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inter-edu’s eye
これからの世の中を生き抜く力“グローバル・コンピテンシー”の育成に励む富士見丘中学高等学校(以下、富士見丘)は、今年度でSGH指定5年目を迎える女子校です。2015年から続くSGHの活動は、学校にどんな影響を与えたのでしょうか。昨年度よりスタートしたICT授業を通して、富士見丘の変化を探ります。
慶應義塾大学との探究学習
富士見丘のSGH研究テーマは「サステイナビリティ(持続可能性)から創造するグローバル社会」。
世界規模の課題に関心を持ち、他者と協働して問題解決に導く人材を育てるべく、探究学習や英語力向上に力を入れてきました。
高校1年次で行う探究学習「サステイナビリティ基礎」では、慶應義塾大学大学院と連携し、年間を通じたワークショップを行います。そして高校2・3年次には探究学習の集大成となる「サステイナビリティ演習」があり、同大学やシンガポール経営大学と連携して海外フィールドワークを行い、生徒は現地で英語プレゼンテーションに挑みます。
SGHプログラムによる成果
SGHの活動にあたり、学校では「発表会での入賞者増」「CEFRのスコアUP」「海外大学への進学者増」など明確な目標を掲げました。最新の記録を見ると、目標を確実に達成し飛躍していることが分かります。
国内外の発表会での入賞
2015年度 3名
2018年度 23名
SGH甲子園2019
英語プレゼンテーション部門
最優秀賞‼
CEFR全生徒のスコアUP
設定目標
高校卒業時までにB1(英検2級)以上60%
海外大学への進学
2018-2019年度
17名合格
12名進学
ロンドン大学キングスカレッジ(英国)QS31位
トロント大学(カナダ)QS28位
ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)QS47位
クイーンズランド大学(豪州)QS48位
シドニー大学(豪州)QS42位
パロマ―カレッジ(米国)
マウントホリヨーク大学(米国)
ホーリークロス大学(米国)他
※QS=英国クアクアレリ・シモンズ世界大学ランキング
中学校では探究学習や協働学習に必要なスキルを修得するため、1年次にICT専門の授業を、2年次には武蔵野美術大学の学生と美術展を開催します。
ICT授業
2017年度の中学校入学生から1人1台のノートPCを所持し、2018年度からは1年次に週1回の「ICT授業」をスタートさせました。授業では、まず正しい情報リテラシーを身につけ、次に実践へ。グラフやプレゼン資料の作り方を学び、3学期には総仕上げとしてポスター制作をします。これらと並行してICTを使ったグループワークにも挑戦。SharePointやExcelを利用して1つのシートに複数の生徒が意見を書き込み、集まった情報を基に調べ学習をしていきます。
1学期
ITリテラシーを学ぶ
2学期
グラフ・プレゼン資料の
作り方を学ぶ
3学期
1枚の写真をもとに議論を行い、ポスターを作成する
生徒が先生を刺激 ICT授業が生んだ相互作用
情報科の美濃部直子先生と、ICT授業1期生となる中2生のMさんとAさんにインタビューしました。
ICTを科目にした理由を教えてください。
美濃部先生
生徒のスキルアップが第一の目的です。各教科にICTの利用を委ねると、教員によって使う・使わないが出てきてしまいますが、生徒がどんどん学び、「先生、ロイロノート(※1)を使うと早いよ」「ICTの授業でやったよ」などと発信することで、教員も刺激を受けて積極的に学ぶようになり、相互作用が生まれます。実際に、各教科の授業のバリエーションが増えたと実感しています。
(※1)授業支援ソフト
Aさん
英語の宿題では、ロイロノートに音読を録音し、発音を先生にチェックしてもらいました。社会では先生から出された課題について自分の意見を書き込み、それをみんなで見てからグループで話し合いをしました。
Mさん
理科の実験では、動画や画像を撮影して、実験結果をレポートにして提出していました。夏休みには動物園や水族館に行き、考えたことをまとめるのですが、休みの間に先生に見てもらえるので、休み明けの授業でみんなが発表できるようになっていました。
美濃部先生
投げかけたものへのフィードバックが早くなるので、内容をブラッシュアップできますね。また、発表する機会が多いので、最初は人前で話すことが苦手な生徒がいても、1年経つとみんなが堂々と話せるようになりました。作る資料にしても、どれも甲乙つけがたい出来です。
初年度の授業を振り返り、生徒の成長をどう感じていますか。
美濃部先生
