について語るアイスブレイクの後、いよいよ本題へ。非識字だと困ることは何か、グループで5分間ディスカッションします。発表時には「値段が分からない」「勉強ができない」「LINEやメール、スマートフォンが使えない」「新聞が読めない」「食品アレルギーの表示が読めない」と、さまざまな意見が各グループから飛び出しました。どれも納得のいく内容ばかり。非識字では、日本での暮らしが非常に困難であると分かります。

感染症対策を施してディスカッションを。
感染症対策を施してディスカッションを。
ワークショップで非識字を体験しているため、「非識字だと困ること」についてたくさん意見を出していました。
ワークショップで非識字を体験しているため、「非識字だと困ること」についてたくさん意見を出していました。

意見を出し合って考えを深めていく生徒たち。やがて「目や耳が不自由な人が点字や字幕を理解できなくなる」と、さまざまな立場の視点から、ものを考えるようになりました。そこで大井先生が最後の問いを投げかけます。「では、文字を持たない文化で暮らす人々に文字を教えることは正しいことなのでしょうか」。識字率を上げることに賛成か、反対か。生徒は黙々とワークシートに自らの考えを書き込んでいきました。

自分の想いをワークシートに記入します。
自分の想いをワークシートに記入します。
生徒の字で埋められたワークシート。
生徒の字で埋められたワークシート。
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意見を持つことを多様なアプローチで育成したい

授業を終えた大井藤花先生にお話をうかがいました。

英語科で中2のクラス担任を務める大井先生。
英語科で中2のクラス担任を務める大井先生。

インターエデュ(以下、エデュ):『もし世界が~』の取り組みについて、生徒の反応はいかがですか。

大井先生:非識字と所得格差を体感するワークショップは大いに盛り上がり、多くの生徒が「すごく楽しかった」「またやりたい」と言ってくれました。非識字の体験では、役割カードを作って「どの国の住人で/大人か子どもか/文字が読めるかどうか」を分けて生徒に配役を。割り当てられた立場で買い物をすると、文字を読めない人は薬を買うときラベルが読めず困ってしまいました。
所得格差の体験では、コップに注ぐ飲み物の量でグループごとの貧富の差を表しました。すると、飲み物をたっぷり注げる裕福なグループに向けて「ずるい」という声が上がったのです。これにより「いま感じた“ずるさ”は、どうすればなくなる?」という問いかけができるようになり、どんどん考えを深めていくことができます。

非識字を体験するワークショップのようす。
非識字を体験するワークショップのようす。
所得格差を体験するワークショップ。たくさんの飲み物を所有できる裕福なグループの生徒たち。
所得格差を体験するワークショップ。たくさんの飲み物を所有できる裕福なグループの生徒たち。

エデュ:英語の授業で「意見を持つことの大切さ」を教えるのはなぜですか。

大井先生:自分の意見を持つことは、英語を学ぶうえでとても大切だからです。英文を和訳するとき、どうしても生徒は直訳しがち。それでは気持ちが伝わりません。英文に自分の想いを込めて相手に伝えるための日本語にしてほしい、生きている言葉を使う楽しさを学んでほしい。『もし世界が~』の次に取り組むのは朝日新聞社主催の企画で、内容はSDGsの日本語版コピー制作です。生徒は、単純な英文に自分のメッセージを込めてキャッチコピーを作ります。発信する力の育成を英語の授業で行うことは、私は有意義だと思っています。
生徒はいろいろなことを考えているので、教師がよい問いかけをすればよい対話が生まれます。よい対話を生徒同士でできるようになれば、自分の意見をどんどん出せるようになり、学校のモットー「Be a messenger~語ることばを持つ人を育てます~」の実現につながります。

大井先生はICTプロジェクトチームの一員。中2の学年目標についてPCで分かりやすく教えてくださいました。
大井先生はICTプロジェクトチームの一員。中2の学年目標についてPCで分かりやすく教えてくださいました。

エデュ:授業をするうえで意識していることはありますか。

大井先生:学年の先生方と話し合い、今年度は担当教科ごとに異なる視点からSDGsを取り扱うことにしました。社会科では基本的な知識としてSDGsを教えることになったので、ならば英語科ではSDGsをきっかけに世界に目を向けようと。非識字や所得格差など未知の世界をのぞくことには怖さが伴いますが、知ることで興味・関心を持ち、自ら動き出す生徒が出てくるかもしれない。そうやって、生徒の心を響かせる仕掛けや、よい問いかけができるよう、常に心がけています。

女子聖独自の行事・活動 ≫

編集者から見たポイント

感染症対策により、授業は1時限30分の短縮版に。30分間でディスカッションやワークシート作成をし、内容の濃い学びが行われていました。大井先生は、「登校できなくてもオンラインだからこそできることは必ずあります。大切なことは、どんなときも学びを止めないこと。ピンチをチャンスに!」と笑顔で語ります。ICTプロジェクトチームに所属する大井先生は、ワークショップのようすをタブレットで定点録画し、当日休んだ生徒に編集した動画を配信。女子聖には学校のモットーを色濃く反映した授業と、熱意ある先生の指導にしっかり応える生徒の姿がありました。

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イベント日程

イベント名 日時
女子聖 Jr. Workshop(4)日本語表現力入試説明会 2020年9月19日(土) 10:30~12:00
入試問題早期対策会(1) 2020年10月8日(木) 10:00~12:00
入試問題早期対策会(2) 2020年10月10日(土) 10:00~12:00
入試問題早期対策会(3) 2020年10月10日(土) 14:00~16:00
入試問題早期対策会(4) 2020年10月17日(土) 10:00~12:00
女子聖 Jr. Workshop(5)英語表現力入試プレシャス説明会 2020年10月24日(土) 10:30~12:00
詳細とお申し込みはこちら ≫

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