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三輪田の新教育 “なりたい自分”の発見と実現へ! 論理的思考力や自主性を育む

inter-edu’s eye

創立134年を迎える伝統ある女子校の三輪田学園中学校・高等学校(以下、三輪田)。これまでの伝統を守りつつ、時代の変化に合わせ、海外大学への進学も視野に入れた英語とICT教育に力を入れた積極的な教育改革を行っています。今年度から新たな探究学習"MIWADA-HUB"を導入し、さらなる学力向上への基盤を強化。独自プログラム"MIWADA-HUB"の特色を"MIWADA-HUB"の第一期生の中学2年生たちと担当の先生方にうかがいました。

※写真撮影時のみマスクを外しています

「なぜ」や「失敗」が大切! 自発的な学びに導く"MIWADA-HUB"の授業内容

"MIWADA-HUB"とは

社会や環境の変化に伴い、正解のないこれからの時代を生き抜く生徒を育てるために、自ら課題を発見・考察し、解決に取り組む一連のプロセスを授業の中で体験させるのが "MIWADA-HUB"。新学習指導要領にある「主体的で対話的で深い学び」にも対応した同校独自の試み。HUBとはつなぐことを意味し、授業を通じて、自分と学問、自分と社会をつなぐことを目的としている。9つの講座から中学2年生を対象に、クラス・教科の枠を超え、興味のある分野を選んで学びを深める。講座は前期(4月~9月)と後期(10月~3月)に分かれている。

英語ディベートを学ぶ「Debate&Speech for beginners」

まずは、講座の様子を担当の先生方にご紹介いただきました。

藤田 純平先生
英語科・進路指導部副部長
藤田 純平先生

藤田 純平先生

「宿題は必要か」など身近なテーマを議題に、賛成派と反対派のチームに分かれて、自分たちの主張を組み立てて英語でディベートを行います。ディベートを通して、論理的思考力や自分の意見や主張を裏付けるための資料を読み解く力を身につけさせています。

ディベート経験のない中学2年生なので、最初にディベートの仕方や目的を丁寧に指導しましたが、それ以降はファシリテーターに徹することを心がけています。生徒が自分たちで相談しながら、自主的に学ぶことを重視しています。また、原稿作成では8人という少人数の良さを活かして添削指導をしています。

可動式の机があり、グループ学習に適したクリエイティブルーム
可動式の机があり、グループ学習に適したクリエイティブルーム

プログラミングを学ぶ「Miwada Code Girls-Beginner」

小井田 幸也先生
ICTデジタル部部長
小井田 幸也先生

小井田 幸也先生

中学2年生の講座ですから、まずは「プログラムは何かを制御するもの」ということを理解してもらいたいと考え、プログラミングブロック、プログラミングレゴ、プログラミングドローンを用いた授業を展開しました。授業では、間違えたプロセスを共有し、みんなで確認することで同じ間違いを避けることができるようにしています。個人の失敗で終わらず経験値を集約することで、生徒たちのスキルアップにつながりました。

プログラミングは失敗が許される授業です。生徒たちは問題を解くときに、なるべく間違えずに正解にたどり着きたいと思っています。でもHUBは、失敗からの気づきが大切なので、教えすぎず、失敗を恐れずに挑ませる環境づくりを大切にしています。

プログラミングレゴを楽しむ生徒たち
プログラミングレゴを楽しむ生徒たち

着物について学ぶ「日本の伝統文化を研究する」

吉田 珠美先生
三輪田学園理事長
吉田 珠美先生

吉田 珠美先生

着物について、歴史、文化、経済など多角的に学ぶ教科横断型の講座です。例えば、他国の衣装と着物を比較して、なぜ違いが生じるのかを考察し、意見交換をしながら、着物という伝統文化を継承・発展させるための知識と関心を深めていきます。

また、着物の歴史を課題に、平安時代や鎌倉時代などテーマを分け、各グループが個々に調べ、合同発表で、全体像をもう一度構築していく共同研究も行っています。さらに、衣服の社会的役割を考えさせることにも注力しています。着物だけに限らず、衣服の社会性を学んでTPOに合わせた服装ができるようになってほしいですね。

授業中は積極的にさまざまな質問や意見が飛び交います
授業中は積極的にさまざまな質問や意見が飛び交います
同時代の西洋と日本の絵画を比較して服の違いを考察
同時代の西洋と日本の絵画を比較して服の違いを考察

"MIWADA-HUB"で知った! 「なぜ」を考えることの楽しさ

生徒たちは"MIWADA-HUB"で何を学んだのか、感想をうかがいました。

R.Yさん

R.Yさん
選択講座
「Debate&Speech for beginners」
講座を選んだ理由
得意な英語でディベートしてみたかったから
得意科目
英語
所属クラブ
バスケットボールクラブ

H.Hさん

H.Hさん
選択講座
「Miwada Code Girls-Beginner」
講座を選んだ理由
PCやiPadに興味があったこと、知らないことを知るのが好きなため
得意科目
理科
所属クラブ
写真クラブ/天文クラブ

S.Eさん

S.Eさん
選択講座
「日本の伝統文化を探究する」
講座を選んだ理由
もともと着物に興味があり、深く知りたいと思ったから
得意科目
歴史
所属クラブ
バスケットボールクラブ

Y.Mさん

Y.Mさん
選択講座
「日本の伝統文化を探究する」
講座を選んだ理由
4月頃に母に着物を着せてもらって、自然に興味が湧いたため
得意科目
理科
所属クラブ
天文クラブ

楽しかったことや気づきを教えてください。

R.Yさん

最初はディベートがどういうものかもよく分からずに受講していたのですが、だんだんとディベートの意義を知って面白いと感じるようになりました。自分の英語力が向上し、ディベートに活かされていると実感できたことがうれしかったです。

H.Hさん

まずiPadの操作法から教えていただいたので、「プログラミングは難しいのかな」との先入観を持たずに講座に取り組むことができました。苦労したのは、レゴで車をつくって目的地まで動かす授業。プログラムの組み立て方が難しくて……。でも、苦労した分、みんなでディスカッションしながら修正して、車が動いたときは感動しました!