操作方法を覚え、生徒同士や生徒と教員がつながりを持てるようになったことは大きいですが、所詮PCはツールに過ぎません。情報を集め、周りの意見を意識ながら問題を抽出し、解決する方法を探る――つまり、生徒がPCを使って思考を深めたり、探究したりすることが大事なのだと思います。
ある日の授業で、グループワークで制作したポスターの中から、どの作品が1番よいかをクラスで決めることになりました。するとMさんは、生徒たちが共有のExcelシートに入力してきた膨大な書き込みの中から必要な情報を抽出し、有意義な話し合いができるように進行してくれたんです。これにはとても感心しましたね。
一方、Aさんは本校のプログラム「自主研究5×2」という調べ学習で、Office365(※2)にあるアンケート機能を使い、ほかの生徒に投票を呼びかけていました。授業で覚えたツールを自身の研究で応用してリサーチを進めていたことに、「ICTを利用して自分の学びを深めているな」とうれしくなりました。
(※2)マイクロソフトのクラウドサービスが利用できるグループウェア
2年生になったお二人は、今はどのようにPCを活用していますか。
Mさん
これまで授業中にノートを取っていたことはデータで保存し、授業ごとにファイリングしています。
Aさん
私もそうです。
振り返りをするとき、紙のノートより探しやすく、復習しやすいです。
美濃部先生
生徒は、教員が思っていた以上にパワフルで新しいものへの耐性がありました。だから「もっとできるんじゃないか」と、模索しながら授業を構築していくことができ、大成功の1年目になったと思います。今、ICT授業を受けている中1生が、MさんやAさんのようになってくれたらうれしいですね。
今後も続く探究学習と高大連携
2019年度がSGH最終年となるため、今後が気になるところ。
SGH活動の軸となるサステイナビリティ演習は、生徒の満足度が99%と高いので、これからも続けていくといいます。また、SGH活動に関わってきた大学との連携も引き続き行われます。
中でも、とりわけ強い結びつきを見せているのが慶應義塾大学院のメディアデザイン科。広報ご担当の佐藤一成先生は、「メディアデザイン科は21世紀型の教育を一般的なものにしようと活動しており、本校の生徒との取り組みを教育の展示会などで発表しています。協働学習をした際は、本校からも積極的にフィードバックを行い、よい関係を築いています」と語ります。
数値では測れない成長
CEFRスコアなどのグラフから分かるように、SGHの4年間は富士見丘に大きな変化をもたらしました。しかし、数値では測れない変化もあったといいます。「SGHに指定されるまで、本校はグローバル教育を実践していたものの、しっかりとした計画が伴っていませんでした。ところが2015年以降、学校全体で目標を掲げ、目標達成の筋道を立ててカリキュラムを組み、全教員が何らかの役割を持って動き出したことで、学校改革に成功したのです」。
学校改革により、先生の意識が変わり、計画性を持って目標達成に取り組めるようになった富士見丘。「これからは課題を与えられるのを待つのではなく、生徒たち自身が課題を発見し、設定していけるようにすることが必要だと思っています」(ともに佐藤先生)。
中学校
日時 | イベント名 |
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2019年9月28日(土)・29日(日) 10:00~ |
文化祭 【説明会】 9月29日(日) 13:00~14:00 |
2019年10月26日(土) 10:00~ |
生徒による説明会、 武蔵野美術大学との美術展 |
2019年11月23日(土・祝) 10:00~ |
中学入試ポイント学習会 |
2019年12月7日(土) 10:00~ |
チャレンジ体験入試 |
2019年12月25日(水) 10:00~/13:30~ |
冬休み学校見学会 |
2020年1月11日(土) 13:00~ |
チャレンジ体験入試 |
高等学校
日時 | イベント名 |
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2019年9月28日(土)・29日(日) 10:00~ |
文化祭 【説明会】 9月29日(日) 10:30~11:30 |
2019年10月26日(土) 13:00~ |
生徒による説明会、 留学・海外研修 懇談会 |
2019年11月23日(土・祝) 13:00~ |
説明会・入試問題解説 &個人相談会 |
2019年11月30日(土) 13:00~ |
説明会・入試問題解説 &個人相談会 |
2019年12月7日(土)(水) 13:00~ |
説明会・入試問題解説 &個人相談会 |
2019年12月25日(水) 10:00~/13:30~ |
冬休み学校見学会 |