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美術が好きなら潤徳女子へ 日本画 油画 彫刻 グラフィックデザイン デッサンと専門技法をじっくり学べる3年間

inter-edu's eye

進学・特進・美術の3つのコースを持つ潤徳女子高等学校(以下、潤徳女子)。学校には複数の美術室があり、芸術科の先生は東京藝術大学出身のスペシャリストです。美術専門の学校のような環境を持ちながら、美術以外のことに興味や関心を持つ生徒との交流も深められるところが潤徳女子美術コースの大きな魅力。「絵を描くことが好き」「美大に興味がある」そんな中学生のために、美術コースの学びについて3名の先生に語っていただきました。

彫刻ご担当 佐藤賢志先生

彫刻ご担当 佐藤賢志先生

東京藝術大学 美術学部 彫刻科卒業。東京藝術大学大学院 美術研究科 彫刻専攻修了
趣味:情報のインプット。「今は食文化に興味があり、カクテルやウイスキーについて勉強したり、魚をさばいて寿司を握ったりしています」
好きな言葉:経験

油画・版画ご担当 山本彰先生

油画・版画ご担当 山本彰先生

東京藝術大学 美術学部 絵画科 油画専攻卒業。東京藝術大学大学院 美術研究科 版画専攻修了
趣味:体を動かすこと(サッカー、ダンス、スキューバダイビングなど)、楽器演奏
好きな言葉:やってみせ、言って聞かせてやらせてみて、ほめてやらねば人は動かじ

日本画・水彩ご担当 杉山愉岳先生

日本画・水彩ご担当 杉山愉岳先生

東京藝術大学 美術学部 絵画科 日本画専攻卒業。東京藝術大学大学院 美術研究科 日本画専攻修了
趣味:釣り
好きな言葉:呼吸をするように絵を描きたい

先生教えて!美術の授業しか経験していなくても大丈夫?

美大進学を視野に入れたカリキュラムが特徴の美術コース。高1では基礎となるデッサンを重点的に学びます。また、授業「専攻美術」で油画・彫刻・日本画・グラフィックデザインを少しずつ学び、生徒は2年次の専攻を考えていきます。

美術コースには、入学前からデッサンの勉強をしてきた生徒が多いですか。

佐藤先生

4割くらいの生徒が美術系予備校などに通ってきているかと思います。私が着任した8年前は2割程度だったので、増えていることは間違いないですね。デッサンを学んで入学に備えることはとても良いことではありますが、私たち教員目線からすると入学時のレベルにさほど差はないです。

杉山先生

大切なのは、入学後に本人がどれだけ頑張れるかどうかです。経験の有無で分けることなく、全員一緒に一から指導します。

デッサン
山本先生

頑張る子が周りにいることで良い影響を受け、さらに何かをきっかけにして、一人ひとりがそれぞれのタイミングでやる気に火をつけ、奮起していきますね。

授業「専攻美術」では、どのようなことを学ぶのでしょうか。

佐藤先生

彫刻は座学からのスタートで、彫刻史を学びます。その後、粘土で手を制作しながら立体的なものの見方を学びます。彫刻というと彫るイメージが強いかもしれませんが、粘土で立体造形する塑像も彫刻の一種。美大受験でも塑像が多く扱われます。
グラフィックデザインでは平面構成を学びます。レイアウト、色彩の配置の仕方、レタリングの置き方を一つの平面でどう組み立てるかを考えていきます。

山本先生

油画では自画像に挑みます。さまざまな色を使って制作するので、楽しんで取り組む生徒が多いですね。

彫刻専攻卒業生の作品
彫刻専攻卒業生の作品
杉山先生

日本画では、透明水彩絵の具で素描をします。描くものは道端の落ち葉や石ころ。あえて花を扱わない理由は、普段見過ごしてしまうような、ささやかなものの中にも美が存在することに気づいてもらうためです。他人が用意したものでは感情移入できないので、生徒に拾ってきてもらいます。そして、自分の中に湧き上がった感情を絵で表現する。それが日本画なんです。目の前のものをただリアルに描く写生にならないよう、意識して指導しますね。今年度は、画材を変えて墨と箔を使おうかなと考えています。

日本画専攻卒業生の作品
日本画専攻卒業生の作品

先生教えて!美術コースで深める学び

2年次からは油画・彫刻・日本画・グラフィックデザインの専攻に分かれます。そして、授業「専攻」で各分野の技法を学んでいきます。

「専攻」では、どんな技法を学んだり、どのようなものを制作したりするのでしょうか。

佐藤先生が作った「杉山先生」(左)と「山本先生」(右)
佐藤先生が作った
「杉山先生」(左)と「山本先生」(右)
佐藤先生

彫刻では、石膏とテラコッタを学びます。粘土で作った型を石膏に置き換える技法と、粘土を窯で焼いて石化させる技法です。彫刻は「どう残すか」を考えることが非常に重要で、木や石で残すとなると、木彫や石彫には重機が必要になってしまう。そうした理由で、高校では石膏とテラコッタの2技法を習得します。

山本先生のデッサン(左)と油画専攻在校生のデッサン(右)
山本先生のデッサン(左)と油画専攻在校生のデッサン(右)
山本先生

油画では、絵の具をオイルで溶いて薄く重ねていく技法や、反対に絵の具をそのまま厚塗りしていく技法を学びます。表現の可能性を妨げないよう、「こう描きなさい」といった画一的な指導をすることはありません。
ただ油画を描くのではなく、描く前に作品の構造を考え、さらに個々人のオリジナリティを出していけるように、授業では“描く前の段階”から指導します。キャンバスは支持体に下地が塗られた既製品を使う人がいれば、支持体や下地制作から始める人もいます。描くものの構造を考え、絵の具で地塗りをしたり、砂のようなものを混ぜてざらざらした状態にしたりします。このように絵画の成り立ちを最初に教えてから、通年で静物や人物のデッサンを行い、技法を学びます。

