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国際交流

ドイツからきた高校生といっしょに生活 「世界が見える」オリジナル国際交流

inter-edu’s eye

創設当時から世界を見据えた教育を実践してきた獨協中学校・獨協高等学校(以下、獨協)。多彩な海外研修のチャンスがあるだけでなく、海外の子どもたちを迎える国際交流イベントにも力を入れています。2023年はドイツから高校生が来日し、獨協生のご家庭にホームステイ。生活をともにすることで、生徒たちの心に深く刻まれる時間が生まれました。

明治時代からグローバル教育!?

獨協の前身となる獨逸学協会学校は明治16(1883)年に創設。その目的は、当時の日本が模範としたドイツの文化・学問を学び取ることでした。現在も、第二外国語としてドイツ語教育を行い、ドイツ海外研修も実施しています。
今回、ドイツから高校生を招いたイベントは、留学コーディネイターなどの事業者をはさまず、現地のエコレアインターナショナルスクールと獨協の2校によるオリジナル企画。型にはまらないその取り組みについて、さっそく参加生徒に聞いてみましょう。高校2年生のお二人です。

後藤光弘くん
後藤光弘ごとう・みつひろくん

獨協の魅力を聞くと「国際交流が充実しています」とのこと。この春は個人的にカナダにホームステイ。「毎日が新鮮でした」

飯田隼太くん
飯田隼太いいだ・しゅんたくん

獨協の紹介をお願いすると「男子校らしくにぎやかな雰囲気ですが、勉強には真剣な学校です」との答えが。イギリスでホームステイしたことも

ドイツから来日した高校生と、どのように交流がスタートしたか教えてください。

後藤くん

6月10日、昼食の時間に獨協にエコレアインターナショナルの生徒11名が到着しました。ウェルカムパーティーの前に、偶然すれ違ったのですが、大人びた上品なオーラがありましたね。

飯田くん

ウェルカムパーティーでは花束を贈って、お互いに自己紹介をして…、最初はみんな緊張していました。お辞儀しながら頭をぶつけてしまう生徒もいました。

ドイツから来日した高校生との交流

ドイツの高校生と交流して、文化的な違いを感じた場面はありましたか。

後藤くん

僕の家に来たアウグストくんは入浴するのが朝で、個人的な習慣なのかなと思っていたのですが、どうやらほかの獨協生の家に来た人も同じだったようです。食文化については、納豆をおそるおそる食べようとしている姿が印象的でした。

飯田くん

納豆は僕の家に来たハンナさんもチャレンジしていました。少し食べて、「まあ嫌いではないけど…」という微妙な反応でしたね。驚いたのが、箸がきれいに持てること。ドイツの日本食レストランに通っているので、当たり前に使えるとのことでした。

食事をする留学生

ドイツの高校生とどのように交流を深めましたか。

後藤くん

6月11日は東京の観光名所を訪れたのですが、渋谷のスクランブル交差点を見て「この景色は映像で見たことある!」と言っていました。すごく楽しそうにしてくれて、どんどん打ち解けていきました。翌12日はテーマパークに行ったのですが、すごく会話が弾みました。

飯田くん

ドイツの高校生とは英語でやりとりしたのですが、僕がなかなか上手く話せないときも、じっくりと聞いてくれました。特にハンナさんは、こちらが伝えたいことを察する力が強かったです。獨協生と向こうの高校生がそれぞれ複数いる状況では、ほとんど通訳みたいに活躍していました。下手な英語でも理解してくれて、ほかの仲間にこなれた言い回しに変えて説明してくれました。

  • 日本を観光する留学生
  • 日本を観光する留学生
  • 日本を観光する留学生

ドイツの高校生と交流して影響を受けたことを教えてください。

後藤くん

英語を母語としていないのに、自分よりもはるかに上手く話せる姿を見て、ショックを受けました。それ以来、SNSでも海外の情報にもっと積極的に触れるようになって、映画も字幕に頼らないで観るようになりました。実は身近なところに、英語がある。そこに意識が向くようになりました。

