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東京都港区にある普連土学園中学校・高等学校(以下、普連土)は、理系の進学先を選ぶ生徒が4割に上る「理系に強い女子校」。課外活動でも世界規模のロボットプログラミング大会「FIRST LEGO League(以下、FLL)」で、有志生徒の集まり「Friends Fab」の活躍が続いています。今年2月、こちらに所属する9人でつくるチームが世界大会への出場権を獲得!昨年のトルコ大会に勝ち進んだ先輩たちに続く快挙を達成しました。今回は生徒たちの活躍、理系教科を苦手にさせない指導の秘訣に迫ります。理科が嫌いな受験生の方も必見です!

文系の生徒もチームに!「Fab」が歩んだ世界への道のり

「Friends Fab(フレンズ・ファブ)」(以下、「Fab」)はロボットプラミングをはじめ、電子工作、3Dプリンターを使ったものづくりを手がける有志生徒の集まり。中学3年生から高校2年生を対象とし、現在は40人程度が所属しています。顧問の加藤芳幸先生にFLLをはじめ、活動のようすを聞きました。

加藤先生
Friends Fab顧問の加藤芳幸先生

普連土の生徒が出場したFLLとはどのような大会ですか

加藤先生

玩具メーカーのレゴとアメリカの非営利団体が運営する世界最大級のSTEM教育プログラム・競技会で、①ロボットにさまざまなミッションを遂行させる競技②ロボットを動かすためのプログラミングや戦略③チームの魅力についてのプレゼンテーション④提示されたテーマに沿った調査・研究の発表―の4種目を競います。

どのような生徒が参加しましたか

加藤先生

昨年11月から、当時高校1年生の9人チームが東日本大会と全国大会に続けて出場し、栄冠を手にしました。ロボットの制作・プログラミングは、数学的な知識・技能に偏らず論理的な思考力を問うものなので、全員が理系というわけではありません。文系の生徒もチームの一員として、表現力・課題発見力を発揮してくれました。

生徒のようす

競技中の生徒のようすを教えてください

加藤先生

普段以上に情熱的な姿が印象に残りました。ロボット競技はミッションを遂行する場で敵チームのものと干渉しあう部分があるため、事前の計画どおりにいかないこともあります。いつもは冷静な生徒も時に「よしっ!」「いくぞ!」と声を上げていて驚かされました。

調査・研究の競技では、生徒はどのような活動をしましたか

加藤先生

都市をめぐるテーマという大枠がある中で、大会までに空き家に関する問題に着目して、その解決方法を考案していました。具体的な活動内容は、センサーで侵入者を感知して警告音を出す防犯装置の制作などです。試作品を自ら企業に持ち込んで改良方法を探るなど、非常に意欲的でした。

「もっといいチームになるには…」成長続けた生徒たち

加藤先生からは「出場した生徒たちは『Fab』加入当初から大きく成長した」というお話もうかがいました。そこで、生徒たち本人にも大会について振り返ってもらい、コメントをお寄せいただきました。

Friends Fab日本大会での様子(ロボットの調整)
Friends Fab日本大会での様子
(ロボットの調整)

Aさん(チームリーダー)

分析力が身に付いたことに加え、自分なりのアイデアをグループで改善していくことができるようになったと思います。大会までの準備は時間との戦い。その中で意見が食い違うことも当然ありました。しかし、物事の優先順位をはっきりさせながらも、チームの中でお互いを尊重し、乗り越えることができました。メンバー全員に感謝しています。

Friends Fab日本大会での様子(ロボットの調整)
Friends Fab日本大会での様子
(ロボットの調整)

Bさん

研究活動の中で企業の方や専門家の方と交流でき、普段できない経験ができました。自分はもともと、「何も言わなければ問題も起きないし、黙っていよう」というタイプだったのですが、思いを共有しないとチームワークが成立しないことを学びました。たとえ衝突することがあっても、「解決すればより良いチームになれる」と気づけてよかったです。

Friends Fab日本大会での様子(プレゼンの様子)
Friends Fab日本大会での様子
(プレゼンの様子)

Cさん

本当に貴重な体験でした。グループで活動する中で「周りを見て思いやりを持って行動をすべきだ」と気づき、自分が大きく変わりました。「誰かがやってくれそうだからやらない」という考え方を捨て、集団全体を積極的に動かすことが大切だと思っています。

「Fab」だけじゃない「理科部」ではロケット甲子園出場!