杉山先生の自画像
杉山先生の自画像
杉山先生

日本画では、1年かけて掛け軸や屏風を制作します。油画と同様に技術指導の前に伝えるべきことがあり、生徒には「綺麗好きになろう」と話します。ゴミや塵は日本画制作を妨げる厄介な存在で、制作後は毎回机を磨かないと次に制作する人に迷惑がかかるからです。また、油画のキャンバスに比べると日本画を描く和紙はとても繊細で、粗雑に扱うと破れてしまう。素材の弱さに寄り添わないと制作が進まないんです。だからこそ、日本画には作品を残すために和紙と和紙を合わせて強度を高める「裏打ち」という技法があり、こうした技法も教えていきます。

高2授業 「専攻」レポート

2学期最初の授業を見学。「専攻」は、油画、彫刻、日本画、グラフィックデザインのほか、工芸も選べます。

油画

木版画の制作。「発想の転換のため、油画とは異なる間接技法の木版画を体験しています」(山本先生)

木版画の制作
木版画の制作

彫刻

石膏像の制作。型を作る「石膏取り」の作業をしています。

石膏像の制作
石膏像の制作

日本画

屏風と掛け軸の制作。屏風制作では、木枠に和紙を貼りつけていました。

木版画の制作
木版画の制作

グラフィックデザイン

法被の制作。制作の過程でシルクスクリーンという版画技法を学びます。

法被の制作
法被の制作

工芸

キャンドルの制作。型を作るため、粘土でキャンドルのデザインを考えています。

キャンドルの制作
キャンドルの制作

先生教えて!美術コースのすごいところ

東京藝大出身の先生方が感じる“潤徳女子美術コースのすごいところ”を教えてください。

山本先生

企業や地域からご依頼を受けて作品を制作できる機会があるところです。今年9月には、北千住マルイさんからご依頼を受け、「インクルージョンフェス2022Autumn」に生徒の作品が展示されました。

佐藤先生

展示のコンセプトは「千住の未来の姿」で、未来の街の様子を生徒が作品にしました。このように企業や地域が高校生の視点や意見に期待してくださり、作品を通して社会的な関係を築くことは、私たちにはもう経験できないことなので羨ましい限りです。課外活動に参加すると、作品が評価されるだけでなく「自分はスケジュール管理が得意なんだな」といった、さまざまな気づきがあります。

杉山先生

課外活動と、美大への進学指導のどちらも行っているところがすごいと思います。また、各専攻の教員が奇跡的に揃っている環境もすごいなと。生徒は専門性の高い教員から学ぶことができれば、視野を広げるために別の専攻の教員に学ぶこともできます。それを自由に選択できることは素晴らしいですね。

美術コースにはどのような生徒が多いと感じますか。

杉山先生

落書きが好きな子が多いです。最初は隠すんですけど、褒めるとよろこんで作品をいっぱい持ってきたりします。

佐藤先生

いい意味で自信のない子が多いかもしれません。自信がないから“自分が戦える武器を見つけよう”“いろんなことに挑戦してみよう”という気持ちが貪欲で、伸びていけるんだと思います。

山本先生

「ここに来れば何かに出会える」「変わるきっかけがあるのでは」という期待を抱いて入学する生徒が多いと思います。

作品作りのようす

美術コースの入試にはデッサンがあります。受験生に向けて、おすすめの対策を教えてください。

佐藤先生

中学の美術の先生にお願いして、デッサンの課題を出してもらい、描いて提出すると良いです。30分でもいいので毎日取り組めば、1週間に2枚くらい描けるでしょう。そして、自分の作品をスマホで撮影して、たまったら何度も見返してください。すると描いているときには気づかなかった駄目な部分を発見することができます。

杉山先生

その方法、私も自分の作品でやっています。

山本先生

スポーツでも、自身のプレーを見返して修正すると伸びていくと言いますからね。私の経験では、デッサンの参考書が役に立ちます。お気に入りのデッサン画を見つけて眺めると良いですよ。

作品

編集後記

生徒の成長秘話や、「美術で食べていける人間を育てるために」といった熱い指導方針など、記事には掲載しきれなかったたくさんのエピソードが飛び交ったインタビュー。互いを尊敬し、信頼し合う芸術科の先生方が、生徒を育成する環境があることが分かりました。

イベント日程

  • 体験入学(デッサン体験あり)

    2022年10月30日(日)9:25

    2022年11月20日(日)9:25

  • 学校説明会

    2022年10月16日(日) 10:00 / 14:00

    2022年11月3日(木・祝) 10:00 / 14:00

    2022年11月23日(水・祝) 10:00 / 14:00

    2022年12月3日(土) 14:30

    2022年12月26日(月) 17:00

  • クラブ体験入部

    2022年10月23日(日) 9:30

  • 個別相談会

    2022年10月22日(土) 14:30

    2022年11月12日(土) 14:30

    2022年11月19日(土) 14:30

    2022年12月23日(金) 14:30

    2022年12月24日(土) 14:30

講評
デッサン体験の様子

詳しくは説明会・イベント情報ページをご覧ください。

佐藤先生から受験生へのメッセージ

デッサンができる体験入学は、おかげでさまで非常にご好評いただいております。すぐに予約がいっぱいになってしまうそうですので、お早めにお申し込みください。お待ちしています!

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:潤徳女子高等学校