飯田くん

ハンナさんと連絡を取り合うなかで、英語を日常的に使うようになりました。今回の国際交流で、発音に問題があるせいで、なかなか英語が通じないことがあると分かったので、重点的に訓練しています。

プレゼンテーション

ドイツの高校生と交流して、物の見方が変わったことはありますか。

後藤くん

「電車が時間通りに来る」「路上駐車が少ない」と日本の良いところを教えてもらいました。でも、反対に「食品の包装にたくさんのプラスチックが使われていて、環境への配慮が足りない」という指摘も受けました。日本では当たり前のことを見直すきっかけが得られたような気がします。

飯田くん

「日本人は想像以上に礼儀正しい」「シャイだけどフレンドリー」というふうに言ってもらえて、自覚はしていなかったけど、自分たちにも強みがあるように思えました。そして、海外の人と交流するときに欠かせないのは、相手を理解しようとする姿勢だと気づけました。英語を勉強するだけでなく、コミュニケーションをする相手としっかり向き合えるようになりたいです。

柔道体験

世界に触れて、生き方が変わる――国際教育にかける獨協の思いは

獨協オリジナルの国際交流イベントが開催された経緯、その教育効果について、先生にお話をうかがいます。

塩瀬治先生
塩瀬治しおせ・おさむ先生

担当教科:理科(生物)。獨協のOB

エコレアインターナショナルスクールとの国際交流が始まった経緯を教えてください。

塩瀬先生

獨協は持続可能な社会を実現するための環境教育に力を入れてきました。本校にはビオトープと屋上菜園があり、獨協生は近隣の小学校で環境に関する授業を行う「環境ファシリテート活動」を進めています。エコレアインターナショナルスクールも環境教育を実践していて、そのつながりで獨協に興味を持っていただいたのがきっかけです。2019年から交流を始め、生徒が来日するのも今回が2回目です。

環境ファシリテート活動

今回の国際交流は生徒にとってどのような教育効果がありましたか。

塩瀬先生

来日したエコレアインターナショナルスクールの生徒を家族で迎え入れる過程で、「お互いに知ろう」という気持ちが生まれます。英語でコミュニケーションを取るイベントを越えて、全人格的に関わり合い、相互理解を深めることができました。最終日、エコレアインターナショナルの生徒が乗ったバスを獨協生が走って追いかけている姿が心に残っています。

英語での授業のようす

海外の方と触れ合う機会を通して、獨協生にどう成長を遂げてほしいとお考えですか。

塩瀬先生

ドイツは移民問題や環境問題を抱える「悩み多い国」。高校生であっても、社会に対して真剣な目線を持っています。交流することで獨協生は大きな刺激を受け、進路選択にまで影響を受けることもしばしばです。
つまり、国際交流は生き方を変えうるものなのです。語学力を磨くことに留まらず、内面の豊かさを培っていくことにつながります。新しい日本を担う者は、こうした「世界に触れる現場」から生まれるでしょう。獨協はこれからも海外とのつながりを大切にし、多彩で有意義な交流機会を作っていきます。

エコレアインターナショナルの生徒を見送るようす

編集後記

学校オリジナルの国際交流イベントを実施する学校は、実はそれほど多くはありません。今回ご紹介したイベントも、創設当時から続く国際教育の伝統がある獨協だからできたこと。海外に興味を持つお子さまにはぜひ学校説明会に足を運んでいただきたいです。

イベント日程

学校説明会

  • 第4回2023年11月12日(日) 10:00~12:00
  • 第5回2023年12月17日(日) 10:00~12:00
  • 第6回2024年1月7日(日) 10:00~12:00

入試問題説明会

  • 2023年12月17日(日) 10:00~

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:獨協中学校・獨協高等学校