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基礎学力の定着とともに、キャリア教育にも力を注ぐ、日本工業大学駒場中学校(以下、日駒)。それは、コミュニケーションスキルの向上から始まり、問題解決型学習を経て、実践的なキャリアプランニングへと進んで行きます。今回は、その段階的キャリア教育を実践する真のねらいについて増田徹先生にお話をお聞きしました。

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友達を知って自分も知る! 演劇コミュニケーション

学年が上がるとともにステップアップする日駒のキャリア教育。中1の演劇コミュニケーションもキャリア教育の一環とのことですが、どのような取り組みでしょうか。

お話しいただいた増田 徹先生

時代に合わせたキャリア教育の必要性について熱くお話しいただいた増田 徹先生。

増田先生:生徒たちが即興で演劇を行い、楽しみながらコミュニケーションを図ることが目的です。最初に演じた生徒から順々に、演技をつなげていくというもので、前の生徒が何を表現したのかを理解し、続く自分はどう演じたらいいかを考えます。
友達の演技を見て、その人となりを知り、一方、自分だったらこう演じるだろうと思うことで、自身でも気がつかなかった新しい一面を発見することもあるようです。

そしてポイントは、人それぞれの考え方が多様であることに気づき、さらに互いに演技の良いところを共有し、自己肯定感を再確認することです。
まずは楽しむことを前提に始めたこの取り組みは、生徒たちから評判が良く、昨年は4回も実施したんですよ。

演劇コミュニケーション

他人の気持ちがわかる演劇コミュニケーションのようす。

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ポスタビで多様な職業を知る

職業に関する情報をポスターにまとめ、発表を行うという「ポスタビ」を実施されていますが、そのねらいを教えてください。

ポスタビのようす

企業を取材して制作したポスターを発表するポスタビのようす。

増田先生:中2で実施する「ポスタビ」は、企業訪問や働く方へのインタビュー取材を行い、そこで見聞きした内容をポスターにまとめて発表するというものです。大人と接することにより、コミュニケーション力の向上とともに、人の話の聴き方や訪問のマナーなどを知り、そして問題解決能力も自然に身につくと考えています。

問題解決能力は、問題を「正しく」認識する力、コミュニケーション能力、知識・情報をツールとして使いこなす力で成り立っていて、今後の大学入試でも重要視されますが、それは、つまり世の中に出て、職業に就いてから必要とされる要素なのです。

また、この取り組みの最大のねらいは職業を知るということ。一般的にキャリア教育は難しい取り組みです。結局、中高生の頃に憧れた仕事に就いている人はひと握りではないでしょうか。その解決策の一つとして、実際にどんな会社があり、どのような職業があるかという多様な可能性を知る必要があると考えました。

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AIにはできない発想力や創造力を鍛える

中1から段階的に進められているキャリア教育ですが、高1で実施しているデザインシンキングとはどういった取り組みでしょうか。

ペアワークのようす

ペアワークを取り入れることで、他者との考えを付き合わせながら進行する独特なデザインシンキング授業のようす。

増田先生:AIの進歩をはじめ、世の中の変化のスピードから考えると、中学入学から大学卒業までの10年間で、就きたいと思っていた職業がまったく変わってしまうと言われるようになりました。
しかし、AIやロボットが人間にとって代わる職業が増えたとしても、自分たちの発想力・想像力によって社会で活躍できる力を育んでいきたいと思っています。その力を鍛えるのがデザインシンキングです。

この授業の特長は、キャリア教育に特化したテキストを使いながら、ペアワークやグループワークで答えのない問題について考えてもらうというものです。ゼロからアイディアを生み出して世界により良い影響を与えていくための発想力・想像力を鍛えることで、新しい時代に今までなかったものをつくり出す、イノベーション力を育んでいきたいと考えています。

デザインシンキング

動画教材も使用した授業を受ける生徒たちの眼差しは真剣そのもの。

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編集者から見たポイント

学年を追って無理なく段階的に進む日駒のキャリア教育。最後に増田先生は「生きていく中では、挫折した時に起き上れる力、自己肯定感が大切です。どんな仕事でも構わないので、前向きに捉えて先に進んでいける生徒を育てたい」とおっしゃっていました。職業の選択肢が変化しつつある昨今、“自分は社会に求められている”という自己肯定感があってこそ、高い志による進路実現という目標が成り立つのでしょう。日駒のキャリア教育は“進学指導”ではなく、生徒自身の“才能の伸ばし方”に着眼点があるようにも感じられました。AIには無い発想力、想像力を武器に生き抜く新しい時代の力を育てていこうとしている日駒の学びに期待していきたいです。

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