フランス人女性宇宙飛行士クローディ・エニュレ氏と共に

普連土で活躍しているのは「Fab」だけではありません。「理科部」の4人チーム「MERN(メルン)」も2018年に国内大会で女子校初の優勝、さらに2019年には国際大会で3位という快挙を成し遂げています。コロナウイルスの影響で中止になってしまいましたが、今年も昨年に続き国際大会への出場が決まっていました。理科部はジオラマ、EVカーなどの活動内容ごとに班を分け、それぞれが大活躍!2018年度にはジオラマ班が「全国高等学校鉄道模型コンテスト」のモジュール部門で審査員特別賞を受賞しています。

国際大会3位!MERNとは?(2019年度インタビュー記事)

TTと少人数制で「数学嫌い」にならない普連土

普連土の生徒は過去にもFLLの世界大会に出場。そのとき加藤先生は「日本国内の大会では出場者のほとんどが男子だが、世界大会では男女半々だ」と気づいたそうです。普連土のように女子が理系の活動に打ち込める先進的な学校はまだまだ日本では貴重ということでしょう。なぜ、普連土では理科好きな女子が活躍できるのか、その理由を広報部長の池田雄史先生にお聞きしました。

池田先生
広報部長の池田雄史先生

普連土ではなぜ、理系の活動がこれほど盛り上がっているのでしょうか

池田先生

さまざまな要因があるとは思いますが、最初に挙げるとしたら「数学を基礎から丁寧に指導していること」です。中学1・2年生では、数学の授業を教員2人によるTTで実施し、質問しやすい指導形態にしています。進級・進学後も中学3年生では1クラスを20人規模に、高校でも習熟度別の基礎クラスは15人弱の規模に抑え、学習のつまずきがないように見ています。また、理科の実験も多く行うことで、生徒が理科に興味を持ち、「理系が苦手だから文系に行くしかない」「数学・理科が嫌い」という思いをなるべく持たないよう工夫しています。

理系の進学実績について詳しく教えてください

池田先生

今年の現役大学進学者109人のうち、約39%に当たる43人が理系に進みました。細かく見ると、工学系・理学系の学部学科に28人が進学しています。ここは普連土の特色で、一般的に理系女子の進路と言えば、「医・歯・薬・獣医学・看護・保健」がメインですが、普連土では逆転しているのです。また、国公立合格者11人のうち8人は理系の生徒です。やはり、カリキュラムの工夫、課外活動がよい影響を生んでいます。実際に、「Fab」に所属していた生徒が東大理科Ⅱ類に合格しました。

充実の小論文指導で文系も強い!進路選択の幅が広がる普連土

理系に強い普連土。しかし、文系に関しても高い合格実績を上げています。その工夫のご紹介とともに、最後に受験生のみなさまへのメッセージもお届けします。

実験のようす

文理合わせた普連土の進学実績の強みを教えてください

池田先生

ここ10年以上、「最多の進学先は慶応大学」という状況が続いています。今年は卒業生の1割以上にあたる13人が進学しました。普連土では高校3年生を対象に小論文の個別指導に力を入れ、教員・講師を10人強で生徒60人ほどを担当しています。慶応大学文学部に進んだ生徒はほぼ全員受講していました。

受験生へのメッセージをお願いします

池田先生

皆さんが高校2年生になるときには文系・理系を選ぶことになります。普連土はそのときまでに皆さん一人ひとりが興味のあることを見つけて、大切にできるようサポートします。数学・理科が苦手にならないように丁寧に教えるので、ぜひその面白さに気づいてほしいと思います。そして、もともと「算数・理科が好き!」という方は好きなことに打ち込める学校ですよ。

編集者から見たポイント

理系に強い女子を多く輩出する普連土は貴重な存在です。女性の生き方が変わる時代をリードしているのかもしれません。

イベント日程

日程 イベント名 予約
2020年9月5日(土)
10:00~12:00
生徒への質問会(第1回) 要予約
2020年10月2日(金)
10:00~12:00
学校説明会(第2回) 要予約
2020年10月13日(火)
10:00~12:00
学校説明会(第3回) 要予約
2020年10月24日(土)
9:00~15:00
学園祭
2020年10月30日(金)
19:00~20:30
イブニング説明会(第2回) 要予約

※新型コロナウイルスの感染拡大の状況により、日時、内容が変更になる場合がございます。最新の情報は学校サイトでご確認ください。

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:普連土学園中学校・高等学校