S.Eさん

このHUBの中で、着物のミニチュアをつくった際、みんなで相談しながら試行錯誤して作成するのが楽しかったです。友達と協力して作業する中で、ほかの人の意見から新たな学びが得られることに気づきました。

Y.Mさん

私もミニチュアの着物をつくったことが印象深いです。着物の構造を体感しながら学ぶことができました。型紙を見ながら、「なぜこうなっているのか」と考えながら作成したので、仕上がったときは感無量でしたね。先生に教えていただくだけでなく、自主的に学んでいる実感がありました。

問題の発見・考察・解決ができる女性へ 「0から1を生み出す力」を育てる教育

先ほどご登場いただいた先生方に、授業で工夫されたことや今後の展望についてお話しいただきました。

発表の際、工夫されていることがあるとうかがいました。

藤田 純平先生

ハードルを低く設定しています。今まで3回発表を行ったのですが、最初はディベートが形になることを重視して辞書を使用可に、2回目は、Google翻訳を一切禁止にしました。3回目は、自分の意見をPowerPointにまとめることを必須にして、段階を踏まえ、少しずつスキルアップさせていくように心がけました。毎回小さな目標設定をすることが、生徒たちの自信につながっていると感じます。

今後の課題や展望はありますか?

小井田 幸也先生

既存の物事の進め方では通用しないものに、どう挑ませるかが今後の課題です。最初に取り組んだプログラミングブロックでは、なかなかアイデアが出てこなかった。今まで経験してきたことや固定概念が発想の邪魔になっていたんですね。日常的にいろんなものに興味を持たせて「これは不便だな」「これがあったら便利だな」との着眼点を培ってほしい。これからは、答えのない問いを立て、自分なりの結論を出してプレゼンすることが評価につながる時代。このHUBが、そのためのトレーニングになればと思います。

生徒に好評だった授業を教えてください。

吉田 珠美先生

布製と不織布のマスクの生地を比較しました。カットしてルーペで見ると、布製マスクの生地は均一にすき間があるのに対し、不織布のマスクは繊維が複雑に絡み合っていてすき間があまりないことが分かり、生徒たちはこれが不織布のマスクが推奨される理由だと気付きました。こうした作業も取り入れ、単なる調べ学習に終止せず、自らの気付きや協働研究によって探究の楽しさを知ってほしいと考えています。こうした新たな学びによって「0から1を生み出す力」を育てます。

三輪田生たちに聞いた! 私たちの学校自慢

生徒たちに三輪田の魅力をうかがいました。

三輪田の魅力を教えてください。

R.Yさん

部活動など好きなことを楽しめるのはもちろん、先生方が熱心に指導してくださるので、勉強もしっかり取り組めるのが魅力です。女子だけですし、少人数なので質問もしやすくて、自然と積極的に発言できるようになりました。

H.Hさん

友達や先輩がみんなやさしくて、失敗してもフォローしてくれる学校です。三輪田は先生も温かくて、一人ひとりをしっかり見守ってくれる学校だと実感しています。通学に慣れれば、時間に余裕ができて趣味など、やりたいことに専念できるところも魅力だと思います。

S.Eさん

先生方がすごく熱心です。オンライン授業では、他校に通う姉からも羨ましがられるほど丁寧なサポートに助けられ、安心して授業に集中できました。文化祭も充実していて、私自身、小6のときに見学した文化祭がすごく楽しくて三輪田に入学を決めました。今はコロナ禍で難しいと思いますが、ぜひ文化祭の雰囲気を味わってほしいです。

Y.Mさん

人数がそれほど多くないので、同学年の全員と仲良くなれますし、先生との距離も近くて話す機会が多いのが魅力だと感じています。入学するまで、不安なこともあるかと思いますが、みんなが助けくれるので安心してください。

編集者から見たポイント

「"MIWADA-HUB"は、今後拡充していく予定です。探究学習は大学受験でも重要項目ですが、それだけにとどまらず、生徒一人ひとりに、先の見えない世の中で自分なりの答えを見つける力を身につけてほしい。そのために"MIWADA-HUB"を大切に育てていきたいと思っています」との吉田理事長のお言葉が印象的な取材でした。今後、"MIWADA-HUB"がどのように発展していくか、ご期待ください。

イベント日程

学校説明会
2021年11月6日(土) 10:00〜11:30
第1回 入試説明会(ミニコンサート付き/6年生対象)
2021年11月27日(土) 13:30〜15:00
第2回 入試説明会(6年生対象)
2021年12月19日(日) 13:30〜15:00
第3回 入試説明会(6年生対象)
2022年1月15日(土) 10:30〜11:30

全てのイベントでご予約が必要です。詳しくは学校説明会ページをご覧ください。

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:三輪田学園中学校・高等学校